不動産投資を始めたいが、どこから手をつければいいかわからない。本書では、そんな初心者でも、独力で不動産投資に成功できることを目標としています。
おすすめ
★★★★★★★☆☆☆
対象読者層
不動産投資に興味がある人、不動産投資を始めたばかりの人。
超初心者ではなく、初心者向けの本と思われます。経済や金融、税金のことなどをそれなりに知っていることが必要です。
要約と注目ポイント
不動産投資の本は多いが、初心者の役に立つ本は少ない。しかし、本書の目的はシンプル。
ひとりで「物件を選び購入し、その保有物件を適切に運営して、売却まで見通しつつ資金管理ができる」ようになることだ。
不動産投資の魅力
毎月の固定収入がある。給料以外の収入があることで、生活に安心感やゆとりが生まれる。失業や老後の心配が減る。
不動産投資は、しっかり学べばミドルリスク・ミドルリターンの投資だ。
不動産投資は、基本的にはインカムゲイン狙い。売却時に利益が出たら、さらにラッキー。(キャピタルゲインを得るには、不況時に安く買うなどの努力が必要。)
不動産にかかるコスト
不動産にかかるコストの解説。
購入するときは、仲介手数料、印紙代、不動産登録免許税、不動産登記手数料、固定資産税、不動産取得税、各種保険料。(だいたい物件価格の10%と考えておく。)
保有しているときは、固定資産税などの税金、火災保険料、管理費、修繕積立金、PMフィー。
入居者が退去したときは、リフォーム費用、テナント募集費。
不動産投資で成功するには
失敗を避けるには、不動産投資の勉強をして、良い物件を選び、自分の資金力を超える投資をしないこと。
最初はワンルームや1Kの区分所有マンションから小さく始めて、知識と経験を積む。はじめはローンを利用せず、貯めたお金で購入する。
入居者が入りやすい、転売しやすい物件を探し、表面利回りが12%以上なら投資を検討する。
経費削減のやり方。
家賃を維持する(家賃を上げる)、空室をつくらない工夫。
5年後に売却することを考えて、物件を購入する。実際に売却するときのやり方。
投資を検討すべき地域や、物件のタイプとは。避けるべき物件とは。
購入したい物件が見つかったら、利益計算のシミュレーションをする。
購入までの契約の流れ
賃貸借申込書や重要事項に係る調査報告書をチェックして、入居者や物件を調べる。
不動産買付証明書について。
ローンを組むときには。
売買契約時に必要なものや、確認しておくべきこと。
残金決済と物件引き渡しについて。
不動産投資における資金管理
資金管理はとても大切。
購入前に、しっかりと物件の収支をシミュレーションしておく。さまざまな状況を想定して、自分で長期の利益計算をすることが、成功する大家には必要。
レントロール(賃貸借条件の一覧表)をつくって、保有している物件を管理する。毎月と毎年の収支を把握する。
毎年の収支を把握して、5年後以降の売却など、長期の戦略を考えていく。
書評
「不動産投資に初めて挑戦したい」という人に、本書は適しています。経済やお金についての基礎知識があれば、不動産投資をよく知らなくても、一から学ぶことができます。
投資資金の大部分をローンで賄ったり、最初からアパート一棟、マンション一棟の投資を勧める本もありますが、本書はかなり安全志向です。
スタートとして、貯金で区分所有マンションを一戸買うことを推奨しています。そして知識と経験を積み、人脈等を広げたのち、規模を拡大していく戦略です。
ローンで不動産投資をしたり、一棟のアパートやマンションを建てる利点も理解できますが、まったく初めてなら、やはり区分所有マンションが出発点かな、とも感じます。
本書では、不動産を購入する時期が重要、という指摘もあります。不動産市況が悪いとき(不動産価格が安いとき)をじっくり待て、という教えです。不動産は高い買い物ですから、確かに買い時の見極めも大切です。
現在は不動産価格もかなり上がった印象です。不動産を買いたいなら、じっくりと勉強し、物件の相場観を養いつつ、気長にチャンスを待つのがいいかなと思います。
(書評2017/11/11)