「敗者のゲーム 原著第5版」 チャールズ・エリス(著)

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著者は投資に対し、豊富な知識と経験を持っています。個人投資家が読むべき、長期投資の古典的名著です。

おすすめ

★★★★★★★★☆☆

 

対象読者層

初級者以上。お題目ではなく、真に長期投資を志す人が対象となります。

長期(5年や10年のレベルではない)を見据えて、投資に取り組みたい人。

著者はすべての投資家(個人投資家に加え機関投資家も含む)に対して、語っています。しかし、皮肉なことですが、本書の内容はすべての投資家に受け入れられることはなく、人を選ぶでしょう。

どこまでも冷静に自分を見つめ、市場の熱狂から離れ、感情を制御し、自分の能力の限界を悟り、合理的精神と判断を尊ぶ人が、本書の対象となります。

 

要約と注目ポイント

要約し難い本です。この要旨の羅列ではなく、実際の本文に価値があるとご理解下さい。

10年を超えるような長期では、大半のファンドの成果は市場平均を下回る。また、市場平均を上回る少数のファンドを、事前に見出す方法はない。したがって、市場に勝つことではなく、投資目的の設定と最適な投資政策の遂行に注力せよ。

市場には勝てない。投資で考えるべきは、どれだけリスクを取れるかをふまえた上で、長期的な資産配分の決定をすることである。そして、暴騰や暴落時もその投資政策を維持できるか考えよ。

インデックスファンドを活用せよ。

運用期間が長くなるほど、実際の収益率は平均収益率に近づく。

平均収益率は、普通株>債券>短期資産。

インフレに対応できる投資対象は株式。

運用基本方針を設定する考え方。リスク管理と長期の投資政策を維持していく考え方。

遺産について。

財団等の基金運用について。

はじめに投資の目的を定め、その目的を達するための投資方針を立てる。そして決めた投資の方針は、市場が動揺しても何としても死守せよ。というのが主張です。人生を見すえて投資目的を規定し、目標達成に至る数十年の投資戦略を守ることの大切さを説いています。

 

書評

評価する前に2回読み返しましたが、内容を自分の血肉にしたとは言い切れないです。さすがに名著とされるだけあり、主張は簡潔ですが奥深く感じられます。

いかにインデックス運用以上の成果を得ることが難しいか、思い知らされます。特に数十年という期間では。(これはやり直せない人生の一回分に当たる期間となるわけです。)ですので、投資を始めるとき、運用方針を決定することに最大の注意を払い努力を尽くすべき、との主張は重いものです。

現実をすべて受け入れて、その中で合理的な最善の戦略を維持し続けることが、一個人が勝利に至る道であるという著者の投資哲学は、尊重すべきと思います。自分の人生を自分で守るしかない個人投資家は、教訓として胸に刻むべきと感じます。
(書評2013/03/30)

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