「改訂版 金持ち父さん貧乏父さん」 ロバート・キヨサキ(著)

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日本でシリーズ累計350万部、全世界では3000万部という超ベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」。日本語版発売から13年、根本となる「金持ち父さん」の教えはそのままに、最新状況に合わせて改訂版が登場しました。

おすすめ

★★★★★★★★☆☆

 

対象読者層

お金持ちになりたい人。社会に出る前の若い人。

 

要約

・学歴は高いがお金に苦労した父さんと、高い学歴はないがお金持ちになった父さんから、少年のころ相反する教えを受けた。2つの異なる教えに接したことで、学校では学ばないお金持ちになる考え方を発見できた。金持ちになるか貧乏になるかは、考え方や行動の仕方が原因なのだ。

お金がどのように動くかを知る、お金に関する教育が大切だ。(給料をもらうため)自分がお金のために働くのではなく、(事業などで)お金を自分のために働かせることが、金持ちと貧乏を分ける。

 

金持ち父さんの教えは、6つの指針にまとめられる。

①金持ちはお金のためには働かない。
②お金の流れの読み方を学ぶ。
③自分のビジネスを持つ。
④会社を作って節税する。
⑤金持ちはお金を作り出す。
⑥お金のためではなく学ぶために働く。

①金持ちはお金のためには働かない。
不満や困難な状況になったとき(人生につつきまわされたとき)が学ぶチャンスだ。
学校はお金のために働く方法を学ぶところ。
たいていの人間は、お金がなくなる恐怖と消費の欲望に動かされて働く。
恐怖と欲望という感情に支配されず、感情を観察して自分の頭で考えろ。
自分を知るための情報と知識を求めなくなると、無知にとらわれる。無知が恐怖と欲望を大きくする。
自分がその場にいなくても事業自体がお金を生み出す仕組みをつくること(ビジネス)が、お金が自分のために働くということだ。

②お金の流れの読み方を学ぶ。
金持ちになるには、そして金を持ち続けるためには、お金について学ばなければならない。
資産と負債の違いを知ること。金持ちは資産を手に入れる。中流以下の人は負債を資産と思いこむ。
資産は自分に金を与え、負債は自分から金を持ち去る。
貧乏、中流、金持ちの金の流れの説明。
お金をどう管理するか、勉強する必要がある。
何も考えず他人と同じ行動をとるのは、恐怖に負けている。
大きな持ち家は負債である。金持ちは、収入を生む資産への投資を優先する。
中流の人は、働いて得た収入が他者のふところに入ることに気付いていない。(給料のために働くことは会社のオーナーと株主の利益、支出の税金は政府の利益、負債の住宅ローンは銀行の利益。)働いて努力した分が、そのまま自分の利益になる方法を学べ。
資産の生むお金(キャッシュフロー)が支出を上回り、余ったお金を再投資できるようになれば、お金持ちになれる。

③自分のビジネスを持つ。
利益を生む本当の資産やビジネスを持て。
本物の資産とは、自分がその場にいなくても収入を生むビジネス、株、債券、収入を生む不動産、手形や借用証書、著作権、特許権、そのほか収入を生み出すもの。

④会社を作って節税する。
現代では、税負担が最も重いのが中流。金持ちは会社を利用して節税する。会社を作り、自分のビジネスを持つこと。
会社の利点は、収入から経費を差し引けることと訴訟から身を守れることだ。
中流と金持ちを分けるのは、知識の力だ。会計、投資、市場の理解、法律という4つの知識の力を持て。

⑤金持ちはお金を作り出す。
社会的成功には、「大胆さや度胸」が必要となる。過度の「恐怖心」と「自信のなさ」が、成功の邪魔となる。
現代は、情報が価値を持つ変化の時代だ。いろいろな選択肢を考えつく能力を持つこと。
金持ちは、何もないところからお金を作り出す。お金は実際には存在しない。お金を動かすのではなく、人々の「同意」を動かすのだ。著者が破産した物件を転売して、お金を作った例。
会計、投資、市場の理解、法律という、ファイナンシャル・インテリジェンスを高めよ。
ファイナンシャル・インテリジェンスが高ければ、安全だが儲けの少ない投資ではなく、儲けの大きい取引の有利不利を見極められる。
優れた投資家には、他の人が見逃すチャンスを見つける技術、資金を集める技術、賢い人を集めて組織にする技術、がある。

⑥お金のためではなく学ぶために働く。
「給料をもらって支払いをする」というラットレースにはまる前に、何を学べるかを考えて仕事を探すこと。
広く浅く学べ。新しいことを学べ。セールスを学べ。
長い目で見て学べ。いま毎日やっていることを続けると、最後はどこに行き着くのか?

 

実践するために必要なこと。

①お金を失う恐怖心を克服せよ。
失敗をバネにする。一点集中する。

②悪いことばかり考えて臆病になるな。
臆病者は批判をし、勝者は分析をする。「~はいやだ」という状況を抜け出す道を考えることが成功の鍵だ。

③忙しさを理由にして、本当に大切なことから逃げるな。
忙しいと言って、心の底では大切とわかっていることから逃げるな。理由(忙しい)や罪悪感(やるべきではない)は、感情を殺す。欲望を持つことや、どうすれば実現できるかと考えることは、魂を活性化する。

④自分への支払いを最初にせよ。
税金や他人への支払いを後にすることで、自分にプレッシャーがかかる。何とかしようと、より努力し考えるようになるので、自分が鍛えられる。

⑤無知を隠すために傲慢になるな。
無知を取り繕うため、傲慢になる人がいる。知識を軽視し傲慢にふるまうと、損をする。専門家を探すか、自分で勉強すること。

 

スタートを切るために。

①強い目的意識があるか。
②謙虚に偉大な投資家や専門家から学び、自分にとって新しい考えを受け入れる。
③金持ちの話から学び、中流や貧乏の人の話を反面教師とする。
④いろいろな新しいことを速く学ぶ。
⑤自己抑制能力をもつ。お金・人・自分の時間の管理をする。
⑥能力のある専門家に、報酬をたっぷり払う。
⑦元手は(資産が増えた形で)必ず回収する。
⑧ぜいたく品は、資産が生むキャッシュフローで買う。
⑨与えよ、さらば与えられん。教えよ、さらば与えられん。

・具体的な行動のヒント。

 

書評

3~4年前に、改訂版ではない初版本を読みました。薄い記憶がよみがえりまして、内容はおそらくほぼ同じだと感じました。しかしあらためて読むと、名著と言ってよいのではないでしょうか。特に若い人に読むことをおすすめします。自分ももう少し早く読んでおけばと残念です。

初めて読んだときは、何となくこんなものかと思っただけでした。著者の説明や主張も、あまりわかりませんでした。そのあと、働きながらいろいろと考え、投資や経済の本を読み、少しずつ投資の経験を積んできました。そしてもう一度読むと、著者のひとつひとつの教えの意味が、わかるようになっていました。

インパクトの強い形で大ベストセラーになったので、影響力のある本です。お金を貯めるハウツー本や、自己啓発系の本に書かれていることと共通点は多いです。読みやすく、その後の同じ系統の本にも影響を与えているので、原点である本書を読むのは勉強になるでしょう。

私がこの本を初めて読んだのは、30歳過ぎだったように思います。そしてその意味がつかめたのは、さらに遅かったです。正直、初めに読むのが10年は遅かったと感じます。出遅れました。ただ本書でも例が出てきますが、カーネル・サンダースがケンタッキー・フライド・チキンを創業したのは66歳のときです。過去を振り返っても、過去はもう変えられません。今から頑張るしかない。とにかく若い人に、1日でも早く読むことをおすすめします。
(書評2015/06/24)

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