「お金を貯める・お金持ちになる」カテゴリーアーカイブ

「いますぐプライベートカンパニーを作りなさい!」 石川 貴康 (著)

 

会社員が勤め先に頼ることなく、経済的に真に自立する方法を紹介する本です。

 

おすすめ

★★★★★★★☆☆☆

 

対象読者層

将来や老後のお金のことで、心配している人。
副業に関心がある人、もう副業をしている人。
不動産投資に関心がある人、不動産投資を始めた人。

 

要約と注目ポイント

日本の会社員の未来は暗い。給与は上がらないのに、負担する税金や社会保険料は上がる一方だ。

こんなつらい状況から抜け出すには、ただやみくもに働くだけではだめ。税金の知識を身につけ、プライベートカンパニーを使いこなし、不動産投資を行って、安定した豊かな生活を実現しよう。

 

これから豊かに暮らすためには?

不動産投資をすると、劇的に生活は変わる。(もちろん良い方に。)

子育てしている夫婦や、おひとり様の会社員などの例で、家計や資産がどう変化したかを見る。

 

お金の流れをコントロールする

まず、税金の基礎を知る。(収入や所得、控除などの説明あり。)

とにかく控除を使い切り、課税所得を最小化するように考える。そして可処分所得を大きくする。

 

可処分所得を増やすために、プライベートカンパニーを使う。何らかの事業を始めて収入を生み出し、さらに経費を計上して事業支出とする。この支出を課税所得側に付け替えて、課税所得を下げるのが基本。

 

控除を使い税金を減らす

扶養控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、雑損控除、住宅ローン控除、配当控除、ふるさと納税、災害減免法など、使えるものはすべて使う。

 

ただ、政府の政策が変わると、控除はなくなる可能性もある。お金を残す王道は、やはりプライベートカンパニー。

 

プライベートカンパニーを利用しよう

不動産投資がおすすめだが、趣味の延長など自分のできることで副業を始めてみよう。

法人でなくても、最初は白色申告でも青色申告でも良い。事業は何でも良いので、税務署に認められるように、それなりの規模で継続性のある実態にまで成長させよう。

白色申告、青色申告、法人についての比較や説明。

事業に関わる支出を経費にする。税金を引かれる前に事業支出として物が買える、という最大の利点を活かす。個人の支出も、事業に関係する割合に応じて、按分で経費にする。

プライベートカンパニーの損失は、自分の給与所得と相殺して、税金を減らせる(損益通算)。ただし、不動産所得・事業所得・譲渡所得(総合課税)・山林所得に限る。

家族に給与を払えば、課税所得を減らせる場合もある。

最後は法人化を検討しよう。信用力が上がり、経費化しやすく、損失の繰り越しも長くできる。相続税でも有利。将来は、法人税が軽減され、個人課税が強化されると予想される。

 

プライベートカンパニーを使いこなすことで、サラリーマンも税金の負担を減らし、実質的に豊かな生活を手に入れることができます。

 

プライベートカンパニーの実践例

妻(配偶者)に専従者給与を払う例。

妻(配偶者)をプライベートカンパニーの経営者にする例。

田舎の親をプライベートカンパニーの経営者にする例。

独身の会社員が不動産投資を事業化する例。

不動産投資を始めるなら、ワンルームマンションから練習すると良い。土地勘があり単身者が多い地域で、駅近の居住用物件がおすすめ。良い管理会社を探して長くつきあえれば、メンテナンスも楽になる。

そのほか、法人設立の例。

勤務先の会社は、あなたの会社ではない。勤務先は、あなたの人生に責任を持たない。自分で稼ぐ事業をつくり、豊かな生活と安心の老後を実現しよう。

 

現在の日本の税制だと、安定して給与をもらえる会社員は、不動産投資との相性が良いようです。

 

書評

普通のサラリーマンが、どうしたら余裕のある生活を送り、老後の心配をなくせるか?

給与は上がりにくく、税金や社会保険料の負担が増え続ける現在。がむしゃらに働くだけでは、お金を貯めたり、安心老後を実現するのは難しいです。

本書では、税金の知識を身につけ、何らかの事業を始めることで、税金の負担を減らし可処分所得を増やす方法を教えてくれます。特に、不動産投資について詳しく書かれています。

 

サラリーマンが法人化して豊かに暮らす、という概念は、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ」橘玲(著)でも書かれているので、こちらの本も参照してください。

また、不動産投資をして節税をしながら、レバレッジをかけて資産を速く増やしていく点や、自分のビジネスを持てと強調する点は、「改訂版 金持ち父さん貧乏父さん」ロバート・キヨサキ(著)に通じるところもあります。

しかし上記の2冊より本書の方が、2016年の日本の会社員には、税制面でさらに適した解説です。資産運用に興味があったり、将来に経済的な不安を抱えている人は、読んで損はない本だと思います。

 

なお本書では不動産投資を勧めており、毎月給料をもらうサラリーマンには不動産投資が相性が良いと私も感じました。ただし、本書でも少し書かれていますが、税制は政治状況によってすぐに変更されます。

不動産所得の赤字を給与所得と相殺して税金を減らす、といった方法が永続的かは疑問です。日本の財政は極めて危険な状態に移りつつあり、どんな税制になるかは予断を持たない方が良いでしょう。

本書を読むと不動産投資を始めたくなります。私はこれからの日本の不動産に悲観的なのですが、それでも不動産投資をしてみたくなりました。

節税できるという視点ではなく、物件や土地自体が利益を生むと判断できる場合のみ、投資を検討したらいいのではないでしょうか。
(書評2017/10/29)

「ずさんな家計を整えました。 ずぼらさんのためのお金安心塾」 上大岡トメ/畠中雅子(著)

 

家計簿がつけられない。小さな節約をするのは面倒だ。そんな人に向いた本です。
ずぼらでも家計が管理できて、お金の悩みがなくなります。

 

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

家計の管理ができず、貯金も節約も苦手な人。

 

要約と注目ポイント

主人公はイラストレーター。

家計簿をつけられない、レシートが山になっている。行き当たりばったりのどんぶり勘定でやってきた。

お金に対しずぼらだったので、お金にふりまわされてきた人生。

お金と上手に付き合う決意をし、ファイナンシャルプランナーに助言をもらう。

 

家計簿はつけなくてよい。

記録と残高が合わない。お金を使ったとき、支出はどの項目に入れるのか迷う。これで挫折する。

生活費は大きな変動はなく、毎月だいたい同じ。

大きな額の特別出費をおさえることをめざす。

 

忙しい毎日、家計簿をつけるのは面倒。家計簿をつける必要がないことはポイント。

 

特別出費に注目する。

特別出費とは、1年のどこかで払う大きな出費。

大きな額の買い物、祝儀や香典などの交際費、保険料や税金、車の費用、教育費、家の修繕費、旅行などのイベント費用、ペットの費用、事故や病気の費用など。

特別出費の合計額はかなり大きく、年ごとに変わるので、特別出費の実態をつかむこと。

 

予測していない、突然の大きな出費が家計に大ダメージとなる。

 

家計の収支をつかみ、特別出費に備える。

年に2回、通帳をチェックする。年末と7月1日にすべての通帳の残高を合計。その差で収支をみる。

家計簿をつける余裕があるなら、3カ月つけてみよう。自分がどのような項目に、お金を使っているかがわかる。

お金の使い方がわかれば、ムダを減らし節約する方針が立てられる。

どのような特別出費があるか把握し、支払い計画表をつくって備える。

 

何にどれだけお金を使っていたか知ること。特別出費に対応できれば、家計は管理できる。

 

特別出費を削る。

自動車税と自動車重量税の節約法。都市部に住んでいれば、カーシェアなどを利用。

消費税増税など大規模なキャンペーンが行われるときは、終わったあとの方が値引きされることがある。

保険は、契約の見直し、早割更新やインターネット更新で節約、長い契約期間で節約。

服を買うのが好きなら、過去半年の服代をざっと計算し、予算をその8割に抑える。8割で済むよう、あらかじめ計画して買い物に行く。(外食好きなど、他の例でも同様。)

家電は値段を下調べし、値引き交渉し、本当に必要な物だけ買う。

自分が大好きなイベント(旅行や観劇など)のためなら、目標を持って貯金できる。

高校までの教育費は、家計内でまかない、貯金を切り崩さない範囲にする。

特別出費はいついくらかかるか予測し、毎月貯金する。

 

ありがちな特別出費について解説。これを削ることができれば、家計は黒字に。

 

ライフプランを書く。

将来の予定や出費を書き込んでみよう。確定した予定も大きな夢も、できるできないやお金は関係なく、具体的に書いてみる。

 

自分の気持ちを正直に、ライフプランに表現してみよう。昔の夢を思い出すかも。

 

生活設計能力を上げる。

お金を貯めて配分する能力(生活設計能力)を高めよう。ひとりの専門家の意見に絞る。詳しい人に直接聞く。天引き貯金などの方法で、自分のできることをする。

 

お金の知識とか、金融リテラシーなどと呼ばれます。学校では教えてくれないので、自分で積極的に学ぼう。

 

書評

ほのぼの系のイラストで、すっと読み進められます。

通常の生活費は月々であまり変動がないので、家計簿をつける必要は無し。毎月ではない、額の大きな特別出費だけ注意する。というアドバイスは参考になりました。

なるべく苦労しないで家計の収支を知って、大きな出費に備える。それによってお金の悩みを減らし、毎日を楽しく暮らそう。という考え方の人には良い本です。

家計をきっちり管理するとか、貯蓄して老後資金をつくるという方向の本ではないです。

家計管理や資産管理、老後資金の準備などを、系統立てて説明はしていません。あくまでもお金の知恵をつけるエッセイ、といった明るい読み物です。

つきあいというか、交際の生活の知恵みたいなコラムもあります。食事の会計の割りかん、香典やお祝い、ホームパーティーの手みやげ、お店選びなどがテーマとなっています。

少し気になったのは、生活設計能力を上げるには、参考にする意見をひとりの専門家に絞れ、というアドバイスです。

確かに今は、情報が多すぎて混乱しやすいです。ただ、いろいろなメディアで専門家の意見や解説を見たとき、それって間違いでは?適切なアドバイスではないような?ということがけっこうあります。

早い段階で専門家をひとり選び、その人の意見だけ参考にしていると、不利な方向に進む危険もあるように思いました。

ファイナンシャルプランナーご本人が、天引き貯金として、教育費のためこども保険に、老後資金用のため個人年金保険に加入されているようです。

これも私は、あまり良い選択ではないように感じました。手数料の分だけ不利だと、私は思います。

教育費は、単純に自分で行う天引き貯金の方が良いように思います。

そして個人年金保険ですが、手数料の高さやお金を動かせる自由度の面で、自分で行う積み立て投資に劣ると考えられます。インデックスファンドを自動積み立てで購入するなら、天引きという点は完全に同じです。
(書評2015/11/17)

「本気で家計を変えたいあなたへ 書き込むお金のワークブック」 前野彩/内藤忍(著)

 

お金のことがよくわからず、何となく将来が不安なあなた。
本書でお金の知識を学べば、人生が変わります。

 

おすすめ

★★★★★★★☆☆☆

 

対象読者層

お金のことがよくわからない、お金が貯まらない、将来が不安な人。

 

要約と注目ポイント

お金のことがわからず、あなたもお金で悩んでいるのでは?

本気でお金に向き合い、お金の知識を身につければ、家計のムダも削れるし、将来の不安が解消できる。

本書の使い方は、まず基本的な知識を学ぶ。

そのあと記入シートに書き込むことで、自分の場合どうなるかが具体的にわかる。

そして行動し、家計を改善していく。

 

お金を貯める

お金を貯めるには、がんばらなくても続く「しくみ」をつくる。

①現在の家計を把握し、貯金の目標を設定する。

②お金が貯まらない原因と対策を考える。

③自分に合う、がんばらなくてもできる家計管理を実行する。

 

いつも節約を心がけるのではなく、支出が収入より小さくなる状態をつくります。

付属の記入シートを使う。

家族構成、収入、貯蓄、1年間の貯金額、ローン、子供の教育プラン、項目別の支出を記入。

万円単位、千円単位でざっと書き込む。現在のお金の使い方がわかる。

 

家計簿

家計簿は、ムダづかいせず使いたいことにお金を使えているか、管理するための道具。

家計簿を楽につけるポイントを解説。

 

家計簿は、お金の流れを見るためのもの。お金の動きがわかれば、何をすべきかわかります。

 

将来の支出にそなえる

いつ、いくらお金が必要なのか、はっきりさせて理解する。

そうすれば計画的に貯金をすることで不安はなくなるし、今の生活にお金を使って満足することもできる。

 

目的別の貯金

車の購入や旅行、教育資金、老後資金などは、目的別の積み立て貯金がおすすめ。

将来のライフイベントに向けて積み立て貯金をすれば、無理のないペースでできるし、モチベーションも上がる。

毎年の大きな額の特別支出用にも積み立てる。

 

将来の支出が具体的にわかれば、備えられます。未来の不安も減ります。

 

貯金の基本

貯金するには、「収入-貯蓄=支出」という先取り貯蓄が基本。

貯蓄分を先に取り、残ったお金を全部使う方がストレスフリー。

給料から貯蓄分を引き、口座引き落としの諸費用を残し、生活費は1か月に1回だけ口座から引き出す。

生活費の現金は、1週分ずつ分けると管理しやすい。

 

節約の方法

大きな固定費(住居費・保険料・通信費・教育費など)が、節約しやすく効果も大きい。

小さな節約はストレスのもとになりやすい。以下の順に節約する。

①1回で済む大きな固定費の見直し。

②使途不明金(いつの間にか使っているお金)のチェック。

③日々の節約。

 

大きな固定費を節約し、給料から天引きすれば、がっつり貯金できます。

 

テーマごとの解説

 

子育て・老後

子育てにかかるお金と、教育資金の準備方法。

老後にかかるお金と、その準備方法。

年金制度の説明。投資について。

 

保険

生命保険が必要な場合とは。

一生分の収入予定額と支出予定額。遺族年金の説明。生命保険を種類ごとに説明。

医療保険が必要な場合とは。

健康保険の説明。民間保険でカバーするか、貯蓄で備えるか。介護保険の説明。子供の保険の説明。

 

住宅購入

住宅を購入するときは。

自己資金の用意、無理なく返済できる金額、固定金利と変動金利、返済方法、繰り上げ返済と借り換え、死亡保険、などローンの説明。

賃貸との比較。

マンションと一戸建ての比較。

火災保険、地震保険、個人賠償責任保険、自転車保険、自動車保険の説明。

 

社会保険料と税金

パートの年収と、税金や社会保険料の説明。
(年収103万円で所得税課税、130万円で社会保険料負担、141万円で配偶者特別控除なし。)

社会保障制度の説明。

所得税など(源泉徴収票)の説明。

贈与と相続の説明。

 

教育費、老後資金、保険、住宅ローン、税金。重要テーマも、記入シートを使えばよくわかります。

 

書評

本書には記入シートがついているので、いろいろなお金の計算に使えます。

現在の家計収支を把握するシート、ライフイベント表、目的別積み立て貯金のシート、老後の生活のお金用シート、一生分の収支予定シート、遺族年金用のシート、などがあり、確かにわかりやすいです。

書き込むことで、現在の家計から一生のお金の問題まで、大まかなイメージを持つことができます。

本書はけっこう細かく、いろいろな項目のお金を管理している印象です。

目的別積み立て貯金の項目も、かっちりしてます。家族のライフイベントを将来まで書いて、いついくら必要か考え、お金の準備をすることも勧めています。

老後の費用や、自分が死んだ場合の家族の生活費なども、記入シートを使うことで簡単に計算できます。

しっかりお金の問題を想定できるので、毎月のお金の使い方や貯め方に、めどが立てられそうです。ここから自分に合った、がんばらない「しくみ」に仕上げるのが良いかと思います。

本書の特長である記入シートは、自分のお金の理解と改善にすぐ役立ちそうです。

また、社会保障制度や民間の保険の解説など、基本事項の解説もよくまとまっています。解説を読むことで、制度や金融商品を学べます。

記入シートだけでなく、図表やグラフも多いので、視覚的にも理解しやすくなっています。

私は投資や貯金については相当勉強したので、その部分は流して読みましたが、生命保険や医療保険、介護保険などはあまり関心がなかったので、学ぶことが多かったです。
(書評2015/11/12)

「誰も教えてくれないお金の話」 うだひろえ/泉正人(著)

 

懸命に働いても、がんばって節約しても、全然お金がない。
本書では、そんなお金の悩みを解決します。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

お金が貯まらない、お金の知識がない、お金の扱い方がわからない人。

 

要約と注目ポイント

・主人公は33歳の主婦兼イラストレーター。夫は脱サラして、カフェ経営中。夫婦とその周囲の人々の日常生活を漫画で描く。(もちろんお金が主題です。)

 

月末にお金がない

主人公の女性は、漫画やイラストの仕事をがんばり、節約し、夫のカフェも手伝っている。しかし、住宅ローンの支払いにすら困る生活。貯金は無い。万一のための保険、子供にかかる費用、老後の不安はどうすれば?がんばっているのに、なぜお金がなくなるの?

解答:
月末にお金がなくなるのは、収入と支出のバランスがとれていない。

 

うまく節約ができない

主人公と同じようにズボラな性格と思っていた妹が、しっかり家計簿をつけ、収入と支出を把握し、家計を管理していた。主人公も家計簿をつけ始め、とことん節約してみた。でも生活がギスギス。それでも貯金が貯まらない。なぜ?

解答:
収入の一定割合を先取り貯蓄し、残りで生活。家計簿は、家計の全体像を知るためにつける。節約は固定費の削減から。

家計の収支を確認し、大きな固定費を削るのが、節約の基本です。先取り貯金も、お金を貯める基本技です。

 

お金を貯め、利益を出すのに必要なこと

貯金を増やそうと、夫のカフェを手伝う主人公。でもお店で利益を出すには、お金(会計)の知識が不可欠。

解答:
家計でも、資産と負債を把握できるバランスシートをつけよう。価格と価値の関係を意識して、お金のセンスを磨こう。お金の流れを見ること。お店では、固定費・変動費・損益分岐点、客単価と回転率などを考え、リピーターを増やして、利益を出す。

 

住宅ローンの支払いが長くて苦しい

賃貸に住んでいた主人公夫婦は、転勤を機に不動産屋に問い合わせをしてみた。すると不動産屋に押され、頭金なしで限界まで変動ローンを組み、新築マンションを購入することになった。今となっては、ローンの長い支払いに苦労している。

解答:
住宅購入のときには、手取り収入から借りていい限度額を考えること。類似する賃貸物件の家賃から、販売価格の妥当性を判断できる。
住宅ローンの種類と金利、物件購入時にかかる諸費用、購入後にかかる税金・修繕費・保険料、繰り上げ返済と借り換え、などを解説している。

家を買ったあとでは、支出の変更は難しくなります。住宅ローンを組む前に、十分な検討をしましょう。

 

お金に苦労しない生き方

将来のため、もっと一生懸命働いてお金を貯めようとする主人公。そんなとき、取材でファイナンシャルプランナーの話を聞くことになる。

解答:
お金について悩むのではなく、考えること。大切なのは、お金の正しい扱い方を知ること。浪費を減らし、価値を生む投資を増やす。情報を集め、取捨選択する。お金について勉強し、実行して気づき、また勉強する。

自分の価値観を考え直すと、お金の使い方が変わることがあります。特に、見栄にこだわらなくなると、自分の大切なことにお金を使うようになります。

 

保険について

漠然とした不安を感じていた主人公。それは、ケガや病気についてだった。夫がケガをして、カフェを休業することに。母や妹が保険に入ることを勧めてきたが。

解答:
公的な社会保障はかなり厚い。それらの解説。公的保障の範囲外で、自分に必要な保険があれば入る(収入保険や医療保険など)。万一のときに必要な額を計算し、その目的を満たす最適な保険を選ぶ。生命保険では、残された家族や子供にかかる費用を計算する。

加入している保険の見直しは、かなり効果的です。

 

老後に備える

老後に必要な生活費を考えてみた主人公。もらえる年金額と、貯まる予定の貯金額の合計では、10年も暮らせない。暗い気持ちになる主人公。老後は暗いのか?

解答:
国民年金・厚生年金・共済年金など、年金制度を説明する。年金はベースになるので納付しよう。少額から資産運用もできる。勉強しながら、小さな金額で始めてみよう。

 

子供を育てる

主人公は、子育てしながら働く知人に刺激を受ける。子供をもつことを意識するが、教育費が心配だ。

解答:
出産にかかる費用と、それを補う保険制度を説明する。かかる教育費と、児童手当や補助制度の説明も。正しい知識を持てば、不安は消える。

老後の生活費も、子供の教育費も、正しい知識を持てば対策を考えられます。具体的に行動を始めれば、不安も減ってきます。

 

書評

漫画でストーリーが展開し、説明も入りますが、詳しい解説は文章となります。主人公の生活は漫画家自身が描き、お金の知識となる説明は、ファイナンシャルプランナーの方が書いています。

お金の知識を学ぶとっかかりとして、漫画は適当かもしれません。なぜかいつも月末にはお金がなくなり、支払いに困る。家計簿が続けられない。といったエピソードは読者の共感も得られそうです。

家計の収入と支出を知ること、先取り貯金、固定費削減など節約の工夫、資産と負債の考え方、住宅購入の考え方、公的な社会保障制度、必要となる保険の考え方、年金の基礎知識、子育てや教育費の実際、などの基本をきっちりと学べます。とりあえず人生で必要な、最低限のお金の知識は、網羅されている感じです。

ただし、どうしても教育的な漫画になるので、漫画そのものは特に面白いとは言えません。結局は文章で解説されます。

なお、夫がカフェを経営しているのでストーリーでは必要ですが、お店が利益を出すための会計知識が、この本の読者に重要なのかは疑問でした。

確かに、そのようなお金のセンスはとても大切です。ただ、こういった本の読者は、お金のことが全然わからない人のような気がします。お店の経営より、自分の生活や貯金が最大の問題だと思われます。ですので、お店が儲かる会計の話は、省いてよかったかもしれません。
(書評2015/11/10)

「1行家計簿 世界一かんたんにお金が貯まる本」 天野伴(著)

 

気になる出費の中から節約するターゲットを選び、1日たった10秒記録するだけ!
すぐに貯金が始められます。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

どうしてもお金が貯まらない人。
いつの間にかお金が減っている人。
家計簿や支出管理アプリに挫折した人。

 

要約と注目ポイント

・何となくお金を使っていて、貯金できない。家計簿をつけたりするのに挫折してきた。1行家計簿は、そのような人たちでも実行できる、楽なお金の貯め方だ。

家計簿をつける目的は、ムダな出費を抑え、そのお金を本当に使いたいことにあてるため。だからムダづかいの1項目に注目し、その出費だけ記録して、ムダづかいを減らすのが最も手早い方法だ。

1行家計簿では、ひとつのムダづかいに集中します。

 

1行家計簿

・メリット
楽なので続けられる、ムダづかいの金額が明確、何をすべきかも明確、行動を変えられる、ムダな出費を使いたいことに使える。

何となく出費しているムダづかいを節約ターゲットにして、その出費額を使った時点で書く。振り返ったら、必要でなかったと感じる出費をターゲットにする。

お菓子、コーヒー、ジュース、お酒、タバコ、カフェ、飲み会、漫画、ゲーム、エステ、コスメ、服、美容院などの費用が候補になる。
例:仕事帰りに週3~4回コンビニに寄り、お菓子と漫画を買っている。この費用を集計。

日付と出費を記録するだけ。これを1か月続ける。
回数が多い習慣的な出費なら、1週間の集計でもよい。自分が一番よくいる場所に1行家計簿を置き、出費したらすぐに記録する。

家計簿としては、究極の手軽さです。

1か月(1週間)たったら、合計金額を書く。出費回数で割り、1回あたりの出費を計算する。

・回数が多く、出費額が大きい項目がヤバい。
回数は少ないが出費額が大きい項目や、回数は多いが出費額が小さい項目も、節約の効果あり。

ムダづかいを減らすには、回数を減らすか、1回あたりの金額を減らす。
その出費そのものをやめる、買い物自体の回数を減らす、1回あたりの上限額を決める、出費の対象をもっと安いものに替えるなど、行動を変える。

回数か金額だけを考えるので、節約の方法もわかりやすいです。

節約目標を決め、具体的な行動目標を立てたら、翌月から記録する。
節約した金額でやりたいことを考え、モチベーションを維持する。

・貯金は先取りで貯められる。
給料が振り込まれたら、まず決めた金額(割合)を貯金用口座に入れる。残りは全額使ってよいので、節約して本当に使いたいことにお金を使おう。
先取り貯金と、1行家計簿を組み合わせれば、お金が貯まる。

・1行家計簿を利用した、節約の具体例。
同僚との外食、仕事後の缶ビールとおつまみ、オンラインショッピングなどの出費を節約した実践的アドバイス。

・1行家計簿に成功したら。
①引き続き、今のターゲットを節約していく。
②別の節約ターゲットを考えてみる。
③普通の家計簿にステップアップ。
④節約が習慣になったなら、やめてもOK。

1行家計簿の成功は、貯金の達成感を味わえます。

 

書評

著者の編み出した1行家計簿ですが、極限まで労力をかけずに、ムダづかいを止めてお金を貯める方法論となっています。家計簿や支出管理アプリなどに挫折した人でも、記録をつけられ、支出を減らすことができる方法です。

そもそも家計簿は何のためにつけるかと言えば、支出の記録を振り返って、ムダな支出を削減するためだ、と著者は述べています。ですから、家計簿は継続的に記録して(データの収集)、長い期間の支出の記録を振り返り(データの処理と分析)、ムダな支出を洗い出してその出費を削り、お金を貯める(改善の行動計画と実行)という作業が必要になります。

あらためて書いてみると、確かに面倒です。家計簿をつけ始めても、そのうちやめてしまうのは、仕方ないかもしれません。また家計簿をつけても、分析できないので何をすべきかわからない、改善の行動計画を思いつかないので支出が減らせない、といったこともありそうです。

本書は、家計簿のルーチンワークについて、とことん簡略化しています。家計簿を、家計の業務改善というか、コスト削減というか、そんな仕事のようにとらえてみれば、本書では仕事の効率化を追求しています。

とにかく楽で負担のない形で出費の記録をつけ、ムダづかいを明確にし、わかりやすい形で行動計画が立てられます。1回あたりの出費額を減らすか、支出の回数を減らすかしかないのですから。

1行家計簿はわかりやすく、実行しやすい良い方法と思います。ですが普通のケースなら、1月あたり数千円の節約が限界のような気もします。

1冊の本に仕上げるのに、1行家計簿のネタだけだとちょっと物足りないからか、割と唐突に先取り貯金の方法が出てきたりもします。給料日に3万円とか5万円とか、手取りの10%とかを、貯蓄用口座に移しましょう。そうすればお金が貯められます。先取り貯金は最強の貯蓄術です。などと述べられたりします。

しかし、毎月数万円を必ず貯金するには、1行家計簿だけでは厳しい気がします。もし月数万円貯めるとなると、複数項目の1行家計簿とか、固定費の削減をやらないと難しいのでは?

ものすごく楽をしながら、1項目のムダづかいの習慣を見える化し、行動を変えて節約する。そこで節約したお金は、本当に使いたい項目に使う。節約の意識や習慣が身につけば、なお良い。貯金を始める第1歩になる。

1行家計簿の意義は、そのようにまとめられそうです。家計全体の改善には、さらに何らかの手段が必要なように感じました。
(書評2015/11/09)

「3年間で120万円貯金できる! 手取り月20万円からの3つのサイフでらくらく貯まる方法」 横山光昭(著)

 

手取り20万円でも、3年で120万円貯められる方法を教えます。

 

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

家計が苦しい人。
お金の知識がゼロの人。

 

要約と注目ポイント

お金を貯めるためには、3つのサイフを持つ。ここでいうサイフとは、口座のこと。

①生活費を入れる口座(使うサイフ)
②貯蓄の口座(貯めるサイフ)
③資産運用の口座(増やすサイフ)

3つの口座に分けて管理すると、お金は貯められる。

はじめに「使うサイフ」を貯め、次に「貯めるサイフ」に貯めて、最後に「増やすサイフ」に取りかかる。順番を守ること。

 

口座を分けると、お金の入ってくるところと、出ていくところがよくわかります。

 
お金持ちとは、お金に悩まずに生きていける人。3つのサイフがあれば、あなたもお金持ちになれる。

お金を貯められるかは、基本的なことをきちんとできるかにかかっている。

 

価値観や生活習慣も大切です。

 

3つのサイフを始める前の準備

家計の支出を、固定費と変動費に分けてみる。

①固定費(住居費、保険料、小遣いなど)から削減していく。

まず生命保険料を見直す。

子供が生まれたとき、少額の負担でかけられる、収入保障保険である死亡保障だけ必要だ。医療保障(がん保険)は、自分の事情に合わせて検討する。

賃貸に住んでいるなら、家賃の安い部屋への引越しを検討する。

携帯電話や固定電話、インターネット接続のプランを見直し、通信費を削る。

自由に使える小遣いは、手取り月収の7%まで。

国民年金は払いましょう。

住宅ローンがあるなら、借り換えで少なくできるか調べる。「貯めるサイフ」が貯まり余裕があるなら、繰り上げ返済も考える。

 

固定費の節約は、貯金の基本です。

 
②変動費は、消費、浪費、投資に区別して、不要な支出を減らす。

お金を使うときに、消費か浪費か投資か、自問してみる。

浪費の部分を自分で見つけ、削減していく。家計簿をつけたり、レシートを残したりして、自分の浪費の習慣を見える化し、生活を改善する。

消費、浪費、投資の理想の比率は、

消費70%
浪費5%
投資25%(内訳は、貯金などの金融投資:手取り月収の6分の1である16.7%、自己啓発などの自己投資:8.3%)

となる。

 

自分にとって大切なことは何か考えると、明確に区別できます。

 

使うサイフ

「使うサイフ」は、常に手取り月収の半分が入っている状態にする。

毎月、手取り月収の10%を残していき、手取り月収の半分まで「使うサイフ」に貯める。(5か月で貯まる。)急な出費をカバーするのが目的。

 

「使うサイフ」で大切なこと

赤字の家計は、必ず黒字にする。
イレギュラーな支出があっても、イレギュラーな節約で埋める。

月の生活費を5等分し、1か月を5週間と考え、1週ごとにお金を管理する。
買い物は週に2~3回まで。

クレジットカードはなるべく使わない。買い物依存症の人は、デビットカードを利用しよう。

収入が少し増えても、生活レベルは変えないこと。

お金を使わなくても、楽しく暮らす方法はある。

 

次の給料日までの日数を考え、1週ごとにお金を分けるのがポイント。

 

貯めるサイフ

毎月、手取り月収の6分の1を残し、手取り月収の6か月分を「貯めるサイフ」に貯める。(3年で貯まる。)生活防衛資金であり、病気や失業に備えるのが目的。

 

「貯めるサイフ」で大切なこと

給料が入ったら、はじめに6分の1を先取りして天引きする方法がある。

「貯めるサイフ」が貯まったら、旅行などの目的別貯金をしてもよい。

子供の教育費は、必要額を計算し、長期的に目的別貯金として貯めていく。

住宅の購入は慎重に。買うなら、頭金として物件価格の2割は用意する。

ボーナスの7割は、「貯めるサイフ」や「増やすサイフ」に入れる。3割は自由に使ってよい。

 

貯めるサイフにきっちり貯金できれば、生活が安定します。

 

増やすサイフ

「貯めるサイフ」に手取り月収6か月分が貯まったあとに、「増やすサイフ」にお金を入れていく。毎月、手取り月収の6分の1を残して、「増やすサイフ」に入金する。

長期分散投資をして、安定的に増やすのが目的(インフレ対策)。

 

「増やすサイフ」で大切なこと。

投資では、金融投資でお金を増やすことと、自己投資で自分を育てることを考える。

金融投資である「増やすサイフ」は、証券会社の口座でつくる。

長期的に、毎月こつこつ積み立て購入で、分散投資をしていく。

英語、IT、ファイナンスのスキルを学び、人脈を広げ、自分の器を大きくするなど、自己投資も大切だ。

 

増やすサイフとは、お金に働いてもらうこと。それから、自分の稼ぐ能力を上げることです。

 

書評

非正規雇用が労働者の4割となり、自分の生活や人生を、会社に頼れない時代です。お金の知識を身につけ、身を守れる額の貯金をつくることは大切です。

家計が常に苦しい、お金を貯める方法がわからない、という人に本書をおすすめできます。

お金の相談に来た人の生活を見直し、行動を改善させ貯金できる体質に変えるのが、著者の真骨頂という印象です。

以前に、同じ著者の「年収200万円からの貯金生活宣言」を紹介しました。「年収200万円からの貯金生活宣言」でも、アドバイスは似ていました。

横山氏は著作がとても多いので、どれを読めばいいのかよくわかりませんが、貯金に対するアプローチは一貫しています。

自分の生活をしっかり見つめ直し、貯金ができる行動様式を身につけさせるのが得意なのだと思います。

大げさに言うと、人生に規律を持たせて、目標に向かって一歩ずつ努力させるように仕向けるわけです。その目標が貯金であり、その延長として自己投資での自分の成長です。

生活を見直し、不要な支出を減らす。日常の急な出費に備えた貯金、そして病気や失業に耐えるための生活防衛資金をつくる。そのあとから長期投資として、積み立てで投資信託を買っていく。

実に王道で真っ当な方法と感じました。

著者が最も得意なのは、生活の見直しで貯金できる体質にするところだと思います。純粋な金融投資については、もっと突き詰められると思います。

バランス型ファンドよりは、手数料のさらに安い、グローバル株式ファンドとトピックス連動型ファンドを組み合わせるとか。

ただ、お金知識ゼロの人を読者に想定しているので、そこまで要求するのは酷でもあります。

あと付け加えるとすれば、本文の解説で、株式と債券を両方持てば資産運用が安定するとしているのは、修正の余地がありそうです。

本書の出版が2013年9月なので、こちらもそこまで求めるのは厳しいかもしれませんが、現在、債券を買う意味はほとんどないと私は考えます。

先進国すべてがゼロからマイナス金利なので、債券は値上がりの期待よりは、値下がりリスクの方が大きいと言えます。今の状況では、株式が暴落した局面で債券が値上がりするかは不明です。

今なら、債券を買う分のお金は、普通預金で十分と思います。その普通預金は、経済状況が変わってきてから運用を考えれば良いでしょう。
(書評2015/11/08)

「お金は「歴史」で儲けなさい」 加谷珪一(著)

 

人間の世界では、過去に起こったことが再び繰り返されることがあります。本書を読んで、歴史から学び未来を見通し、お金持ちになりましょう。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

お金持ちになりたい人。歴史から投資戦略を考えたい人。

 

要約と注目ポイント

人間社会では、同じようなことが繰り返し起こる。長い年月にわたり資産を維持している富裕層は、とても歴史を重視している。本書では歴史から学んだ知見をもとに、株価の動き(戦争の影響)、インフレ、バブル、イノベーション、商品価格、長期投資、今後の投資戦略を考察する。

 

株価を予想する

日本の株価は、過去130年間で年間収益率が平均7%だった。ただし大きく上昇する時期と、長期に低迷する時期があった。約20年の単位で、超長期のトレンドが発生していた。

第1次世界大戦の戦時需要で大正バブルが発生したが、そのあと崩壊しデフレとなった。デフレと関東大震災による不況に対し、日銀の国債引き受けという金融緩和策がとられた。敗戦後に巨額の債務のため準ハイパーインフレになった。このバブル崩壊から長期デフレ、震災、超金融緩和までの流れは現在と同じである。

人は自分が経験した範囲の感覚で、取引しがちである。株価の歴史的推移を見ておくべきだ。15~20年単位の長期トレンドは、そう簡単に止まらない。だが、永遠に続くこともない。

今の長期停滞は25年続いてきた。現在が、長期トレンドの転換点である可能性は高い。アベノミクスの結末は株高と好景気、インフレが考えられる。

良くも悪くも、アベノミクスは日本の戦後史の転換点になりそうです。

 

インフレ

アメリカ経済は将来も堅調で、ドル高が予測される。日本の経常収支は恒常的に赤字となり、円安となる。したがってインフレとなるが、仮に経済成長が伴わなければスタグフレーションとなる。

インフレやスタグフレーションに備えるには、預金をやめて株を買う。基礎体力があり、グローバル展開していて、需要が減りにくい商品を提供する会社の株が候補となる。優良な不動産を借金で買うのもひとつの方法。他のヘッジ手段は外貨や金など。

過去のドイツや日本でインフレが発生したとき、物価は急激に上がるのに、不動産価格や株価の上昇は遅れた。ドイツのハイパーインフレでは、価格の上昇は①為替、②金、③物価、④不動産、⑤株価、の順番だった。

日本人はオイルショック以降、生活物資のインフレを体験していません。30~40年ぶりに本格的なインフレが起これば、ほとんどの日本人は対応できないでしょう。野心のある人には、チャンスでもあります。

 

バブルとイノベーション

バブルには、マクロ的な市場全体がバブルになる場合と(1980年代後半の日本など)、イノベーションを材料とした個別のバブルの場合(2000年頃のITバブル)がある。

マクロ的バブルは、資産間のお金の移動で発生する。株式、債券、不動産のうちで、過剰にマネーが流れ込んだ資産がバブルとなる。現在は債券バブル。

イノベーションでは巨大な利益が期待されるので、イノベーション関連企業の株価は高騰し、バブルとなる。テクノロジーを材料とするバブルは、再現性がある(鉄道、自動車、半導体、インターネット)。

テクノロジーがバブル化するのは、投資家が理解しやすいとき。次の有力な候補は、人工知能とロボット。テクノロジーの評価は、黎明期、過度な期待、失望、安定的な成長、と移り変わる。投資するのに適切な時期がある。

バブルは何回でも繰り返されるのですが、それでも毎回、たいていの投資家はとんでもないことになります。バブルと、ブームのもとになるイノベーションの歴史的関係は、知っておくと良いでしょう。

 

コモディティ

金などの実物資産は、通貨に対する不安が高まると買われ、通貨への信頼が高まると売られる。

ビットコインは、金本位制に影響を受けて設計されている。世界の一定数の人が価値を認めれば、ビットコインは通貨になる。

原油価格は、1970年代のオイルショックでピークをつけた。リーマンショック前から再び高騰し、高値で推移していたが、アメリカのシェール革命により2014年後半から下落している。今後も供給過剰で、価格は低く抑えられる可能性がある。

資源価格の推移は、アメリカの金融政策の影響を受けます。資源価格が下がれば新興国経済は減速し、その打撃は金融市場に返ってきます。

 

長期投資

株式への長期投資は、年平均7%の高い利回りと複利効果が見込まれる。ただし毎年の利回りは、リスク(標準偏差)の大きさに応じて上下に振れることに注意する。現実的な投資リターンは、べき分布で想定される。長期投資でもリターンの幅は大きい。

投資家は株式投資に高いリターンを求めるので、将来も株価は継続的に上昇すると考えられる。

株価や経済の動向は、人間の心理による影響も大きい。

 

今後の投資戦略

今後の投資戦略を考えるために、大切な基本事項を解説します。そのうえで、有利と考えられる投資戦略を提示しています。

円安やインフレも想定しつつ、有効な投資戦略を考えています。自分が投資するときにも、参考にできるのではないでしょうか。

 

書評

著者には「大金持ちの教科書」という著作があります。このなかで、時代の流れを見極めることが、お金儲けにとって重要と述べています。この時代の流れを読むという部分を拡大し、歴史から学ぶという要素を加えて1冊の本になったのが、本書「お金は「歴史」で儲けなさい」であるような印象です。

そのため、「大金持ちの~」と重複する解説もあります。本書は、歴史的なデータから現状を分析し、将来のシナリオを予測するという点が特徴です。

読んでみて、いろいろ勉強になりました。私とけっこう似た考え方だなと思いました。今後に使えそうな点を、いくつか整理してみます。

日本株式の過去の平均利回りは、年7%としています。「株式投資 第4版」によると、過去200年のアメリカ株の年平均利回りが7%なので、これはだいたい妥当と思われます。株式に数十年単位で投資することは、収益の面でもインフレ対策の面でも悪くない方法だと考えられます。

日本の将来シナリオとして、インフレ(スタグフレーション)は有力と考えます。まだ物価は上がっていませんが。

日本の国家債務を処理するのに、物価上昇率より長期金利を低く保つ、金融抑圧的な政策がとられるだろうと私は予想します。ですから、アメリカの優良株を買う、外貨建て資産を持つ、優良不動産に投資する、といった方法には賛同します。

インフレのとき、資産によって上昇する時期がずれることは勉強になりました。はじめに外貨や貴金属に逃げ、そのあと相対的に安く売り込まれた株や不動産を買うと、お金持ちになれるようです。(上手くいくか、保証はできませんが。)

バブルの分類も、学ぶところがありました。マネーが過剰に流れるところを、冷静に探そうと思います。イノベーションによるバブルの場合、ブームのピークの前に株を買っておきたいのですが、私はたいてい出遅れます。

なので、失望され忘れられたテクノロジーが、本格的に普及してきて復活する前の、横ばいの時期に買うのもありかと思います。

人工知能やロボットは本当に有望と思いますが、今のところ勝者ははっきりしません。アップルやグーグル、フェイスブックやIBMなどは力を入れていますが。
(書評2015/06/29)

「大金持ちの教科書」 加谷珪一(著)

 

お金持ち特有の思考と行動原理を明らかにした、ベストセラー「お金持ちの教科書」。本書はその続編であり、お金持ちになるための普遍的な考え方や、時流の見方を解説します。

おすすめ

★★★★★★★☆☆☆

 

対象読者層

お金持ちになりたい人。

 

要約と注目ポイント

儲けの才能を持たない普通の人がお金持ちになりたいなら、お金持ちの普遍的な考え方や、時代の流れを見抜く方法を学ぶ必要がある。

本書では、お金持ちになるための方法と必要な能力、精神性を論じる。また時代の見方、イノベーション、日本の今後についても考察する。

 

お金持ちになる方法

お金持ちになる方法は、①高給をもらう、②事業を行う、③投資する、しかない。超高給取りはほとんどいないので、仕事をしながら、事業、投資、副業を組み合わせるしかない。

資本主義社会では、投資家(と経営者)が利益の大部分を取る。最も稼げるのが、自分で投資して自分で経営するオーナー経営者である。

事業で稼いだお金を再投資せよ。

お金を儲けるには、不特定多数から広く浅く集めるか、身近なところから搾取するかの2通りがある。

節約は重要。お金持ちの言う節約とは、事業や投資にかかる出費を最小限にすることだ。

速くお金を儲けるには、借金によるレバレッジ効果が必要となる(特に不動産業)。

などなど‥‥

非常に実践的で、合理的な方法論です。このような思考は、誰かが教えてくれることは基本的になく、自分で学ぶしかありません。そういった意味でも貴重な教えです。

 

お金持ちになるための能力

天賦の商才を持つ人もいる。そうではなかった多くのお金持ちは、野心を持ち、努力し、試行錯誤を続けた。

学歴ではなく、「頭がいい」ことは必要。お金儲けのセンスも必要。

極限まで努力したあとで、運が重要となってくる。未開拓の世界では、ルールが定まっている既存の世界での「実力」を超えるものが必要となる。

などなど‥‥

 

お金持ちになるためのメンタリティ

必要なときに、果敢に素早くリスクを取る。

世間一般のお金の価値観から脱却し、お金に対し中立的に行動せよ。

「すべき」や「であるべき」ではなく、合理主義に徹する。

などなど‥‥

教訓となる事例がたくさんあります。身につけるべき能力やメンタルとして、目標になります。

 

時代の見方

好景気のときに、格差は拡大する。実は不景気の方が、格差は縮小する。お金持ちになりたいなら、景気が拡大するタイミングを絶対に逃してはならない。

経済の成長は、資本、労働(人口)、イノベーション(生産性)で決まる。日本は労働力人口が減少し、イノベーションは停滞している。人口動態を見ることは、将来を考えるために必要だ。

お金の総量が増えると、経済成長を促進したり、バブルを発生させたりする。資本が過剰となっている現代では、いろいろなところでバブルが生じている。お金持ちになるためには、次にお金が向かう先を読み、バブルを利用すること。

などなど‥‥

 

イノベーション

イノベーションが起きると、お金儲けのチャンスが生まれる。変化に対応できないと、富を失う。

社会の動き、登場してくる製品やサービスを注意深く見続けていると、大きな動きは予測できる。

お金(通貨)は共同幻想である。ビットコインには、金本位制や金融マーケットの覇権争いという背景がある。

ロボット(人工知能)の高度化が、人間の仕事を奪う。工場の製造現場だけでなく、ホワイトカラーの仕事でも単純作業はロボットが担うようになる。

などなど‥‥

 

将来の日本でお金を儲けるには

日本の将来では、

人口が減少し、若年労働者が不足する。
都市部に人口が集中。
共働きが普通、働ける限り生涯働く。
仕事の外注化。ブルーカラーは不足し、ホワイトカラーは余る。
脱工業化し知識産業化の時代になる。
知識産業化とは、個人情報をすべて収集すること。
個人情報を集めれば、行動などが予測できる。
‥‥
といったことが予想される。

そこからお金を儲ける方法、資産を守る方法を考察する。

これからの時代の流れを読み、イノベーションが社会をどう変えるか考え、日本の将来を見ていきます。そこから自分はどう行動すべきか、とても参考になります。

 

書評

かなり良いです。教訓になる話、勉強になる解説が充実しています。貧乏人の私が評価するのも微妙ですが、良い本です。

前作の「お金持ちの教科書」は、割と間口を広くとっていました。それほど経済やビジネスに関心がなくても、お金持ちってどういう人だろう程度の読者でも、受け入れていました。ただ著者が上級編と述べるだけあり、本書はお金持ちになるための方法論が直球勝負です。

お金を儲けるためには、合理的な思考が必要です。ありのままの現実を、直視しなければなりません。私が漠然と不思議に感じていたいくつかの事象を、説明してくれていたので勉強になりました。(以下のさわかみファンドの例など。)

事象のひとつとして、儲かるビジネスモデルがありました。著者は、儲かる事業のモデルを2つに分けます。1つはブラック企業的なモデルで、身近な弱者から搾取します。ただ実は、搾取モデルは大きな利益にはならないと述べます。弱者はあまりお金を持っていないからです。

日本は搾取モデルの事業者の方が多いのですが、それは非合理な市場が存在するからでもあり、搾取モデルは参入障壁が低いからでもあります。

消費者のニーズを汲み取った、不特定多数から広く浅くお金を集められるモデルの方が、大儲けできます。著者はこのモデルを薦め、消費者に魅力的なサービスとして「見える」ことが、きわめて重要だと説きます。

この例として、グーグルのサービスがあります。グーグルはいいのですが、そのほかに、あるファンドマネージャーの例も挙げます。本文中で実名は出ていませんが、私が推測するに、多分さわかみファンドです。

さわかみファンドは、短期的な市場変動を狙わず、優良な日本企業に超長期で投資することで利益をあげるとしています。このような長期的な視点の投資が、会社にも投資家にも日本社会にも利益をもたらすのだと訴えます。これが実現するなら、確かに美しい物語です。

ただ私は昔から、さわかみファンドは手数料が安くなく、パフォーマンスもあまり良くないので、どのあたりが長期投資に向いているのかさっぱりわかりませんでした。このパフォーマンスなら、手数料が格安の株式インデックスファンドを買うべきだと思っていました。

しかしさわかみファンドは、(一般大衆が優良だと思う)日本企業への長期投資が、すべての人の利益になるという、美しい物語、コンセプトを売っていたのでした。それも消費者が大歓迎する形で。このようなビジネスが強いということです。

このような感じで、時代の動きの読み方、リスクの取り方など、大切な事柄が次々と解説されています。前著と比べると、とにかくお金持ちになるための探求心が強く表れています。まずは小さくてもお金が稼げる事業をつくりたいと、あらためて考えさせられた本でした。
(書評2015/06/28)

「お金持ちの教科書」 加谷珪一(著)

 

長年たくさんのお金持ちに接してきた著者が、お金持ちの思考や行動を観察してまとめた本です。お金持ちになれるヒントが詰まっています。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

お金持ちになりたい人。
お金持ちの特徴を知りたい人。

 

要約と注目ポイント

著者は金融機関勤務と経営コンサルの経験がある。その経験から、お金持ちには思考パターンや行動原理、キャリアに特有の傾向があることを知った。これを応用し、著者自身も富裕層に入ることができた。

本書では以下の3点を解説する。
①お金持ちの実像とその生活
②お金持ちの習慣・思考と行動原理
③お金持ちになるには

 

お金持ちの実像とその生活

社会的地位の高さ、年収の高さ、持っている資産の多さ、これらは世間では混同されるがそれぞれ別のもの。

お金持ちが何代も資産を維持できることは少ない。どんなお金持ちにも、成金の要素はある。(誰にとっても成金になれる可能性はゼロではない。)

日本の(億レベルの)富裕層は、土地持ちタイプ、羽振りのよい商売成功タイプ、ひたすら貯金したタイプが典型的。実業家では、地域密着企業を継承した保守的タイプと、外資系タイプがある。

日本の富裕層数が多いのは、円高と過大評価な不動産のため。外国のお金持ちの資産は、金融資産。

住む場所の話。時計と靴の話。プライベートバンクの話。

1億ドル以上の超お金持ちの話。資産を守って他国に居住することはたいへん。

お金持ちは、お金を失う恐怖を常に感じている。

お金持ちと言えるのは、資産3億円以上か年収3000万円以上のクラス。ただ資産5000万円を超えると、資産を絶対に失いたくないというお金持ちの思考を始める。年収1000万円はお金持ちではない。

ひとまとめにお金持ちといいますが、実は種類があります。日本のお金持ちを分類し、説明します。

 

お金持ちの習慣・思考と行動原理

お金持ちの習慣、思考、行動を具体的に説明する。

わがまま?
ありがとうとよく言う。
ケチ?
食事代はもつ。
価値観が変わり昔の友人と話が合わなくなる。
感謝せずお礼をする。
すべて自分の責任と考える。
人を見抜く、数字を見抜く。
効率的、混雑を嫌う、コストパフォーマンス重視。
リスク管理をする。
見栄を張る効果を知る。

などなど‥‥

お金持ちはなぜ、そのような思考をするのか。お金持ちの習慣や、そのように行動する理由が、具体例を通して見えてきます。

 

お金持ちになるには

それでは、お金持ちになる方法とは。お金持ちになるための、さまざまな視点を説明する。

お金の話ばかりをする。
日本では安心を求める人が多い。これを使う。
元手が少ないなら、リスクを取って集中投資することも必要となる。
自分の目で確かめ、自分の基準を絶対に譲らない。
お金持ちになれるかは、20代の過ごし方で決まる。
年寄りの説教は無視しろ。
貧乏人と付き合うな。
人に使われてはならない。

などなど‥‥

普通の人とは違うところがあるから、お金持ちはお金持ちになったわけです。そのあたりが実例を挙げて、解説されています。なお、普通の人でも今から実行可能な、お金を貯めるアドバイスもあります。

 

書評

本書の内容は、自己啓発と資産運用で半々となっています。お金持ちになれるような、思考や行動原理を身につけるための自己啓発が半分。実際にお金はどう使うべきか、数字の読み方、投資のやり方などが半分という感じです。

これらがきっちり分けて説明されているわけではなく、混在一体となっています。思考や行動、事業や投資のやり方はつながっているので、混ざっています。

お金持ちがどういう生活をしているか、といった話もありますが、私にとってはその部分は割とどうでもよかったです。私はひたすらお金を儲けたいだけなので。その部分も読み物としては楽しめます。

私は投資やお金の本をかなり読んでいるので、大切だと著者が述べている事柄は知っていたものが多いです。やはりそうですよね、とだいたいのところで納得しました。知っているだけでなく実行できるかが、凡人と金持ちの分かれ目だと本文中でも指摘されていますが。実行が大事です。

面白いと思ったのは、いつもお金の話をしていると、周りの人をスクリーニングできるということです。お金の話ばかりすることで、金持ちを妬む人や合理的な思考のできない人が遠ざかります。

さらに自分の目で見て、詐欺師みたいな人たちを排除すれば、付き合えば稼げたり儲けたりできる人が残るとのことです。笑えたうえで、なるほどと感じました。

島田紳助氏の不動産投資の話も、教訓になります。スターとなり、分刻みのスケジュールの中、すべて自分で不動産物件を見て回り、選択して投資したそうです。投資では、そこまでやらなければ儲からない。逆に、そこまでする根性の人は少ないので、そこまで徹底すれば勝てるということです。

世間で繰り返し聞く話についても、勉強になりました。聞き手が快感を覚えるから世間で流布するので、聞き手をその気にさせるサービスをつくれば儲かる。あるいは、本当の真理であるから、本当に実行すれば儲かる。これも素晴らしいです。
(書評2015/06/26)

「改訂版 金持ち父さん貧乏父さん」 ロバート・キヨサキ(著)

 

日本でシリーズ累計350万部、全世界では3000万部という超ベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」。日本語版発売から13年、根本となる「金持ち父さん」の教えはそのままに、最新状況に合わせて改訂版が登場しました。

おすすめ

★★★★★★★★☆☆

 

対象読者層

お金持ちになりたい人。社会に出る前の若い人。

 

要約

・学歴は高いがお金に苦労した父さんと、高い学歴はないがお金持ちになった父さんから、少年のころ相反する教えを受けた。2つの異なる教えに接したことで、学校では学ばないお金持ちになる考え方を発見できた。金持ちになるか貧乏になるかは、考え方や行動の仕方が原因なのだ。

お金がどのように動くかを知る、お金に関する教育が大切だ。(給料をもらうため)自分がお金のために働くのではなく、(事業などで)お金を自分のために働かせることが、金持ちと貧乏を分ける。

 

金持ち父さんの教えは、6つの指針にまとめられる。

①金持ちはお金のためには働かない。
②お金の流れの読み方を学ぶ。
③自分のビジネスを持つ。
④会社を作って節税する。
⑤金持ちはお金を作り出す。
⑥お金のためではなく学ぶために働く。

①金持ちはお金のためには働かない。
不満や困難な状況になったとき(人生につつきまわされたとき)が学ぶチャンスだ。
学校はお金のために働く方法を学ぶところ。
たいていの人間は、お金がなくなる恐怖と消費の欲望に動かされて働く。
恐怖と欲望という感情に支配されず、感情を観察して自分の頭で考えろ。
自分を知るための情報と知識を求めなくなると、無知にとらわれる。無知が恐怖と欲望を大きくする。
自分がその場にいなくても事業自体がお金を生み出す仕組みをつくること(ビジネス)が、お金が自分のために働くということだ。

②お金の流れの読み方を学ぶ。
金持ちになるには、そして金を持ち続けるためには、お金について学ばなければならない。
資産と負債の違いを知ること。金持ちは資産を手に入れる。中流以下の人は負債を資産と思いこむ。
資産は自分に金を与え、負債は自分から金を持ち去る。
貧乏、中流、金持ちの金の流れの説明。
お金をどう管理するか、勉強する必要がある。
何も考えず他人と同じ行動をとるのは、恐怖に負けている。
大きな持ち家は負債である。金持ちは、収入を生む資産への投資を優先する。
中流の人は、働いて得た収入が他者のふところに入ることに気付いていない。(給料のために働くことは会社のオーナーと株主の利益、支出の税金は政府の利益、負債の住宅ローンは銀行の利益。)働いて努力した分が、そのまま自分の利益になる方法を学べ。
資産の生むお金(キャッシュフロー)が支出を上回り、余ったお金を再投資できるようになれば、お金持ちになれる。

③自分のビジネスを持つ。
利益を生む本当の資産やビジネスを持て。
本物の資産とは、自分がその場にいなくても収入を生むビジネス、株、債券、収入を生む不動産、手形や借用証書、著作権、特許権、そのほか収入を生み出すもの。

④会社を作って節税する。
現代では、税負担が最も重いのが中流。金持ちは会社を利用して節税する。会社を作り、自分のビジネスを持つこと。
会社の利点は、収入から経費を差し引けることと訴訟から身を守れることだ。
中流と金持ちを分けるのは、知識の力だ。会計、投資、市場の理解、法律という4つの知識の力を持て。

⑤金持ちはお金を作り出す。
社会的成功には、「大胆さや度胸」が必要となる。過度の「恐怖心」と「自信のなさ」が、成功の邪魔となる。
現代は、情報が価値を持つ変化の時代だ。いろいろな選択肢を考えつく能力を持つこと。
金持ちは、何もないところからお金を作り出す。お金は実際には存在しない。お金を動かすのではなく、人々の「同意」を動かすのだ。著者が破産した物件を転売して、お金を作った例。
会計、投資、市場の理解、法律という、ファイナンシャル・インテリジェンスを高めよ。
ファイナンシャル・インテリジェンスが高ければ、安全だが儲けの少ない投資ではなく、儲けの大きい取引の有利不利を見極められる。
優れた投資家には、他の人が見逃すチャンスを見つける技術、資金を集める技術、賢い人を集めて組織にする技術、がある。

⑥お金のためではなく学ぶために働く。
「給料をもらって支払いをする」というラットレースにはまる前に、何を学べるかを考えて仕事を探すこと。
広く浅く学べ。新しいことを学べ。セールスを学べ。
長い目で見て学べ。いま毎日やっていることを続けると、最後はどこに行き着くのか?

 

実践するために必要なこと。

①お金を失う恐怖心を克服せよ。
失敗をバネにする。一点集中する。

②悪いことばかり考えて臆病になるな。
臆病者は批判をし、勝者は分析をする。「~はいやだ」という状況を抜け出す道を考えることが成功の鍵だ。

③忙しさを理由にして、本当に大切なことから逃げるな。
忙しいと言って、心の底では大切とわかっていることから逃げるな。理由(忙しい)や罪悪感(やるべきではない)は、感情を殺す。欲望を持つことや、どうすれば実現できるかと考えることは、魂を活性化する。

④自分への支払いを最初にせよ。
税金や他人への支払いを後にすることで、自分にプレッシャーがかかる。何とかしようと、より努力し考えるようになるので、自分が鍛えられる。

⑤無知を隠すために傲慢になるな。
無知を取り繕うため、傲慢になる人がいる。知識を軽視し傲慢にふるまうと、損をする。専門家を探すか、自分で勉強すること。

 

スタートを切るために。

①強い目的意識があるか。
②謙虚に偉大な投資家や専門家から学び、自分にとって新しい考えを受け入れる。
③金持ちの話から学び、中流や貧乏の人の話を反面教師とする。
④いろいろな新しいことを速く学ぶ。
⑤自己抑制能力をもつ。お金・人・自分の時間の管理をする。
⑥能力のある専門家に、報酬をたっぷり払う。
⑦元手は(資産が増えた形で)必ず回収する。
⑧ぜいたく品は、資産が生むキャッシュフローで買う。
⑨与えよ、さらば与えられん。教えよ、さらば与えられん。

・具体的な行動のヒント。

 

書評

3~4年前に、改訂版ではない初版本を読みました。薄い記憶がよみがえりまして、内容はおそらくほぼ同じだと感じました。しかしあらためて読むと、名著と言ってよいのではないでしょうか。特に若い人に読むことをおすすめします。自分ももう少し早く読んでおけばと残念です。

初めて読んだときは、何となくこんなものかと思っただけでした。著者の説明や主張も、あまりわかりませんでした。そのあと、働きながらいろいろと考え、投資や経済の本を読み、少しずつ投資の経験を積んできました。そしてもう一度読むと、著者のひとつひとつの教えの意味が、わかるようになっていました。

インパクトの強い形で大ベストセラーになったので、影響力のある本です。お金を貯めるハウツー本や、自己啓発系の本に書かれていることと共通点は多いです。読みやすく、その後の同じ系統の本にも影響を与えているので、原点である本書を読むのは勉強になるでしょう。

私がこの本を初めて読んだのは、30歳過ぎだったように思います。そしてその意味がつかめたのは、さらに遅かったです。正直、初めに読むのが10年は遅かったと感じます。出遅れました。ただ本書でも例が出てきますが、カーネル・サンダースがケンタッキー・フライド・チキンを創業したのは66歳のときです。過去を振り返っても、過去はもう変えられません。今から頑張るしかない。とにかく若い人に、1日でも早く読むことをおすすめします。
(書評2015/06/24)