カテゴリー別アーカイブ: 投資

「世界一やさしい不動産投資の教科書1年生」 浅井佐知子(著)

 

不動産投資を始めたいが、どこから手をつければいいかわからない。本書では、そんな初心者でも、独力で不動産投資に成功できることを目標としています。

おすすめ

★★★★★★★☆☆☆

 

対象読者層

不動産投資に興味がある人、不動産投資を始めたばかりの人。

超初心者ではなく、初心者向けの本と思われます。経済や金融、税金のことなどをそれなりに知っていることが必要です。

 

要約と注目ポイント

不動産投資の本は多いが、初心者の役に立つ本は少ない。しかし、本書の目的はシンプル。

ひとりで「物件を選び購入し、その保有物件を適切に運営して、売却まで見通しつつ資金管理ができる」ようになることだ。

 

不動産投資の魅力

毎月の固定収入がある。給料以外の収入があることで、生活に安心感やゆとりが生まれる。失業や老後の心配が減る。

不動産投資は、しっかり学べばミドルリスク・ミドルリターンの投資だ。

不動産投資は、基本的にはインカムゲイン狙い。売却時に利益が出たら、さらにラッキー。(キャピタルゲインを得るには、不況時に安く買うなどの努力が必要。)

 

サラリーマンなら、赤字になった場合に給与所得を節税できます。また、経費となる毎年の減価償却費も、節税に効果があります。

 

不動産にかかるコスト

不動産にかかるコストの解説。

購入するときは、仲介手数料、印紙代、不動産登録免許税、不動産登記手数料、固定資産税、不動産取得税、各種保険料。(だいたい物件価格の10%と考えておく。)

保有しているときは、固定資産税などの税金、火災保険料、管理費、修繕積立金、PMフィー。

入居者が退去したときは、リフォーム費用、テナント募集費。

 

不動産投資で成功するには

失敗を避けるには、不動産投資の勉強をして、良い物件を選び、自分の資金力を超える投資をしないこと。

最初はワンルームや1Kの区分所有マンションから小さく始めて、知識と経験を積む。はじめはローンを利用せず、貯めたお金で購入する。

入居者が入りやすい、転売しやすい物件を探し、表面利回りが12%以上なら投資を検討する。

経費削減のやり方。

家賃を維持する(家賃を上げる)、空室をつくらない工夫。

5年後に売却することを考えて、物件を購入する。実際に売却するときのやり方。

投資を検討すべき地域や、物件のタイプとは。避けるべき物件とは。

購入したい物件が見つかったら、利益計算のシミュレーションをする。

 

不動産投資が初めての人向けの、大きな失敗(損失)を避けることを重視した解説です。

 

購入までの契約の流れ

賃貸借申込書や重要事項に係る調査報告書をチェックして、入居者や物件を調べる。

不動産買付証明書について。

ローンを組むときには。

売買契約時に必要なものや、確認しておくべきこと。

残金決済と物件引き渡しについて。

 

実際に購入を検討し、売買契約を結ぶときには、本書を流れに沿って読み返すとチェックリスト代わりに使えそうです。

 

不動産投資における資金管理

資金管理はとても大切。

購入前に、しっかりと物件の収支をシミュレーションしておく。さまざまな状況を想定して、自分で長期の利益計算をすることが、成功する大家には必要。

レントロール(賃貸借条件の一覧表)をつくって、保有している物件を管理する。毎月と毎年の収支を把握する。

毎年の収支を把握して、5年後以降の売却など、長期の戦略を考えていく。

 

経費や税金、空室率などを厳しく見積もっておくと、将来も安心です。

 

書評

「不動産投資に初めて挑戦したい」という人に、本書は適しています。経済やお金についての基礎知識があれば、不動産投資をよく知らなくても、一から学ぶことができます。

投資資金の大部分をローンで賄ったり、最初からアパート一棟、マンション一棟の投資を勧める本もありますが、本書はかなり安全志向です。

スタートとして、貯金で区分所有マンションを一戸買うことを推奨しています。そして知識と経験を積み、人脈等を広げたのち、規模を拡大していく戦略です。

ローンで不動産投資をしたり、一棟のアパートやマンションを建てる利点も理解できますが、まったく初めてなら、やはり区分所有マンションが出発点かな、とも感じます。

本書では、不動産を購入する時期が重要、という指摘もあります。不動産市況が悪いとき(不動産価格が安いとき)をじっくり待て、という教えです。不動産は高い買い物ですから、確かに買い時の見極めも大切です。

現在は不動産価格もかなり上がった印象です。不動産を買いたいなら、じっくりと勉強し、物件の相場観を養いつつ、気長にチャンスを待つのがいいかなと思います。
(書評2017/11/11)

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「いますぐプライベートカンパニーを作りなさい!」 石川 貴康 (著)

 

会社員が勤め先に頼ることなく、経済的に真に自立する方法を紹介する本です。

 

おすすめ

★★★★★★★☆☆☆

 

対象読者層

将来や老後のお金のことで、心配している人。
副業に関心がある人、もう副業をしている人。
不動産投資に関心がある人、不動産投資を始めた人。

 

要約と注目ポイント

日本の会社員の未来は暗い。給与は上がらないのに、負担する税金や社会保険料は上がる一方だ。

こんなつらい状況から抜け出すには、ただやみくもに働くだけではだめ。税金の知識を身につけ、プライベートカンパニーを使いこなし、不動産投資を行って、安定した豊かな生活を実現しよう。

 

これから豊かに暮らすためには?

不動産投資をすると、劇的に生活は変わる。(もちろん良い方に。)

子育てしている夫婦や、おひとり様の会社員などの例で、家計や資産がどう変化したかを見る。

 

お金の流れをコントロールする

まず、税金の基礎を知る。(収入や所得、控除などの説明あり。)

とにかく控除を使い切り、課税所得を最小化するように考える。そして可処分所得を大きくする。

 

可処分所得を増やすために、プライベートカンパニーを使う。何らかの事業を始めて収入を生み出し、さらに経費を計上して事業支出とする。この支出を課税所得側に付け替えて、課税所得を下げるのが基本。

 

控除を使い税金を減らす

扶養控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、雑損控除、住宅ローン控除、配当控除、ふるさと納税、災害減免法など、使えるものはすべて使う。

 

ただ、政府の政策が変わると、控除はなくなる可能性もある。お金を残す王道は、やはりプライベートカンパニー。

 

プライベートカンパニーを利用しよう

不動産投資がおすすめだが、趣味の延長など自分のできることで副業を始めてみよう。

法人でなくても、最初は白色申告でも青色申告でも良い。事業は何でも良いので、税務署に認められるように、それなりの規模で継続性のある実態にまで成長させよう。

白色申告、青色申告、法人についての比較や説明。

事業に関わる支出を経費にする。税金を引かれる前に事業支出として物が買える、という最大の利点を活かす。個人の支出も、事業に関係する割合に応じて、按分で経費にする。

プライベートカンパニーの損失は、自分の給与所得と相殺して、税金を減らせる(損益通算)。ただし、不動産所得・事業所得・譲渡所得(総合課税)・山林所得に限る。

家族に給与を払えば、課税所得を減らせる場合もある。

最後は法人化を検討しよう。信用力が上がり、経費化しやすく、損失の繰り越しも長くできる。相続税でも有利。将来は、法人税が軽減され、個人課税が強化されると予想される。

 

プライベートカンパニーを使いこなすことで、サラリーマンも税金の負担を減らし、実質的に豊かな生活を手に入れることができます。

 

プライベートカンパニーの実践例

妻(配偶者)に専従者給与を払う例。

妻(配偶者)をプライベートカンパニーの経営者にする例。

田舎の親をプライベートカンパニーの経営者にする例。

独身の会社員が不動産投資を事業化する例。

不動産投資を始めるなら、ワンルームマンションから練習すると良い。土地勘があり単身者が多い地域で、駅近の居住用物件がおすすめ。良い管理会社を探して長くつきあえれば、メンテナンスも楽になる。

そのほか、法人設立の例。

勤務先の会社は、あなたの会社ではない。勤務先は、あなたの人生に責任を持たない。自分で稼ぐ事業をつくり、豊かな生活と安心の老後を実現しよう。

 

現在の日本の税制だと、安定して給与をもらえる会社員は、不動産投資との相性が良いようです。

 

書評

普通のサラリーマンが、どうしたら余裕のある生活を送り、老後の心配をなくせるか?

給与は上がりにくく、税金や社会保険料の負担が増え続ける現在。がむしゃらに働くだけでは、お金を貯めたり、安心老後を実現するのは難しいです。

本書では、税金の知識を身につけ、何らかの事業を始めることで、税金の負担を減らし可処分所得を増やす方法を教えてくれます。特に、不動産投資について詳しく書かれています。

 

サラリーマンが法人化して豊かに暮らす、という概念は、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ」橘玲(著)でも書かれているので、こちらの本も参照してください。

また、不動産投資をして節税をしながら、レバレッジをかけて資産を速く増やしていく点や、自分のビジネスを持てと強調する点は、「改訂版 金持ち父さん貧乏父さん」ロバート・キヨサキ(著)に通じるところもあります。

しかし上記の2冊より本書の方が、2016年の日本の会社員には、税制面でさらに適した解説です。資産運用に興味があったり、将来に経済的な不安を抱えている人は、読んで損はない本だと思います。

 

なお本書では不動産投資を勧めており、毎月給料をもらうサラリーマンには不動産投資が相性が良いと私も感じました。ただし、本書でも少し書かれていますが、税制は政治状況によってすぐに変更されます。

不動産所得の赤字を給与所得と相殺して税金を減らす、といった方法が永続的かは疑問です。日本の財政は極めて危険な状態に移りつつあり、どんな税制になるかは予断を持たない方が良いでしょう。

本書を読むと不動産投資を始めたくなります。私はこれからの日本の不動産に悲観的なのですが、それでも不動産投資をしてみたくなりました。

節税できるという視点ではなく、物件や土地自体が利益を生むと判断できる場合のみ、投資を検討したらいいのではないでしょうか。
(書評2017/10/29)

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「投資家のための金融マーケット予測ハンドブック 第6版」 三井住友信託銀行マーケット事業(著)

 

金融市場のさまざまな事柄を解説する、教科書的な本です。現役の銀行員が執筆しており、投資にまつわる広い範囲を勉強できるテキストです。

 

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

勉強熱心な個人投資家、金融関係の仕事を始めた社会人、金融業界へ就職希望の学生など。

 

要約と注目ポイント

この「投資家のための金融マーケット予測ハンドブック」という本は、日本人が金融市場を勉強するときに、割と定番なテキストのひとつになっていそうです。私は金融業界の人間ではないので、あくまで想像ですが。

20年以上もこのシリーズは刊行され続けているので、こういう本を必要とする人が少なくないのでしょう。私は第5版も読みまして、勉強させてもらいました。読み通せば、確かに読了した分だけ賢くなります。

専門家には常識でやさしい本ですが、勉強したい新社会人や学生、個人投資家には良い本だと思われます。

第5版の書評記事はこちら ⇒ 「投資家のための金融マーケット予測ハンドブック 第5版」 三井住友信託銀行マーケット事業(著)

 

解説されている事柄について

本書は、金融市場や投資について、すごく広い範囲をとにかく堅く説明していきます。そのため、要約は書けません。読み通して自習する本です。

どういう内容について解説されているかをまとめました。

 

金利や為替の予測をするには。

  • 金利の概要。
  • 予測をするための理論(理屈)。

 

日本経済について。

  • 過去の景気循環。
  • 日本の経済統計や指標。
  • 日本の金融政策と金融統計。
  • 日本の金融市場。

 

米国経済について。

  • 過去の景気循環。
  • 米国の経済統計や指標。
  • 米国の財政収支。
  • 米国の金融政策。
  • 米国の金融市場。

 

ユーロ圏経済について。

  • 統一通貨ユーロや欧州債務危機の解説。
  • ユーロ圏の経済指標。
  • ユーロ圏の金融政策。

 

英国経済について。

  • 英国経済の概要。
  • 英国の金融政策。

 

オセアニア経済について。

  • オーストラリアの経済と金融市場の概要。
  • ニュージーランドの経済と金融市場の概要。

 

新興国経済について。

  • 中国の経済と金融市場の概要。
  • インド、ロシア、ブラジル、アセアン(インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム)各国の経済の概要。

 

商品市場(コモディティ)について。

  • 商品市場の概要。
  • 原油について。
  • 金について。

 

為替市場について。

  • 為替市場の概要。
  • 為替需給について。
  • 為替レートの決定理論について。
  • 国際通貨制度の歴史と概要。
  • 各国の為替政策について。

 

テクニカル分析について。

  • テクニカル分析の概要。
  • テクニカル分析の方法論。

 

以上のような内容を、地味に解説していきます。本書では、2015年後半までの市場動向が反映されているので、割と直近までの金融市場に関して、基礎知識を勉強できます。

 

書評

私はこのシリーズの第5版も読みましたが、難易度や、ターゲットとなる読者層についての感想は、第5版と同じでした。

勉強熱心な個人投資家や、これから金融業界で働いていこうというレベルの学生や社会人にちょうどいい本です。現在の金融市場と関わるにあたり、広くざっと勉強したい人に適しているでしょう。

投資や経済に興味のない、日常生活が忙しい普通の人が読むには内容が多く、濃すぎます。500ページもありますし。普通の人が金融リテラシーを身につけたいときは、もっと易しめの入門書が良いと思われます。

本書はとにかく堅くて真面目なのですが、最後のテクニカル分析の章だけは、山師的要素も盛り込まれています。このへんも楽しめる人は、楽しく読めるでしょう。

 

個人的な感想としては、第5版を読んだときより、知識が増えていることが実感できました。解説もすんなり頭に入りやすく、既に知っている事柄も増えていたので、前作を読んでから金融知識は蓄積されたんだなと思いました。

当ブログの書評にもあるように、この3~4年で経済や投資などの本を、100冊くらいは読んでいます。確かに知っていることは増えました。

ただ残念なのは、別に投資で儲かるようにはなっていないことですね。特に、自分が勝手に相場見通しを立て、投機的なトレードをした収支については、まったく儲かっていません。

2009年以降は基本的にずっと上げ相場だったので、何も考えずに保有している株式指数連動のETFに、自己売買の成績は完敗です。
(書評2016/11/24)

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「ずさんな家計を整えました。 ずぼらさんのためのお金安心塾」 上大岡トメ/畠中雅子(著)

 

家計簿がつけられない。小さな節約をするのは面倒だ。そんな人に向いた本です。
ずぼらでも家計が管理できて、お金の悩みがなくなります。

 

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

家計の管理ができず、貯金も節約も苦手な人。

 

要約と注目ポイント

主人公はイラストレーター。

家計簿をつけられない、レシートが山になっている。行き当たりばったりのどんぶり勘定でやってきた。

お金に対しずぼらだったので、お金にふりまわされてきた人生。

お金と上手に付き合う決意をし、ファイナンシャルプランナーに助言をもらう。

 

家計簿はつけなくてよい。

記録と残高が合わない。お金を使ったとき、支出はどの項目に入れるのか迷う。これで挫折する。

生活費は大きな変動はなく、毎月だいたい同じ。

大きな額の特別出費をおさえることをめざす。

 

忙しい毎日、家計簿をつけるのは面倒。家計簿をつける必要がないことはポイント。

 

特別出費に注目する。

特別出費とは、1年のどこかで払う大きな出費。

大きな額の買い物、祝儀や香典などの交際費、保険料や税金、車の費用、教育費、家の修繕費、旅行などのイベント費用、ペットの費用、事故や病気の費用など。

特別出費の合計額はかなり大きく、年ごとに変わるので、特別出費の実態をつかむこと。

 

予測していない、突然の大きな出費が家計に大ダメージとなる。

 

家計の収支をつかみ、特別出費に備える。

年に2回、通帳をチェックする。年末と7月1日にすべての通帳の残高を合計。その差で収支をみる。

家計簿をつける余裕があるなら、3カ月つけてみよう。自分がどのような項目に、お金を使っているかがわかる。

お金の使い方がわかれば、ムダを減らし節約する方針が立てられる。

どのような特別出費があるか把握し、支払い計画表をつくって備える。

 

何にどれだけお金を使っていたか知ること。特別出費に対応できれば、家計は管理できる。

 

特別出費を削る。

自動車税と自動車重量税の節約法。都市部に住んでいれば、カーシェアなどを利用。

消費税増税など大規模なキャンペーンが行われるときは、終わったあとの方が値引きされることがある。

保険は、契約の見直し、早割更新やインターネット更新で節約、長い契約期間で節約。

服を買うのが好きなら、過去半年の服代をざっと計算し、予算をその8割に抑える。8割で済むよう、あらかじめ計画して買い物に行く。(外食好きなど、他の例でも同様。)

家電は値段を下調べし、値引き交渉し、本当に必要な物だけ買う。

自分が大好きなイベント(旅行や観劇など)のためなら、目標を持って貯金できる。

高校までの教育費は、家計内でまかない、貯金を切り崩さない範囲にする。

特別出費はいついくらかかるか予測し、毎月貯金する。

 

ありがちな特別出費について解説。これを削ることができれば、家計は黒字に。

 

ライフプランを書く。

将来の予定や出費を書き込んでみよう。確定した予定も大きな夢も、できるできないやお金は関係なく、具体的に書いてみる。

 

自分の気持ちを正直に、ライフプランに表現してみよう。昔の夢を思い出すかも。

 

生活設計能力を上げる。

お金を貯めて配分する能力(生活設計能力)を高めよう。ひとりの専門家の意見に絞る。詳しい人に直接聞く。天引き貯金などの方法で、自分のできることをする。

 

お金の知識とか、金融リテラシーなどと呼ばれます。学校では教えてくれないので、自分で積極的に学ぼう。

 

書評

ほのぼの系のイラストで、すっと読み進められます。

通常の生活費は月々であまり変動がないので、家計簿をつける必要は無し。毎月ではない、額の大きな特別出費だけ注意する。というアドバイスは参考になりました。

なるべく苦労しないで家計の収支を知って、大きな出費に備える。それによってお金の悩みを減らし、毎日を楽しく暮らそう。という考え方の人には良い本です。

家計をきっちり管理するとか、貯蓄して老後資金をつくるという方向の本ではないです。

家計管理や資産管理、老後資金の準備などを、系統立てて説明はしていません。あくまでもお金の知恵をつけるエッセイ、といった明るい読み物です。

つきあいというか、交際の生活の知恵みたいなコラムもあります。食事の会計の割りかん、香典やお祝い、ホームパーティーの手みやげ、お店選びなどがテーマとなっています。

少し気になったのは、生活設計能力を上げるには、参考にする意見をひとりの専門家に絞れ、というアドバイスです。

確かに今は、情報が多すぎて混乱しやすいです。ただ、いろいろなメディアで専門家の意見や解説を見たとき、それって間違いでは?適切なアドバイスではないような?ということがけっこうあります。

早い段階で専門家をひとり選び、その人の意見だけ参考にしていると、不利な方向に進む危険もあるように思いました。

ファイナンシャルプランナーご本人が、天引き貯金として、教育費のためこども保険に、老後資金用のため個人年金保険に加入されているようです。

これも私は、あまり良い選択ではないように感じました。手数料の分だけ不利だと、私は思います。

教育費は、単純に自分で行う天引き貯金の方が良いように思います。

そして個人年金保険ですが、手数料の高さやお金を動かせる自由度の面で、自分で行う積み立て投資に劣ると考えられます。インデックスファンドを自動積み立てで購入するなら、天引きという点は完全に同じです。
(書評2015/11/17)

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「本気で家計を変えたいあなたへ 書き込むお金のワークブック」 前野彩/内藤忍(著)

 

お金のことがよくわからず、何となく将来が不安なあなた。
本書でお金の知識を学べば、人生が変わります。

 

おすすめ

★★★★★★★☆☆☆

 

対象読者層

お金のことがよくわからない、お金が貯まらない、将来が不安な人。

 

要約と注目ポイント

お金のことがわからず、あなたもお金で悩んでいるのでは?

本気でお金に向き合い、お金の知識を身につければ、家計のムダも削れるし、将来の不安が解消できる。

本書の使い方は、まず基本的な知識を学ぶ。

そのあと記入シートに書き込むことで、自分の場合どうなるかが具体的にわかる。

そして行動し、家計を改善していく。

 

お金を貯める

お金を貯めるには、がんばらなくても続く「しくみ」をつくる。

①現在の家計を把握し、貯金の目標を設定する。

②お金が貯まらない原因と対策を考える。

③自分に合う、がんばらなくてもできる家計管理を実行する。

 

いつも節約を心がけるのではなく、支出が収入より小さくなる状態をつくります。

付属の記入シートを使う。

家族構成、収入、貯蓄、1年間の貯金額、ローン、子供の教育プラン、項目別の支出を記入。

万円単位、千円単位でざっと書き込む。現在のお金の使い方がわかる。

 

家計簿

家計簿は、ムダづかいせず使いたいことにお金を使えているか、管理するための道具。

家計簿を楽につけるポイントを解説。

 

家計簿は、お金の流れを見るためのもの。お金の動きがわかれば、何をすべきかわかります。

 

将来の支出にそなえる

いつ、いくらお金が必要なのか、はっきりさせて理解する。

そうすれば計画的に貯金をすることで不安はなくなるし、今の生活にお金を使って満足することもできる。

 

目的別の貯金

車の購入や旅行、教育資金、老後資金などは、目的別の積み立て貯金がおすすめ。

将来のライフイベントに向けて積み立て貯金をすれば、無理のないペースでできるし、モチベーションも上がる。

毎年の大きな額の特別支出用にも積み立てる。

 

将来の支出が具体的にわかれば、備えられます。未来の不安も減ります。

 

貯金の基本

貯金するには、「収入-貯蓄=支出」という先取り貯蓄が基本。

貯蓄分を先に取り、残ったお金を全部使う方がストレスフリー。

給料から貯蓄分を引き、口座引き落としの諸費用を残し、生活費は1か月に1回だけ口座から引き出す。

生活費の現金は、1週分ずつ分けると管理しやすい。

 

節約の方法

大きな固定費(住居費・保険料・通信費・教育費など)が、節約しやすく効果も大きい。

小さな節約はストレスのもとになりやすい。以下の順に節約する。

①1回で済む大きな固定費の見直し。

②使途不明金(いつの間にか使っているお金)のチェック。

③日々の節約。

 

大きな固定費を節約し、給料から天引きすれば、がっつり貯金できます。

 

テーマごとの解説

 

子育て・老後

子育てにかかるお金と、教育資金の準備方法。

老後にかかるお金と、その準備方法。

年金制度の説明。投資について。

 

保険

生命保険が必要な場合とは。

一生分の収入予定額と支出予定額。遺族年金の説明。生命保険を種類ごとに説明。

医療保険が必要な場合とは。

健康保険の説明。民間保険でカバーするか、貯蓄で備えるか。介護保険の説明。子供の保険の説明。

 

住宅購入

住宅を購入するときは。

自己資金の用意、無理なく返済できる金額、固定金利と変動金利、返済方法、繰り上げ返済と借り換え、死亡保険、などローンの説明。

賃貸との比較。

マンションと一戸建ての比較。

火災保険、地震保険、個人賠償責任保険、自転車保険、自動車保険の説明。

 

社会保険料と税金

パートの年収と、税金や社会保険料の説明。
(年収103万円で所得税課税、130万円で社会保険料負担、141万円で配偶者特別控除なし。)

社会保障制度の説明。

所得税など(源泉徴収票)の説明。

贈与と相続の説明。

 

教育費、老後資金、保険、住宅ローン、税金。重要テーマも、記入シートを使えばよくわかります。

 

書評

本書には記入シートがついているので、いろいろなお金の計算に使えます。

現在の家計収支を把握するシート、ライフイベント表、目的別積み立て貯金のシート、老後の生活のお金用シート、一生分の収支予定シート、遺族年金用のシート、などがあり、確かにわかりやすいです。

書き込むことで、現在の家計から一生のお金の問題まで、大まかなイメージを持つことができます。

本書はけっこう細かく、いろいろな項目のお金を管理している印象です。

目的別積み立て貯金の項目も、かっちりしてます。家族のライフイベントを将来まで書いて、いついくら必要か考え、お金の準備をすることも勧めています。

老後の費用や、自分が死んだ場合の家族の生活費なども、記入シートを使うことで簡単に計算できます。

しっかりお金の問題を想定できるので、毎月のお金の使い方や貯め方に、めどが立てられそうです。ここから自分に合った、がんばらない「しくみ」に仕上げるのが良いかと思います。

本書の特長である記入シートは、自分のお金の理解と改善にすぐ役立ちそうです。

また、社会保障制度や民間の保険の解説など、基本事項の解説もよくまとまっています。解説を読むことで、制度や金融商品を学べます。

記入シートだけでなく、図表やグラフも多いので、視覚的にも理解しやすくなっています。

私は投資や貯金については相当勉強したので、その部分は流して読みましたが、生命保険や医療保険、介護保険などはあまり関心がなかったので、学ぶことが多かったです。
(書評2015/11/12)

アマゾンでのご購入本気で家計を変えたいあなたへ 書き込むお金のワークブック
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「誰も教えてくれないお金の話」 うだひろえ/泉正人(著)

 

懸命に働いても、がんばって節約しても、全然お金がない。
本書では、そんなお金の悩みを解決します。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

お金が貯まらない、お金の知識がない、お金の扱い方がわからない人。

 

要約と注目ポイント

・主人公は33歳の主婦兼イラストレーター。夫は脱サラして、カフェ経営中。夫婦とその周囲の人々の日常生活を漫画で描く。(もちろんお金が主題です。)

 

月末にお金がない

主人公の女性は、漫画やイラストの仕事をがんばり、節約し、夫のカフェも手伝っている。しかし、住宅ローンの支払いにすら困る生活。貯金は無い。万一のための保険、子供にかかる費用、老後の不安はどうすれば?がんばっているのに、なぜお金がなくなるの?

解答:
月末にお金がなくなるのは、収入と支出のバランスがとれていない。

 

うまく節約ができない

主人公と同じようにズボラな性格と思っていた妹が、しっかり家計簿をつけ、収入と支出を把握し、家計を管理していた。主人公も家計簿をつけ始め、とことん節約してみた。でも生活がギスギス。それでも貯金が貯まらない。なぜ?

解答:
収入の一定割合を先取り貯蓄し、残りで生活。家計簿は、家計の全体像を知るためにつける。節約は固定費の削減から。

家計の収支を確認し、大きな固定費を削るのが、節約の基本です。先取り貯金も、お金を貯める基本技です。

 

お金を貯め、利益を出すのに必要なこと

貯金を増やそうと、夫のカフェを手伝う主人公。でもお店で利益を出すには、お金(会計)の知識が不可欠。

解答:
家計でも、資産と負債を把握できるバランスシートをつけよう。価格と価値の関係を意識して、お金のセンスを磨こう。お金の流れを見ること。お店では、固定費・変動費・損益分岐点、客単価と回転率などを考え、リピーターを増やして、利益を出す。

 

住宅ローンの支払いが長くて苦しい

賃貸に住んでいた主人公夫婦は、転勤を機に不動産屋に問い合わせをしてみた。すると不動産屋に押され、頭金なしで限界まで変動ローンを組み、新築マンションを購入することになった。今となっては、ローンの長い支払いに苦労している。

解答:
住宅購入のときには、手取り収入から借りていい限度額を考えること。類似する賃貸物件の家賃から、販売価格の妥当性を判断できる。
住宅ローンの種類と金利、物件購入時にかかる諸費用、購入後にかかる税金・修繕費・保険料、繰り上げ返済と借り換え、などを解説している。

家を買ったあとでは、支出の変更は難しくなります。住宅ローンを組む前に、十分な検討をしましょう。

 

お金に苦労しない生き方

将来のため、もっと一生懸命働いてお金を貯めようとする主人公。そんなとき、取材でファイナンシャルプランナーの話を聞くことになる。

解答:
お金について悩むのではなく、考えること。大切なのは、お金の正しい扱い方を知ること。浪費を減らし、価値を生む投資を増やす。情報を集め、取捨選択する。お金について勉強し、実行して気づき、また勉強する。

自分の価値観を考え直すと、お金の使い方が変わることがあります。特に、見栄にこだわらなくなると、自分の大切なことにお金を使うようになります。

 

保険について

漠然とした不安を感じていた主人公。それは、ケガや病気についてだった。夫がケガをして、カフェを休業することに。母や妹が保険に入ることを勧めてきたが。

解答:
公的な社会保障はかなり厚い。それらの解説。公的保障の範囲外で、自分に必要な保険があれば入る(収入保険や医療保険など)。万一のときに必要な額を計算し、その目的を満たす最適な保険を選ぶ。生命保険では、残された家族や子供にかかる費用を計算する。

加入している保険の見直しは、かなり効果的です。

 

老後に備える

老後に必要な生活費を考えてみた主人公。もらえる年金額と、貯まる予定の貯金額の合計では、10年も暮らせない。暗い気持ちになる主人公。老後は暗いのか?

解答:
国民年金・厚生年金・共済年金など、年金制度を説明する。年金はベースになるので納付しよう。少額から資産運用もできる。勉強しながら、小さな金額で始めてみよう。

 

子供を育てる

主人公は、子育てしながら働く知人に刺激を受ける。子供をもつことを意識するが、教育費が心配だ。

解答:
出産にかかる費用と、それを補う保険制度を説明する。かかる教育費と、児童手当や補助制度の説明も。正しい知識を持てば、不安は消える。

老後の生活費も、子供の教育費も、正しい知識を持てば対策を考えられます。具体的に行動を始めれば、不安も減ってきます。

 

書評

漫画でストーリーが展開し、説明も入りますが、詳しい解説は文章となります。主人公の生活は漫画家自身が描き、お金の知識となる説明は、ファイナンシャルプランナーの方が書いています。

お金の知識を学ぶとっかかりとして、漫画は適当かもしれません。なぜかいつも月末にはお金がなくなり、支払いに困る。家計簿が続けられない。といったエピソードは読者の共感も得られそうです。

家計の収入と支出を知ること、先取り貯金、固定費削減など節約の工夫、資産と負債の考え方、住宅購入の考え方、公的な社会保障制度、必要となる保険の考え方、年金の基礎知識、子育てや教育費の実際、などの基本をきっちりと学べます。とりあえず人生で必要な、最低限のお金の知識は、網羅されている感じです。

ただし、どうしても教育的な漫画になるので、漫画そのものは特に面白いとは言えません。結局は文章で解説されます。

なお、夫がカフェを経営しているのでストーリーでは必要ですが、お店が利益を出すための会計知識が、この本の読者に重要なのかは疑問でした。

確かに、そのようなお金のセンスはとても大切です。ただ、こういった本の読者は、お金のことが全然わからない人のような気がします。お店の経営より、自分の生活や貯金が最大の問題だと思われます。ですので、お店が儲かる会計の話は、省いてよかったかもしれません。
(書評2015/11/10)

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「1行家計簿 世界一かんたんにお金が貯まる本」 天野伴(著)

 

気になる出費の中から節約するターゲットを選び、1日たった10秒記録するだけ!
すぐに貯金が始められます。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

どうしてもお金が貯まらない人。
いつの間にかお金が減っている人。
家計簿や支出管理アプリに挫折した人。

 

要約と注目ポイント

・何となくお金を使っていて、貯金できない。家計簿をつけたりするのに挫折してきた。1行家計簿は、そのような人たちでも実行できる、楽なお金の貯め方だ。

家計簿をつける目的は、ムダな出費を抑え、そのお金を本当に使いたいことにあてるため。だからムダづかいの1項目に注目し、その出費だけ記録して、ムダづかいを減らすのが最も手早い方法だ。

1行家計簿では、ひとつのムダづかいに集中します。

 

1行家計簿

・メリット
楽なので続けられる、ムダづかいの金額が明確、何をすべきかも明確、行動を変えられる、ムダな出費を使いたいことに使える。

何となく出費しているムダづかいを節約ターゲットにして、その出費額を使った時点で書く。振り返ったら、必要でなかったと感じる出費をターゲットにする。

お菓子、コーヒー、ジュース、お酒、タバコ、カフェ、飲み会、漫画、ゲーム、エステ、コスメ、服、美容院などの費用が候補になる。
例:仕事帰りに週3~4回コンビニに寄り、お菓子と漫画を買っている。この費用を集計。

日付と出費を記録するだけ。これを1か月続ける。
回数が多い習慣的な出費なら、1週間の集計でもよい。自分が一番よくいる場所に1行家計簿を置き、出費したらすぐに記録する。

家計簿としては、究極の手軽さです。

1か月(1週間)たったら、合計金額を書く。出費回数で割り、1回あたりの出費を計算する。

・回数が多く、出費額が大きい項目がヤバい。
回数は少ないが出費額が大きい項目や、回数は多いが出費額が小さい項目も、節約の効果あり。

ムダづかいを減らすには、回数を減らすか、1回あたりの金額を減らす。
その出費そのものをやめる、買い物自体の回数を減らす、1回あたりの上限額を決める、出費の対象をもっと安いものに替えるなど、行動を変える。

回数か金額だけを考えるので、節約の方法もわかりやすいです。

節約目標を決め、具体的な行動目標を立てたら、翌月から記録する。
節約した金額でやりたいことを考え、モチベーションを維持する。

・貯金は先取りで貯められる。
給料が振り込まれたら、まず決めた金額(割合)を貯金用口座に入れる。残りは全額使ってよいので、節約して本当に使いたいことにお金を使おう。
先取り貯金と、1行家計簿を組み合わせれば、お金が貯まる。

・1行家計簿を利用した、節約の具体例。
同僚との外食、仕事後の缶ビールとおつまみ、オンラインショッピングなどの出費を節約した実践的アドバイス。

・1行家計簿に成功したら。
①引き続き、今のターゲットを節約していく。
②別の節約ターゲットを考えてみる。
③普通の家計簿にステップアップ。
④節約が習慣になったなら、やめてもOK。

1行家計簿の成功は、貯金の達成感を味わえます。

 

書評

著者の編み出した1行家計簿ですが、極限まで労力をかけずに、ムダづかいを止めてお金を貯める方法論となっています。家計簿や支出管理アプリなどに挫折した人でも、記録をつけられ、支出を減らすことができる方法です。

そもそも家計簿は何のためにつけるかと言えば、支出の記録を振り返って、ムダな支出を削減するためだ、と著者は述べています。ですから、家計簿は継続的に記録して(データの収集)、長い期間の支出の記録を振り返り(データの処理と分析)、ムダな支出を洗い出してその出費を削り、お金を貯める(改善の行動計画と実行)という作業が必要になります。

あらためて書いてみると、確かに面倒です。家計簿をつけ始めても、そのうちやめてしまうのは、仕方ないかもしれません。また家計簿をつけても、分析できないので何をすべきかわからない、改善の行動計画を思いつかないので支出が減らせない、といったこともありそうです。

本書は、家計簿のルーチンワークについて、とことん簡略化しています。家計簿を、家計の業務改善というか、コスト削減というか、そんな仕事のようにとらえてみれば、本書では仕事の効率化を追求しています。

とにかく楽で負担のない形で出費の記録をつけ、ムダづかいを明確にし、わかりやすい形で行動計画が立てられます。1回あたりの出費額を減らすか、支出の回数を減らすかしかないのですから。

1行家計簿はわかりやすく、実行しやすい良い方法と思います。ですが普通のケースなら、1月あたり数千円の節約が限界のような気もします。

1冊の本に仕上げるのに、1行家計簿のネタだけだとちょっと物足りないからか、割と唐突に先取り貯金の方法が出てきたりもします。給料日に3万円とか5万円とか、手取りの10%とかを、貯蓄用口座に移しましょう。そうすればお金が貯められます。先取り貯金は最強の貯蓄術です。などと述べられたりします。

しかし、毎月数万円を必ず貯金するには、1行家計簿だけでは厳しい気がします。もし月数万円貯めるとなると、複数項目の1行家計簿とか、固定費の削減をやらないと難しいのでは?

ものすごく楽をしながら、1項目のムダづかいの習慣を見える化し、行動を変えて節約する。そこで節約したお金は、本当に使いたい項目に使う。節約の意識や習慣が身につけば、なお良い。貯金を始める第1歩になる。

1行家計簿の意義は、そのようにまとめられそうです。家計全体の改善には、さらに何らかの手段が必要なように感じました。
(書評2015/11/09)

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「3年間で120万円貯金できる! 手取り月20万円からの3つのサイフでらくらく貯まる方法」 横山光昭(著)

 

手取り20万円でも、3年で120万円貯められる方法を教えます。

 

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

家計が苦しい人。
お金の知識がゼロの人。

 

要約と注目ポイント

お金を貯めるためには、3つのサイフを持つ。ここでいうサイフとは、口座のこと。

①生活費を入れる口座(使うサイフ)
②貯蓄の口座(貯めるサイフ)
③資産運用の口座(増やすサイフ)

3つの口座に分けて管理すると、お金は貯められる。

はじめに「使うサイフ」を貯め、次に「貯めるサイフ」に貯めて、最後に「増やすサイフ」に取りかかる。順番を守ること。

 

口座を分けると、お金の入ってくるところと、出ていくところがよくわかります。

 
お金持ちとは、お金に悩まずに生きていける人。3つのサイフがあれば、あなたもお金持ちになれる。

お金を貯められるかは、基本的なことをきちんとできるかにかかっている。

 

価値観や生活習慣も大切です。

 

3つのサイフを始める前の準備

家計の支出を、固定費と変動費に分けてみる。

①固定費(住居費、保険料、小遣いなど)から削減していく。

まず生命保険料を見直す。

子供が生まれたとき、少額の負担でかけられる、収入保障保険である死亡保障だけ必要だ。医療保障(がん保険)は、自分の事情に合わせて検討する。

賃貸に住んでいるなら、家賃の安い部屋への引越しを検討する。

携帯電話や固定電話、インターネット接続のプランを見直し、通信費を削る。

自由に使える小遣いは、手取り月収の7%まで。

国民年金は払いましょう。

住宅ローンがあるなら、借り換えで少なくできるか調べる。「貯めるサイフ」が貯まり余裕があるなら、繰り上げ返済も考える。

 

固定費の節約は、貯金の基本です。

 
②変動費は、消費、浪費、投資に区別して、不要な支出を減らす。

お金を使うときに、消費か浪費か投資か、自問してみる。

浪費の部分を自分で見つけ、削減していく。家計簿をつけたり、レシートを残したりして、自分の浪費の習慣を見える化し、生活を改善する。

消費、浪費、投資の理想の比率は、

消費70%
浪費5%
投資25%(内訳は、貯金などの金融投資:手取り月収の6分の1である16.7%、自己啓発などの自己投資:8.3%)

となる。

 

自分にとって大切なことは何か考えると、明確に区別できます。

 

使うサイフ

「使うサイフ」は、常に手取り月収の半分が入っている状態にする。

毎月、手取り月収の10%を残していき、手取り月収の半分まで「使うサイフ」に貯める。(5か月で貯まる。)急な出費をカバーするのが目的。

 

「使うサイフ」で大切なこと

赤字の家計は、必ず黒字にする。
イレギュラーな支出があっても、イレギュラーな節約で埋める。

月の生活費を5等分し、1か月を5週間と考え、1週ごとにお金を管理する。
買い物は週に2~3回まで。

クレジットカードはなるべく使わない。買い物依存症の人は、デビットカードを利用しよう。

収入が少し増えても、生活レベルは変えないこと。

お金を使わなくても、楽しく暮らす方法はある。

 

次の給料日までの日数を考え、1週ごとにお金を分けるのがポイント。

 

貯めるサイフ

毎月、手取り月収の6分の1を残し、手取り月収の6か月分を「貯めるサイフ」に貯める。(3年で貯まる。)生活防衛資金であり、病気や失業に備えるのが目的。

 

「貯めるサイフ」で大切なこと

給料が入ったら、はじめに6分の1を先取りして天引きする方法がある。

「貯めるサイフ」が貯まったら、旅行などの目的別貯金をしてもよい。

子供の教育費は、必要額を計算し、長期的に目的別貯金として貯めていく。

住宅の購入は慎重に。買うなら、頭金として物件価格の2割は用意する。

ボーナスの7割は、「貯めるサイフ」や「増やすサイフ」に入れる。3割は自由に使ってよい。

 

貯めるサイフにきっちり貯金できれば、生活が安定します。

 

増やすサイフ

「貯めるサイフ」に手取り月収6か月分が貯まったあとに、「増やすサイフ」にお金を入れていく。毎月、手取り月収の6分の1を残して、「増やすサイフ」に入金する。

長期分散投資をして、安定的に増やすのが目的(インフレ対策)。

 

「増やすサイフ」で大切なこと。

投資では、金融投資でお金を増やすことと、自己投資で自分を育てることを考える。

金融投資である「増やすサイフ」は、証券会社の口座でつくる。

長期的に、毎月こつこつ積み立て購入で、分散投資をしていく。

英語、IT、ファイナンスのスキルを学び、人脈を広げ、自分の器を大きくするなど、自己投資も大切だ。

 

増やすサイフとは、お金に働いてもらうこと。それから、自分の稼ぐ能力を上げることです。

 

書評

非正規雇用が労働者の4割となり、自分の生活や人生を、会社に頼れない時代です。お金の知識を身につけ、身を守れる額の貯金をつくることは大切です。

家計が常に苦しい、お金を貯める方法がわからない、という人に本書をおすすめできます。

お金の相談に来た人の生活を見直し、行動を改善させ貯金できる体質に変えるのが、著者の真骨頂という印象です。

以前に、同じ著者の「年収200万円からの貯金生活宣言」を紹介しました。「年収200万円からの貯金生活宣言」でも、アドバイスは似ていました。

横山氏は著作がとても多いので、どれを読めばいいのかよくわかりませんが、貯金に対するアプローチは一貫しています。

自分の生活をしっかり見つめ直し、貯金ができる行動様式を身につけさせるのが得意なのだと思います。

大げさに言うと、人生に規律を持たせて、目標に向かって一歩ずつ努力させるように仕向けるわけです。その目標が貯金であり、その延長として自己投資での自分の成長です。

生活を見直し、不要な支出を減らす。日常の急な出費に備えた貯金、そして病気や失業に耐えるための生活防衛資金をつくる。そのあとから長期投資として、積み立てで投資信託を買っていく。

実に王道で真っ当な方法と感じました。

著者が最も得意なのは、生活の見直しで貯金できる体質にするところだと思います。純粋な金融投資については、もっと突き詰められると思います。

バランス型ファンドよりは、手数料のさらに安い、グローバル株式ファンドとトピックス連動型ファンドを組み合わせるとか。

ただ、お金知識ゼロの人を読者に想定しているので、そこまで要求するのは酷でもあります。

あと付け加えるとすれば、本文の解説で、株式と債券を両方持てば資産運用が安定するとしているのは、修正の余地がありそうです。

本書の出版が2013年9月なので、こちらもそこまで求めるのは厳しいかもしれませんが、現在、債券を買う意味はほとんどないと私は考えます。

先進国すべてがゼロからマイナス金利なので、債券は値上がりの期待よりは、値下がりリスクの方が大きいと言えます。今の状況では、株式が暴落した局面で債券が値上がりするかは不明です。

今なら、債券を買う分のお金は、普通預金で十分と思います。その普通預金は、経済状況が変わってきてから運用を考えれば良いでしょう。
(書評2015/11/08)

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「40兆円の男たち」 マニート・アフジャ(著)

 

世界で今もっとも活躍し影響力のある、ヘッジファンドのマネジャーの素顔に迫ります。成功する投資家の戦略を学べる本です。

成功しているヘッジファンドマネジャーは十人十色ですが、共通点もあります。

強い目的意識、優れた管理能力、向学心、何になぜどのように投資するかを深く考える、持続可能な形で他人と違うことをする、不快な感情に対応する、失敗から学び軌道修正する、といった特徴を9組のインタビューから発見できるでしょう。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

市場に勝ち続けてきたヘッジファンドマネジャーに興味がある人。

 

要約と注目ポイント

市場に勝ち続け成功している、特別な存在となった、ヘッジファンドマネジャーの投資人生を紹介する。

レイ・ダリオ

グローバルマクロ戦略を採る、世界で最も大きく最も成功したヘッジファンドがブリッジウォーター・アソシエイツである。レイ・ダリオが創設した。

「失敗や大変な経験から学ぶ」、「真実を追及する」、「自分自身を進化させる」、「現実に対処する」ことに断固として集中する。

彼のレポートは、各国の中央銀行や国際機関、大企業、年金基金等で読まれており、強い影響力を持つ。

マーケットと無相関のアルファを追求し、運用ではアルファとベータを分離する。

歴史から学ぶことで、普遍的な投資法や危機管理の原則を確立する。

環境が変わると、各マーケットのベータはそれぞれ異なった影響を受ける。

複数の相関性のないアルファをポートフォリオに入れることで、期待リターンを保ったままリスクを減らす。

リスクパリティと呼ばれる手法を、理論的に構築する。(ポスト・モダン・ポートフォリオ・セオリー)

ピエール・ラグランジュとティム・ウォン

マン・グループとGLGパートナーズの合併により誕生した、世界最大級のヘッジファンドの主要幹部である。

長期の結果を重視し、大きなトレンドから利益を得る。

リスク管理が重要で、勝率を高めることと資金を守ることが基本である。

優秀なマネジャーの自主性を尊重するが、投資のプロセスやリスクは管理する。

ジョン・ポールソン

イベントの裁定取引を基本事業とする。

一流ファンドとなることをめざし、キャリアを積み、好業績を続けてファンドを成長させた。リスクとリターンが不釣り合いな、有利な取引を一貫して追求してきた。

そしてその経歴が、名高いサブプライム市場の空売りにつながった。150億ドルの利益をもたらしたサブプライム証券の空売りで、一躍トップに立つ。その後も大規模な裁定取引を続ける。

マーク・ラスリーとソニア・ガードナー

破綻のおそれがある企業や再建後の企業などの、過小評価された債券や株式に投資するディストレス戦略を行う。

豊富な経験と保守的な運用で、有力なディストレス戦略ファンドに拡大する。その冷静な投資戦略は、金融危機後のフォードの取引でも発揮され、2009年には60%のリターンをあげた。

デビッド・テッパー

信用アナリストとして出発し、ゴールドマン・サックスで債券部門のトレーダーとして大きな利益をあげる。

独立後は、他社に先駆けた積極果敢な投資で、好パフォーマンスを連発する。これは、市場がパニックに陥ったときにも冷静でいられるので、誰よりも早くリスクをとって投資ができるからだ。

ウィリアム・A・アックマン

有力なアクティビストとして知られる。投資先の企業に働きかけ、長期的な企業価値を高めることで利益を得る。

楽天主義者であり、自信満々な態度のため、攻撃的ととられることも多い。

ロックフェラーセンターへの投資、シアーズへの投資、ウェンディーズやマクドナルドへの投資、破産したリートへの投資などで成功する。しかし、検事や証券取引委員会に目をつけられ、取り調べを受けたこともある。

ダニエル・ローブ

自信家で自己主張が強いことで有名である。アクティビストというイメージがあるが、債券取引や裁定取引、ディストレス戦略やイベントドリブン戦略などもこなす。

金融危機前のサブプライム市場の空売りと、2009年の大底での大胆な投資に成功する。ヤフー経営陣へ、積極的な提案も行った。

ジェームズ・チェイノス

空売り専門のファンドマネジャー。早くから、大企業だったエンロンやタイコの巨額不正会計に気付く。決算書を読み込むファンダメンタル分析を核に、ボトムアップの手法をとる。

企業の年次決算書を3回読んでも理解できないときは、詳細を調査せよ。逆に買いの投資家なら、逃げること。

流動性のある大型株か中型株で、空売りを行う。

アナリストは調査に専念し、ポートフォリオマネジャーやパートナーが投資判断を下す。

決算が改竄される可能性はかなりあるので、知的好奇心や疑問を持つことが大切だ。

バブルのような過剰評価や、ある流行がいつまでも続くといった誤認のあとに、空売りのチャンスが生まれる。

2011年以降、中国に対し最大の空売りポジションをとっている。

ボアズ・ワインシュタイン

若くしてドイツ銀行の幹部となり、自己勘定取引で利益を出し続けていた。独立後も、金融危機のさなかに大きな利益をあげる。デリバティブ取引を得意とする。

登場する投資家は、皆すごい能力を発揮し、抜群の成績を残しています。長年の研究、実践、経験。すぐにまねできることはないです。ただ凡人であっても、日々経済と市場を冷静に観察し、勉強するのはムダではないでしょう。

 

書評

成功しているファンドマネジャーにインタビューする本ということで、「マーケットの魔術師」に似た企画です。勝ち続けるファンドマネジャーから学びたいと考え、読んでみました。

ただ登場する人たちが凄すぎるので、個人投資家のトレードや投資には、それほど役立たないような気もします。

素人の意見ですが、私は2007年から始まった金融危機を境に、その前と後では世界が変わったと考えています。リーマンショックに象徴される危機は去ったような風潮ですが、後始末は済んでいないと思います。

日米欧の中央銀行が金利をゼロにして、それでも足りずに莫大なリスク資産を買いっ放しです。危機から7~8年経ちますが、金利を上げることも、買い入れた資産を処分することも、とてもできそうにありません。

中央銀行や政治家が、あからさまにマーケットに介入し、リスク資産の価格形成に関与しています。そういった意味で、金融危機前後でゲームの進め方が少し変わったように感じます。

ですから投資の本では、金融危機後の内容まで含んだものを読みたいと思っています。優秀な成功している投資家が、金融危機後の世界をどのように見て、どう考えているのか、それを知りたいからです。

本書は、金融危機のあとで超トップレベルのマネーマネジャーが何を考えているか語るので、有意義な本だと感じました。

とはいえインタビューは2012年ごろまでに行われたようです。アメリカの利上げ、中国経済の減速とそれに伴う新興国の低迷という、2015年現在の重大事項をどう見ているのか、教えてほしいものです。

「続マーケットの魔術師」「リスク・テイカーズ」などを読んで楽しめる人には、面白い本でしょう。
(書評2015/09/12)

アマゾンでのご購入40兆円の男たち
楽天でのご購入40兆円の男たち

「最強の「先読み」投資メソッド」 土居 雅紹(著)

 

中央銀行がつくりだした金融緩和バブルも、そろそろ危ない。著者によれば、2016~2017年にかけて破裂の恐れがあります。バブル崩壊に備えた投資法を教えます。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

世界経済に興味のある人。
投資をしたいが、暴落には巻き込まれたくない人。

 

要約と注目ポイント

バブルの基礎知識

金融市場では、10年に1回くらいバブルが発生して崩壊する。近年はグローバル化のため、世界のあらゆる市場で同時に暴落が起きる傾向がある。

ITバブルのようにブームが限定されていたり、バブルが株式市場にとどまれば、参加者は少ない。不動産でもバブルが発生すれば、一般人の多くが巻き込まれ、社会的影響は大きい。

アベノミクスは、世界中で行われている量的緩和バブルの一部である。バフェット指標で見れば米国株はバブルの領域で、日本株も高い水準にある。

サブプライムバブルの株価のピークは2007年で、すでに8年経っている。中央銀行の量的緩和で生じた金余りバブルも、そろそろ破裂の可能性がある。

2009年からアメリカの株式市場は上がり続けており、そろそろ危険と考えています。毎年1~2回、世界的に株価が急落するときがありますが、まだ相場は崩れていません。

バブルの発生条件

①通貨が過剰に供給される。金融緩和でカネ余りとなる。

②前回のバブル崩壊から時間が経過した。バブルの痛い思いを忘れた。

③投機を正当化するもっともらしい理由がある。楽観的な夢を抱く。

バブル崩壊の原因となりそうな出来事

大本命はアメリカの利上げ。過去の例では、最初の利上げをして6カ月から2~3年で株価が下落に転じている。

その他
①中国不動産バブルの崩壊。

②日本の消費税再増税。

③中東情勢。

④原油安。

などなど‥‥

総合的に考えると、2016~2017年頃が危ない。

バブル発生の条件は存在し、アメリカの利上げも近いのですが、崩れそうで崩れません。

バブルの天井で避けるべき行動

①多額のローンでマイホームを買う。

②海外旅行。骨董品や美術品の購入。(不景気のときは安い。)

③節税目的の不動産投資。

などなど‥‥

バブルの天井でとるべき行動

①半年分の生活費と、投資用資金を貯める。

②割高な保険や金融商品を整理する。

③暴落時の投資候補を調べ、リストにする。購入予定の不動産や高額商品を下調べする。今は買わない。

などなど‥‥

バブル進行中の注意点

①プロ、専門家、専門機関、メディア、政府、すべての人が間違える。多数派の意見を鵜呑みにしない。混雑した投資対象には投資しない。

②株価の目標価格がどんどん上方修正される。前年のパフォーマンスがものすごく良い。(自分も含め)多くの人が儲け自慢をする。これらの現象があれば、危険な兆候。

などなど‥‥

長年成功している投資家は、バブル発生と崩壊のサイクルを、適切な行動で乗り切っています。

 

バブルへの対処を含んだ10の投資法

以下の10の投資戦略から、自分に合うものを3つ併用する。併用することで、どのような経済環境になってもパフォーマンスが安定する。

リターンを狙う積極的な5つの投資法

①日本株と米国株(のETF)を、10月末に買い、4月末に売る。

②バフェット流に、暴落前に現金ポジションを多く持ち、暴落時に優良株や株価指数ETFを大量に買う。しかし、大底を見極めるのはとても難しい。S&P500が直近高値から30%を超えて下落し、S&P500のVIX指数の月中高値が45超となったあと、落ち着いて35まで下がったときを買いタイミングとする。

③トレンドに乗る、順張り投資。

などなど‥‥

守りを重視した5つの投資法

①10月末買い、4月末売りの手法に、トレーリングストップを加える。

②今後の生産年齢人口の伸び、若年層識字率、識字率の伸びしろを参考に、将来性のある国に長期投資する。フィリピン、メキシコ、アメリカ、インドネシア、インド、エジプト、ナイジェリア、バングラデシュなど。

③ゴールドへの投資。金ETF、金ミニ先物、金レバレッジトラッカーを買う。

などなど‥‥

10の投資法は面白いです。自分でもできそうな方法もあります。

 

そのほかの解説

NISA利用の注意点。

退職金を運用するときの注意点。

アベノミクス後の展望。

 

書評

前半では、世界経済の現状と、過去のバブル相場の特徴を解説しています。それをふまえて、バブル相場の暴落に巻き込まれないためにどうするか考察します。

後半では、繰り返されるバブル相場を考えたうえで、10の投資戦略を紹介します。さらに、NISA、退職金の運用、アベノミクスの今後といった、個別事項も取り上げます。

前半は、具体的なデータを揃え、グラフも豊富で、読みやすい解説となっています。内容に大きな驚きはないですが、簡潔に今の金融市場を復習できます。

リーマンショックを受け、各国の中央銀行が超金融緩和を行いました。危機はひとまず去りましたが、リスク資産の価格が相当割高になってきたので、そろそろ危ないです。アメリカの利上げが一番重要です。

後半の10の投資法ですが、詳細は本書をお読みください。10あれば、1つや2つは気に入る投資法もあるかと思います。

投資戦略が一本足打法だと、大失敗もあります。考え方の異なる投資戦略をいくつか用意し、運用を分散しておけば、パフォーマンスの安定化につながると思われます。自分に合う投資法があれば、取り入れてみるのも一案でしょう。

NISAについては、損益が相殺できないという最大の欠点をどう克服するか考えます。退職金の運用は、一言でまとめれば、浮かれていきなり全額を投資するなということです。

最後のアベノミクス後の展望ですが、これは私も一生懸命考えています。私の考えは、当局は金融抑圧政策を取る(緩いインフレを起こしながら長期金利を低く抑える)というものです。

安倍政権は、もう政府債務を返済する気がないと感じます。ゆっくりゆっくり、政府債務を預金者(国民)の資産と相殺していくのでしょう。

本書ではこれに関連し、デット・ジュビリー(Debt Jubilee)が説明されています。私は初めてこの言葉を聞きました。

中央銀行が、発行した通貨で国債を買い、その国債をバランスシート上の資産とします。その資産を通貨発行分の負債と相殺すると、債務が消えるというものです。その方法の変形として、中央銀行が国債を永久に保有するという手もあります。

そうすれば日本のGDP比243%、1000兆円の公的債務が消滅するのです。しかし、そんなことが本当に可能なのですか?

私の頭では、よくは理解できませんでした。このデット・ジュビリーの結末を、著者ははっきりとは書いていません。ですが、どうも円安(経常赤字の定着)で持続不可能になると示唆しているようです。

私も、通貨安が止まらなくなったときが金融抑圧政策の限界かなと、ぼんやり想像していました。財政ファイナンスと通貨高への介入は無限にできますが、通貨安への介入は限度があります。円安が止められなくなり、インフレが制御できなくなれば、アベノミクスの終わりかと考えさせられました。
(書評2015/07/26)

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