著者は投資に対し、豊富な知識と経験を持っています。個人投資家が読むべき、長期投資の古典的名著です。
おすすめ
★★★★★★★★☆☆
対象読者層
初級者以上。お題目ではなく、真に長期投資を志す人が対象となります。
長期(5年や10年のレベルではない)を見据えて、投資に取り組みたい人。
著者はすべての投資家(個人投資家に加え機関投資家も含む)に対して、語っています。しかし、皮肉なことですが、本書の内容はすべての投資家に受け入れられることはなく、人を選ぶでしょう。
どこまでも冷静に自分を見つめ、市場の熱狂から離れ、感情を制御し、自分の能力の限界を悟り、合理的精神と判断を尊ぶ人が、本書の対象となります。
要約と注目ポイント
要約し難い本です。この要旨の羅列ではなく、実際の本文に価値があるとご理解下さい。
10年を超えるような長期では、大半のファンドの成果は市場平均を下回る。また、市場平均を上回る少数のファンドを、事前に見出す方法はない。したがって、市場に勝つことではなく、投資目的の設定と最適な投資政策の遂行に注力せよ。
市場には勝てない。投資で考えるべきは、どれだけリスクを取れるかをふまえた上で、長期的な資産配分の決定をすることである。そして、暴騰や暴落時もその投資政策を維持できるか考えよ。
インデックスファンドを活用せよ。
運用期間が長くなるほど、実際の収益率は平均収益率に近づく。
平均収益率は、普通株>債券>短期資産。
インフレに対応できる投資対象は株式。
運用基本方針を設定する考え方。リスク管理と長期の投資政策を維持していく考え方。
遺産について。
財団等の基金運用について。
書評
評価する前に2回読み返しましたが、内容を自分の血肉にしたとは言い切れないです。さすがに名著とされるだけあり、主張は簡潔ですが奥深く感じられます。
いかにインデックス運用以上の成果を得ることが難しいか、思い知らされます。特に数十年という期間では。(これはやり直せない人生の一回分に当たる期間となるわけです。)ですので、投資を始めるとき、運用方針を決定することに最大の注意を払い努力を尽くすべき、との主張は重いものです。
現実をすべて受け入れて、その中で合理的な最善の戦略を維持し続けることが、一個人が勝利に至る道であるという著者の投資哲学は、尊重すべきと思います。自分の人生を自分で守るしかない個人投資家は、教訓として胸に刻むべきと感じます。
(書評2013/03/30)