投資成績も好調な、ひふみ投信を創設された藤野英人氏の本です。投資に対して、新たな視点を持てる1冊です。
おすすめ
★★★★★☆☆☆☆☆
対象読者層
著者は、未来ある若者と、お金について真面目に考えていない頭の固いタイプの日本国民に、読んでもらいたいようです。
要約と注目ポイント
お金を使って何をするか考えるということは、どう生きるか考えることと同じである。人生において重要である。
日本人はお金の話をしない。お金に否定的な態度をとるが、実際はお金そのものは大好きである。(預貯金に偏った資産、寄付をしない行動など。)
日本人は人を信じていない。お金しか信じていない。(誰かに投資したり、寄付したりしない。)
日本人はお金について真剣に考えていない。(日本資本が外国へ投資することは肯定し、外資に日本企業が買収されることはハゲタカなどと罵って拒否する。)
日本人は、金持ちは汚いことをして儲けたんだという、ゆがんだ「清貧の思想」を持っている。
アメリカのヒーロー(スーパーマン・バットマンなど)は民間人だが、日本のヒーロー(ウルトラマンや大岡越前・水戸黄門など)は公務員。日本人は、公的サービス(社会的事業)は民間ではなく国や公務員がやるべきと考える。
人は生きているだけで価値がある。自分の消費活動は誰かの生産活動につながる。(赤ちゃんでも経済主体、労働だけでなく消費も価値ある行動。)
自分の消費にも意識を向けるべき。(ブラック企業がはびこるのは、消費者が過剰なサービスを要求し、結果としてサービス業の従業員に負荷がかかるのも要因。)
調査によると、日本人は仕事や会社が嫌いである。仕事や会社は、目的を同じくする仲間と協力しながら、新しい価値を生み出して社会貢献をし、利益をあげてお金を稼ぎ、自分の人生を豊かにするものだと考えるべき。
日本の会社(特に大企業)は不真面目である。自社がどうあるべきかを(建前でなく本気で)語らない。
投資とは、人を信じて未来を良くしようとエネルギーを投じる行為だ。
書評
著者の主張には、まあそうだよねとそれほど違和感はありません。著者は若い人に読んでもらいたいようなので、学生が気楽に読んでみればいいかなと思います。あと残念ですが、金持ちは汚いと信じきっている人は、本書を手に取らないでしょうね。
私は個人的には、金持ちを蔑視し批判する人は、実はとてもお金持ちになりたい人なのではと思います。嫉妬とかルサンチマンってやつではないか、と思われます。
(書評2013/04/04)