長年たくさんのお金持ちに接してきた著者が、お金持ちの思考や行動を観察してまとめた本です。お金持ちになれるヒントが詰まっています。
おすすめ
★★★★★★☆☆☆☆
対象読者層
お金持ちになりたい人。
お金持ちの特徴を知りたい人。
要約と注目ポイント
著者は金融機関勤務と経営コンサルの経験がある。その経験から、お金持ちには思考パターンや行動原理、キャリアに特有の傾向があることを知った。これを応用し、著者自身も富裕層に入ることができた。
本書では以下の3点を解説する。
①お金持ちの実像とその生活
②お金持ちの習慣・思考と行動原理
③お金持ちになるには
お金持ちの実像とその生活
社会的地位の高さ、年収の高さ、持っている資産の多さ、これらは世間では混同されるがそれぞれ別のもの。
お金持ちが何代も資産を維持できることは少ない。どんなお金持ちにも、成金の要素はある。(誰にとっても成金になれる可能性はゼロではない。)
日本の(億レベルの)富裕層は、土地持ちタイプ、羽振りのよい商売成功タイプ、ひたすら貯金したタイプが典型的。実業家では、地域密着企業を継承した保守的タイプと、外資系タイプがある。
日本の富裕層数が多いのは、円高と過大評価な不動産のため。外国のお金持ちの資産は、金融資産。
住む場所の話。時計と靴の話。プライベートバンクの話。
1億ドル以上の超お金持ちの話。資産を守って他国に居住することはたいへん。
お金持ちは、お金を失う恐怖を常に感じている。
お金持ちと言えるのは、資産3億円以上か年収3000万円以上のクラス。ただ資産5000万円を超えると、資産を絶対に失いたくないというお金持ちの思考を始める。年収1000万円はお金持ちではない。
お金持ちの習慣・思考と行動原理
お金持ちの習慣、思考、行動を具体的に説明する。
わがまま?
ありがとうとよく言う。
ケチ?
食事代はもつ。
価値観が変わり昔の友人と話が合わなくなる。
感謝せずお礼をする。
すべて自分の責任と考える。
人を見抜く、数字を見抜く。
効率的、混雑を嫌う、コストパフォーマンス重視。
リスク管理をする。
見栄を張る効果を知る。
などなど‥‥
お金持ちになるには
それでは、お金持ちになる方法とは。お金持ちになるための、さまざまな視点を説明する。
お金の話ばかりをする。
日本では安心を求める人が多い。これを使う。
元手が少ないなら、リスクを取って集中投資することも必要となる。
自分の目で確かめ、自分の基準を絶対に譲らない。
お金持ちになれるかは、20代の過ごし方で決まる。
年寄りの説教は無視しろ。
貧乏人と付き合うな。
人に使われてはならない。
などなど‥‥
書評
本書の内容は、自己啓発と資産運用で半々となっています。お金持ちになれるような、思考や行動原理を身につけるための自己啓発が半分。実際にお金はどう使うべきか、数字の読み方、投資のやり方などが半分という感じです。
これらがきっちり分けて説明されているわけではなく、混在一体となっています。思考や行動、事業や投資のやり方はつながっているので、混ざっています。
お金持ちがどういう生活をしているか、といった話もありますが、私にとってはその部分は割とどうでもよかったです。私はひたすらお金を儲けたいだけなので。その部分も読み物としては楽しめます。
私は投資やお金の本をかなり読んでいるので、大切だと著者が述べている事柄は知っていたものが多いです。やはりそうですよね、とだいたいのところで納得しました。知っているだけでなく実行できるかが、凡人と金持ちの分かれ目だと本文中でも指摘されていますが。実行が大事です。
面白いと思ったのは、いつもお金の話をしていると、周りの人をスクリーニングできるということです。お金の話ばかりすることで、金持ちを妬む人や合理的な思考のできない人が遠ざかります。
さらに自分の目で見て、詐欺師みたいな人たちを排除すれば、付き合えば稼げたり儲けたりできる人が残るとのことです。笑えたうえで、なるほどと感じました。
島田紳助氏の不動産投資の話も、教訓になります。スターとなり、分刻みのスケジュールの中、すべて自分で不動産物件を見て回り、選択して投資したそうです。投資では、そこまでやらなければ儲からない。逆に、そこまでする根性の人は少ないので、そこまで徹底すれば勝てるということです。
世間で繰り返し聞く話についても、勉強になりました。聞き手が快感を覚えるから世間で流布するので、聞き手をその気にさせるサービスをつくれば儲かる。あるいは、本当の真理であるから、本当に実行すれば儲かる。これも素晴らしいです。
(書評2015/06/26)