「1行家計簿 世界一かんたんにお金が貯まる本」 天野伴(著)

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気になる出費の中から節約するターゲットを選び、1日たった10秒記録するだけ!
すぐに貯金が始められます。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

どうしてもお金が貯まらない人。
いつの間にかお金が減っている人。
家計簿や支出管理アプリに挫折した人。

 

要約と注目ポイント

・何となくお金を使っていて、貯金できない。家計簿をつけたりするのに挫折してきた。1行家計簿は、そのような人たちでも実行できる、楽なお金の貯め方だ。

家計簿をつける目的は、ムダな出費を抑え、そのお金を本当に使いたいことにあてるため。だからムダづかいの1項目に注目し、その出費だけ記録して、ムダづかいを減らすのが最も手早い方法だ。

1行家計簿では、ひとつのムダづかいに集中します。

 

1行家計簿

・メリット
楽なので続けられる、ムダづかいの金額が明確、何をすべきかも明確、行動を変えられる、ムダな出費を使いたいことに使える。

何となく出費しているムダづかいを節約ターゲットにして、その出費額を使った時点で書く。振り返ったら、必要でなかったと感じる出費をターゲットにする。

お菓子、コーヒー、ジュース、お酒、タバコ、カフェ、飲み会、漫画、ゲーム、エステ、コスメ、服、美容院などの費用が候補になる。
例:仕事帰りに週3~4回コンビニに寄り、お菓子と漫画を買っている。この費用を集計。

日付と出費を記録するだけ。これを1か月続ける。
回数が多い習慣的な出費なら、1週間の集計でもよい。自分が一番よくいる場所に1行家計簿を置き、出費したらすぐに記録する。

家計簿としては、究極の手軽さです。

1か月(1週間)たったら、合計金額を書く。出費回数で割り、1回あたりの出費を計算する。

・回数が多く、出費額が大きい項目がヤバい。
回数は少ないが出費額が大きい項目や、回数は多いが出費額が小さい項目も、節約の効果あり。

ムダづかいを減らすには、回数を減らすか、1回あたりの金額を減らす。
その出費そのものをやめる、買い物自体の回数を減らす、1回あたりの上限額を決める、出費の対象をもっと安いものに替えるなど、行動を変える。

回数か金額だけを考えるので、節約の方法もわかりやすいです。

節約目標を決め、具体的な行動目標を立てたら、翌月から記録する。
節約した金額でやりたいことを考え、モチベーションを維持する。

・貯金は先取りで貯められる。
給料が振り込まれたら、まず決めた金額(割合)を貯金用口座に入れる。残りは全額使ってよいので、節約して本当に使いたいことにお金を使おう。
先取り貯金と、1行家計簿を組み合わせれば、お金が貯まる。

・1行家計簿を利用した、節約の具体例。
同僚との外食、仕事後の缶ビールとおつまみ、オンラインショッピングなどの出費を節約した実践的アドバイス。

・1行家計簿に成功したら。
①引き続き、今のターゲットを節約していく。
②別の節約ターゲットを考えてみる。
③普通の家計簿にステップアップ。
④節約が習慣になったなら、やめてもOK。

1行家計簿の成功は、貯金の達成感を味わえます。

 

書評

著者の編み出した1行家計簿ですが、極限まで労力をかけずに、ムダづかいを止めてお金を貯める方法論となっています。家計簿や支出管理アプリなどに挫折した人でも、記録をつけられ、支出を減らすことができる方法です。

そもそも家計簿は何のためにつけるかと言えば、支出の記録を振り返って、ムダな支出を削減するためだ、と著者は述べています。ですから、家計簿は継続的に記録して(データの収集)、長い期間の支出の記録を振り返り(データの処理と分析)、ムダな支出を洗い出してその出費を削り、お金を貯める(改善の行動計画と実行)という作業が必要になります。

あらためて書いてみると、確かに面倒です。家計簿をつけ始めても、そのうちやめてしまうのは、仕方ないかもしれません。また家計簿をつけても、分析できないので何をすべきかわからない、改善の行動計画を思いつかないので支出が減らせない、といったこともありそうです。

本書は、家計簿のルーチンワークについて、とことん簡略化しています。家計簿を、家計の業務改善というか、コスト削減というか、そんな仕事のようにとらえてみれば、本書では仕事の効率化を追求しています。

とにかく楽で負担のない形で出費の記録をつけ、ムダづかいを明確にし、わかりやすい形で行動計画が立てられます。1回あたりの出費額を減らすか、支出の回数を減らすかしかないのですから。

1行家計簿はわかりやすく、実行しやすい良い方法と思います。ですが普通のケースなら、1月あたり数千円の節約が限界のような気もします。

1冊の本に仕上げるのに、1行家計簿のネタだけだとちょっと物足りないからか、割と唐突に先取り貯金の方法が出てきたりもします。給料日に3万円とか5万円とか、手取りの10%とかを、貯蓄用口座に移しましょう。そうすればお金が貯められます。先取り貯金は最強の貯蓄術です。などと述べられたりします。

しかし、毎月数万円を必ず貯金するには、1行家計簿だけでは厳しい気がします。もし月数万円貯めるとなると、複数項目の1行家計簿とか、固定費の削減をやらないと難しいのでは?

ものすごく楽をしながら、1項目のムダづかいの習慣を見える化し、行動を変えて節約する。そこで節約したお金は、本当に使いたい項目に使う。節約の意識や習慣が身につけば、なお良い。貯金を始める第1歩になる。

1行家計簿の意義は、そのようにまとめられそうです。家計全体の改善には、さらに何らかの手段が必要なように感じました。
(書評2015/11/09)

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