「日本株式への投資」カテゴリーアーカイブ

「株を買うなら最低限知っておきたい 株価チャートの教科書」 足立武志(著)

 

株式投資に必須の、チャート分析を解説した本です。

「株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書」はファンダメンタルの解説、本書はテクニカルの解説で、2冊で1組という位置付けです。

 

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

株式投資をする人。特にチャートの勉強をしたい人。

 

要約と注目ポイント

個人投資家のファンダメンタル分析は、どうしてもプロの投資家に劣る。それを補うのが、株価チャートの分析だ。

業績が良いと考えても、株価が下がるようなら市場の動きに従うべき。自分の予想が間違っていることを教えてくれるのが、株価チャートである。チャートには、プロの投資家の行動が表れる。

 

能力的にプロに負ける個人投資家を助けてくれるのが、株価チャートです。

 

株価チャートの基礎知識

ローソク足、移動平均線、トレンド、売買高など。

 

売買の基本

トレンドに従う。移動平均線が上向きで、株価がその上にあるのが上昇トレンド。移動平均線が下向きで、株価がその下にあるのが下降トレンド。

上昇トレンド:新規買い、持ち株は保有継続。
下降トレンド:持ち株は売り、新規買いはしない。

 

トレンドに乗ります。トレンドには逆らいません。

 

基本的な買いタイミング

移動平均線からの乖離が小さいうちに買うのが理想。損切りの損失を小さくできる。

①上昇トレンドへの転換直後。

②押し目のあとで、反発したところ。

③直近高値を超えたとき。

ほかの買いタイミングについて。

①底値圏での買い。(底値や直近安値などを下回れば損切り。)

②急落時のリバウンド狙い。(底打ちしたと思われるチャートの形。日経平均株価の25日移動平均線からのマイナス乖離が10%超、個別銘柄の25日移動平均線からのマイナス乖離が30%超、25日騰落レシオが60~70%前後など。)

③過去の節目超え。

 

適切なタイミングで買うことが、損失を小さく抑えます。儲けることより、まず大損害を防ぐことを考えます。

 

基本的な売りタイミング

移動平均線を割り、下降トレンドに転換したら、すみやかに売る。再び上昇トレンドに戻れば、買い直す。

ほかの売りタイミングについて。

①直近安値割れ。

②急騰時の売り。

③吹き値への対処。

 

損切りの方法。

①原則は、25日移動平均線割れ。

②直近安値割れ。

③5日移動平均線割れ。

④買値からの下落率(10%など)で売る。

 

含み益があるときの売りタイミングで、パフォーマンスに大きな差が出ます。また、損切りは早くするのが定石と言えます。

 

実践的な株式売買の方法

空売りの考え方と方法。

トレンドを見極める考え方。

トレンド転換直後の、急騰や急落に備えた逆指値注文の方法。

レンジ相場への対応法。

大相場への対応法。

ポジションの管理法。

株価チャートの分析に加え、ファンダメンタル分析、売買高と信用取引残高の確認を行うと、成績が向上する。

 

その他の解説事項。

決算発表。

増資。

突発的な暴落。

バブル。

IPO銘柄。

大天井をつけた株。

 

売買の方法や個別の事項の解説では、著者の投資経験を十分に学ぶことができます。

 

個別銘柄のチャートを使った実戦練習。

 

具体的な銘柄で、数多くのチャートを使って解説します。

 

書評

以前に読んだ「株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書」がとても勉強になったので、姉妹編の本書も読みました。

実は「ファンダメンタル投資の教科書」の方でも、必要最小限のチャートの解説はされていました。トレンドについていくため、移動平均線の説明などがありました。

本書は、その部分が詳しく拡大されたと言えます。

著者の手法は、トレンドに乗る順張りです。規律に沿った損切りで大きな損失を避けながら、利益は大きく伸ばすことを目標とします。著者が使用するのは、専ら25日移動平均線です。

このあたりは、各個人の好みや経験にも左右されるかと思います。買いシグナルや売りシグナル、トレンドの判定で使い慣れた指標があれば、それを使っても良いのかもしれません。

投資の本でよく書かれていますが、大切なのは利益を伸ばし、損を小さくすることです。本書では移動平均線というとてもシンプルな指標で、これを実践します。

本書を参考に規律正しくトレードすれば、大損を回避し、勝ちに近づけそうな気がします。基本的なチャートの形なども説明されていて、勉強になりました。

いろいろな銘柄のチャートを使い、売買のタイミングを論じているので、実際のトレードで応用できると思います。

個人的に残念なのは、このような株式投資の実践本を、もっと昔に読んでおくべきだったことです。

私は、アベノミクス相場のごく一部分にしか乗れませんでした。分散投資は少し実行していたので、円安と米国株高に関しては恩恵を受けられたのですが。

しかし、勉強も無駄ではないはずです。投資家の真価が問われるのは、下落相場です。アベノミクス相場で大儲けはできませんでしたが、バブル崩壊には巻き込まれないようきっちり逃げたいと思います。

それほど遠くない時期に、米国株式市場の下落や、アベノミクスの終わりが考えられます。そのときは失敗しないように、利益確定と早い損切りで逃げていきたいと思います。
(書評2015/07/24)

「いつも出遅れる人の株講座」 太田忠(著)

 

アナリスト、そしてファンドマネジャーとして日本株を知り尽くす著者が、アベノミクス相場を解説します。「株が上がっても下がってもしっかり稼ぐ投資のルール」と合わせて読めば、効果倍増です。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

アベノミクス相場に乗れず、悔しい人。難易度は、初級者向けレベル。

 

要約と注目ポイント

個人投資家は、株価が相当上昇してから市場に参加し、売らずに下落相場に巻き込まれることが多い。「買い」も「売り」も遅れがちな個人投資家に、株式投資の基本を伝えるのが本書の目的である。

株式市場では、社会的常識が通用しない。自分に都合のよい仮定や、判断の遅れ、乗り遅れたという焦りは失敗のもと。投資について無知ならば、人生を失うことすらある。

投資の結果は、「気づく」か「気づかない」かで大きく変わる。

相場の循環というのは、何を買っても儲かる上昇相場から始まります。それが慢心を生み、最後に大損失につながります。まずは相場の歴史をよく学びましょう。

株式投資をはじめる前に覚えておくこと

投資で利益をあげるには、安く買って高く売る、高く売って安く買い戻す、のふたつしかない。

高値や安値を、正確にとらえることは不可能。投資では、時間も分散せよ(資金の余力を残せ)。

株は、安値をつけたら割安で高値をつけたら割高、とは限らない。(新安値はさらに下がりやすく、新高値はさらに上がりやすい。)

含み益は、売らない限り現実の利益ではない。含み損は、今すでに存在する損失である。

ポートフォリオのうち、含み益のある銘柄は残し(買い増し)、含み損のある銘柄は損切りするべきだ。

自分の投資行動パターンを認識し、誤りを修正せよ。

信用取引や先物取引は、レバレッジのかかったゼロサムゲームと認識せよ。

損失限定のリスク管理と、着実な利益確定のため、逆指値注文を利用する。

マネー雑誌などの大儲け話を、真に受けない。大儲けした人の裏側には、大損した人が多くいる。

投資を始めるときは、まず投資をする目的を考える。そして、お金を安定運用資金と長期運用資金に分ける。安定運用資金は、予定されている支出のためのもので、預金などで運用する。長期運用資金は、複利で殖えるように運用していく。

利益は必ず確定させ、常に危機を想定して、投資資金を守ることが大切だと伝わってきます。

株価が上下する理由を知る

マーケット全体が上昇する理由(景気拡大、世界経済好調、景気刺激策、金融緩和策、円安、金利低下、市場の売買が活発)。下落はその逆。

個別銘柄が上昇する理由(業績拡大、業績回復、増配、自社株買い、ブームやテーマに該当)。下落はその逆。

銘柄の選び方

①会社四季報や日経会社情報を読む。

②気になる会社のホームページを見る。

③会社説明会資料を読む。

④決算短信を読む。

⑤PERとPBRで、投資判断をする。競合他社や、自社の過去の水準と比較する。

投資してはいけない会社の特徴

業績が不安定、業績見通しが甘い、ビジネスモデルが崩壊、事業計画が迷走、株主軽視、頻繁な社名変更や監査法人変更。

2015年現時点で有望な銘柄

インフラ(建設・不動産)、売上増(インバウンド関連)、値上げできる(食品など)、円安メリット(輸出関連)、原油安メリット(電力・運輸)、全国や世界に展開(小売など)、株主還元やROE改善、革新的新事業、新高値更新、忘れられている銘柄。

投資期間別の銘柄3分類

長期トレード銘柄:3年以上。景気とはほぼ無関係に、業績が安定して成長する。小売りやサービス業で、一般消費者相手に徐々に規模を拡大する会社。例はユニクロ。

スイングトレード銘柄:数カ月から数年。景気敏感株や市況連動株。大半の銘柄が該当する。例はコマツ。

デイトレード銘柄:デイトレードは専業でやらないと無理。テーマ株やブーム株はマネーゲームと心得る。

銘柄選択や分類では、著者の長年の経験が学べます。

上昇相場での投資

パターンとして、マーケット全体が2~3段階にわたって上げる。

①初期:(景気で循環する)景気敏感株を買う。金融や不動産株を買う。

②中~後期:国策に売りなし。国策銘柄を買う。好業績(特に営業利益が伸びている)や上方修正銘柄を買う。

下落相場での投資

こちらもパターンとして、2~3段階下げるパターンが多い。下落相場でこそ、投資家として生死が分かれる。リスク管理が必須。ほとんどの投資家は対応できない。

下落相場では休むのが賢明だが、積極的な投資家なら、日経平均株価などのインバース型ETFを買うのもよい。必ず逆指値をつけて、個別銘柄を信用取引で売るのもあり。保有銘柄をつなぎ売りする方法もある。

景気は循環し、相場は繰り返します。著者の見解は参考になります。

投資における金言の紹介。

時間は運用の武器。分散投資の重要性。売買も時間的に分散する。リスク管理の大切さ。相場は循環する。バブルは繰り返し起こる。過去の好パフォーマンスは繰り返さない。大化け銘柄の特徴。などなど。

気に入った金言があれば、自分への戒めに使いましょう。

 

書評

読んでみると、そうだよなと感じることが多い内容です。でも、なかなか実行できません。利益を大きく損失を小さくするトレード、投資というのは簡単ではありません。買いから売りまで、会心の出来というのはほとんど記憶にないです。

本書の中身は結構「株が上がっても下がってもしっかり稼ぐ投資のルール」と被っていますが、本書の方が軽く読める仕上がりです。教訓的な話が多くなっています。

どちらを読んでもいいですが、自分で投資ルールをつくりたい場合は「株が上がっても~」が良いかと思います。こちらは今から市場に参加するなら、注意喚起として役立つかもしれません。

アベノミクス相場は終盤戦と思いますが、現時点でまだ終わりではないと考えています。まだバブルは膨らみきっていないと思っています。バブルは最後に大きく伸びるそうなので、欲深く日本株をまだまだ買っていますが、いきなりはしごを外されないように損切り覚悟です。本書にある、光通信を最高値で買った話などを聞くと、本当に怖くなります(そのあと20日連続ストップ安)。

投資は考え始めると本当に難しいです。長年プロとしてやってきた方の経験が詰まった本なので、自分で投資するときに助けとなる、良い「気づき」に遭遇するかもしれません。
(書評2015/05/25)

「株が上がっても下がってもしっかり稼ぐ投資のルール バイ・アンド・ホールドを超えて」 太田忠(著)

 

なぜ、バイアンドホールドは通用しないのか?今の日本における投資戦略を論じた本です。アクティブ運用については、株式投資を論じています。

おすすめ

★★★★★★★☆☆☆

 

対象読者層

資産運用の戦略を考えたい人。株式投資が好きな人。難易度は初級者向けあたりでしょうか。

 

要約

現在の株式投資では、過去の成長時代のバイ・アンド・ホールドとは異なる方法が必要だ。上昇局面、下落局面、横ばい局面、それぞれに適切な対応をする。

個人投資家は、機関投資家より有利である。投資資金が小さいのでどんな銘柄にも投資できるし、売買のタイミングも自由である。

はじめに、自分が投資をする目的をじっくり考えること。自分のなかで投資の目的がはっきりしたら、次に手持ちの金融資産を3つに分けてみる
①生活資金。(6カ月ほどの生活費。普通預金などで持つ。)
②安定運用資金。(予定されている支出を賄うための安全資産。あるいは保守的に運用する資産。定期預金など。)
③長期運用資金。(老後のためのような、10年単位での投資。)
①、②の順で貯めること。③は②まで貯めてから。③は複利効果を活かして運用していく。

アセットアロケーションが大切である。一般に言われるように、全資産を国内外の債券と株式で4等分しないこと。はじめて投資をするなら、リスク資産は10%まで(90%は現金)。勉強しながら、リスク資産の比率は上げていく。相場の変動に備えて現金は残し、時期をずらして金融資産を買え。リスク資産は自分の得意分野を多く持つようにする。自分の知らない(理解できない)金融資産は買わない。異なる分野で最低5銘柄以上に分散投資せよ。

リスク管理が最も大事で、リスク管理できないと生き残れない。システム障害に備えて、複数の証券会社を使う。長期運用資金で許容される損失は、マイナス5%まで。ポートフォリオ全体でマイナス5%になる前に損切りをする。機械的に損切りを行うため、逆指値注文は必須である。株価が上昇したら逆指値も上げていき、確実に利益を確定させる。持ち株を何回かに分けて売り、利益確定するのもよい。

含み益は実現させてはじめて利益が確定するもの。逆に含み損は、すでに発生した現実の損失である。

投資行動の記録をつけ、振り返って反省し今後の教訓とする。売買した銘柄と金額、騰落率、売買した理由、ポートフォリオへの寄与率など。

個別銘柄を選択する方法。
①会社四季報や日経会社情報を読み込む。
②目をつけた会社のホームページ、説明会資料(ビジネスモデル、戦略、将来性など)、決算短信をチェック。
③過去のトラックレコードのチェック。(過去の業績予想の修正はどうだったか。)
④疑問点を会社のIRに質問してみる。
⑤バリュエーションのチェック。(同業他社との比較、過去のバリュエーションとの比較。)

PER、PBR、ROEについて。

上昇相場で選ぶべき株。
しっかりした新規事業がある。
自社のビジネスと相乗効果があり、リターンが期待できるM&Aを行っている。
全国的、世界的に展開できる成長力がある。
景気拡大期における景気循環株。
商品の値上げができる力のある会社。
敗者復活してきた会社。
一貫してIRの姿勢がよい会社。
中小型株のアナリストが減っているので、見向きされず放置されている株。
新高値や上場来高値をつけた株。(新安値の株は避ける。)

・上昇相場では、PERもPBRも高くなる。

IPO企業の質は、上場社数が増えるほど低くなる傾向がある。裏付けのない初値がつくことも多い。目論見書を精読し、過去の業績をチェックする。大株主がベンチャーキャピタルである場合は避ける。上場目的は合理的か、真摯にIR活動をしているか、割高ではないか、時価総額は50億円以上か。

ほとんどの成長株は、期待に添う成長期間が3年未満である。成長している産業では、平均以上に成長しているか?成熟した業界なら、一人勝ちしているか?増益率が増収率を上回る、営業利益率が改善している会社は株価が上がりやすい。

下落局面では、信用取引の売りを活用する。また日経225miniの先物取引により、リスクヘッジもできる。ただし、レバレッジはかけてはならない。逆指値注文でリスク管理をすること。

買ってはいけない(売りの対象になる)株。
ビジネスモデルが崩壊した。
常に業績見通しが甘い。
無意味に多角化する。
何度も社名変更する。
過剰な増資やMSCBなどで、株主の利益を損なう。
好況やブームに便乗して上場しただけ。
経営者にとってIPOがゴール。
監査法人を(怪しげな監査法人に)変更する。
地方取引所に上場している。
経営者が自叙伝などを出版する。

株価は上昇より下落の方が速い。また、売られる株(新興市場など)はどこまでも売られる。時価総額が小さく、流動性が低い株は特に危険である。

株式投資で成功するには、心理の制御が必要となる。
恐怖を克服する。(損失をおそれて判断を誤る、利益を失うまいと手仕舞いが早くなりすぎる、他人の意見が気になって判断を誤る。)
市場の激変に対応し、自身の感性を変化させ投資パターンを修正することが求められる。
適切な投資行動がとれる。(慎重さ、計画性、投資ルールを守る、決断力、柔軟性。)
市場のトレンドに追随できる。
現実を直視し、自分で決断し一貫した行動をとれる。
確率的思考ができる。

業績予想が修正されたときの対処法。

アノマリーについて。

投資信託について。

税金について。

 

書評

著者の経歴の出発点が日本株アナリストなので、ほとんど株式投資(日本株)の話です。しかし、資産運用全体の戦略を考えるのにも使える本です。ポートフォリオ全体で許容できる損失比率を設定し、そこから各資産(各銘柄)で損切りするラインを逆算していくのはよい方法だと思いました。

儲ける話より(儲ける話もたくさんありますが)、とにかくリスク管理を説いているので良識的な本ではないでしょうか。下落局面に対応するための信用売りや先物取引でも、レバレッジを戒めています。投資が初めての人用ポートフォリオが、現金90%になっているのはちょっと面白いです(円グラフの90%が現金)。

他の株式投資本と共通する話もありますが、そのあたりは特に大切なことでしょう。投資を考え始めて1冊目にこの本を読むと、よくわからないと思われます。ある程度投資の勉強をして、自分で取引をした段階で読むと納得できるのではないでしょうか。取引の具体的なルールは書かれていないので、自分で自分の得意な手法を開発する必要があります。

本書でも新高値の銘柄を売ってはならないとあります。上場来高値は最高とも述べています。私は持ち株が新高値を何回かつけると、売って利益にしたくなるのですが、確かに利益は伸ばせるだけ伸ばすのが肝要です。上場来高値は含み損となっている人が誰もいないので、売ろうとする人はいないと考えるべきとあって、なるほどと思いました。
(書評2014/09/29)

「39連勝!「相場の福の神」が教えるザクザク株投資術」 藤本誠之(著)

 

日本の株式市場や個別銘柄の特徴を利用した、稼げる方法論です。1カ月から数年程度の期間で、日本株を売買して儲けたい人におすすめの本です。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

日本株の取引(1カ月から数年程度の期間)で儲けたい人。
難易度は初級者向け程度。

 

要約と注目ポイント

アベノミクスでは金融緩和によりインフレが起こり、株や不動産などの資産価値は上昇する。NISAという制度もつくられた。株式投資を始めるのにふさわしいタイミングである。増税やインフレから身を守るためにも、株式投資を考えよう。

株式投資で勝つには、機関投資家や外国人投資家の動きを知ること。機関投資家は相場が悪くても常に投資をしなければならず、時価総額が大きい銘柄を主に扱っている。

 

株式相場で個人投資家が考えるべきこと

相場の悪いときは休む。

時価総額の小さい(100億円未満)銘柄を狙う。

時価総額が100億円や300億円を超えそうな、これから機関投資家が買いそうな銘柄を探す。

無配から復配するタイミングの銘柄を探す。

株価は比較で決まる。新興市場にあるような、比較しにくい会社の株は買われやすい。

外国人投資家は、日本株をドル建てチャートで見ていることを意識する。

などなど‥‥

日本株を長年観察してきた著者の、個人投資家向けなアドバイスが満載です。

 

株式市場のアノマリーについて

直近に他の新規上場がないと、新規上場銘柄は値上がりしやすい。

下方修正と決算対策売りのため、9月は株価が下がりやすい。

9月前半の日経平均採用銘柄の入れ替えで、売買が発生する。

欧米系投資家は夏休みとクリスマス休暇は取引せず、オイルマネーはラマダン期間中に取引が鈍る。国内機関投資家では、年金は3月に決算対策売りをして5月以降に買う。国内投信は、6月と12月のボーナスシーズンに買いが増える。

秋のノーベル賞や学会シーズンに、医薬品や創薬ベンチャーが値上がりすることがある。同様に産業展示会では、電機やゲームの銘柄が上がることがある。

などなど‥‥

季節要因による日本株の特有な動きを解説します。長年の経験で発見した細かく稼げるポイントが、たくさん挙げられています。

 

株式の情報を収集する

皆が見ている情報源を押さえることが大切である。皆が知っていて買いたくなったり売りたくなったりする情報で、株価は動く。「日経新聞」が一番で、そのほか「ダイヤモンドZAi」「日経マネー」「ネットマネー」「ワールド・ビジネス・サテライト」「モーニング・サテライト」「会社四季報」など。

日経新聞の気になるニュースを保存しておく。自分なりのストーリーをつくったり、関連銘柄を探すのに役立つ。

日経の好材料に朝一番で飛びつくと、高値掴みになりやすい。

日経の記事は、企業側からのリークも多くある。

私の履歴書(Web版の経営者ブログ)に経営者が連載している間は、その企業の悪いニュースは出にくい。

会社四季報の業績予想で株価は動く。会社四季報のデータはすべて役立つ。バックナンバーをとっておき、過去のコメントやデータと比較する。ネット証券のサイトで、四季報発売前に四季報速報が出ていれば注目。

企業のホームページや決算説明会資料も確認する。その第一印象や会社の姿勢をみる。

3月号のマネー誌を保存しておく。株主優待特集が毎年あるので、前年の銘柄を参考に先に買っておく。

新しく運用開始する投信に、テーマがあればチェックする。運用開始日に投信が大量に買うので、銘柄が予想できるなら先に買っておく。

国策に売りなし。現在わかっていることから、実現する可能性が高い事柄を予想する。

などなど‥‥

株価を動かす要因についても、とても詳しく解説があります。

 

株式のおすすめ投資方法

個人投資家(特に平日仕事がある人)は、過去の事例から値上がりしそうな銘柄をあらかじめ買い、中期(数週間から1年以上)で保有し、高値で売るのがよい。

木曜日には手仕舞いし、金土日で情報収集して作戦を考える。中長期の視点で売買すること。週末には、来週のイベントや相場の状況(新高値銘柄、出来高の大きい銘柄、値動きの大きい銘柄)、チャートのトレンドなどを確認する。

頭と尻尾はくれてやれ。落ちるナイフはつかむな。

買った理由が失われた株は売り、早めの損切り(5%の下落など)をすることで、塩漬け株をつくらない。イベントを狙って買った株は、売るべき時期に必ず売る。

などなど‥‥

株式の情報を生かした投資方法を解説します。これも非常に実践的なアドバイスになっています。

 

書評

著者の肩書(?)は、「相場の福の神」となっています。本書の表紙もザクザク儲かるみたいな表記ですし、こんな「相場の福の神」などと自称する人の話は信用できない!と思いつつ読んでみたのですが、意外とまともでした。

著者は日本株の経験が20年以上なので、日本の株式市場に対する経験値はさすがです。日本株式のアノマリーにも通じていて、初めて知ることもあり勉強になりました。

確かに著者が日本株に投資すれば、勝率を高く維持できそうに思います。ただ著者の手法はアノマリーや経験値によるところが大きいので、読者が真似して勝てるようになるには、読者も実戦で経験を積まないといけないように感じます。

読者が銘柄の研究をして勝ったり負けたりしながら取引をし、日経新聞や四季報を読み続けて努力することで、勝率が少しずつ上がるような気がします。日本株式市場の特徴を、身をもって体験し続けることで勝てる手法かと思います。

日本の株式市場はこの20年ほど停滞しているので、他の国のように市場平均を持ち続ければ勝てたわけではありません。市場で起こるブームを素早く察知し、適切に利食いするという姿勢が必要だったと思われます。

著者の手法は経験や知識、アノマリーに優位性があります。そこに個人投資家の取引の柔軟性(いつ何をどれだけ売買するか)が加わることで、勝率を上げられるものと推測します。努力と時間を費やせば、それなりにリターンを向上させられそうです。
(書評2014/09/07)

「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAi「1000万円株バトル!!」優勝者が教える デイトレ&スイング 株ですぐに儲ける法」 Tyun(著)

 

短期で儲ける、デイトレードとスイングトレード。勝てる短期トレード手法を論じた本です。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

デイトレードで地味に儲けたい人。

 

要約

デイトレードとスイングトレードには、リスク管理がしやすく短期間で大きく儲けられる利点がある。すぐに結果が出るので損切りも早くなり、自分に適した投資スタイルをつくりやすい。

・損切りを徹底しリスク管理をして、短期トレードで少しずつ利益を積み重ねることで、著者は6年間勝ち続けた(2005年からの7年で100万円を1億円にした)。

トレードスタイルの分類。
スキャルピング:数秒単位の取引。
デイトレード:数分から数時間。
スイングトレード:数日から1~2週間まで。
ポジショントレード:数週間。
中期トレード:数カ月。
長期トレード:数年以上。

・市場で勝てる投資法は変化するし、アルゴリズムによる高速取引も普及した。そのため、損切りの幅が小さく危険性の低いデイトレードとスイングトレードをおすすめする。平日昼間に取引ができないなら、時間軸を長めにとったスイングトレードやポジショントレードがよい。

デイトレードのデメリットには、手数料がかかる、ザラ場をずっと見ている必要がある、アルゴリズム取引の影響を受けやすいという点がある。手数料の安い証券会社を選ぶこと。

自分の生活でどれだけ損失を出しても平気かあらかじめ想定し、許容範囲内で取引する。元手には最低100万円をつくること。

・空売りできる、レバレッジをかけられる、手数料が安くなるというメリットがあるので、信用口座を開こう

銘柄の癖や特徴をよく観察し、自分と相性のよい得意な銘柄をつくろう。流動性とボラティリティがあり、賃借銘柄であるとよい。大きなニュースや開示情報が出た銘柄、得意なチャートの銘柄、高値や安値をブレイクしそうな銘柄を探す。スクリーニング機能も使う。

自分の得意な金融商品、業種、銘柄群、投資スタイルに集中すること。

高値(安値)をブレイクしたのについていくのが基本である。25日移動平均線でトレンドをつかむ。過去数時間から数日の価格帯別の出来高を見れば、他の投資家のポジションを推測できるので、先に行動できる。価格帯別の出来高が集中している付近を抜けると、ブレイクしやすい。直近の高値・安値や、25日移動平均線付近でもブレイクしやすい。

下にブレイクするのを狙うのがおすすめ。上より下に行く方が速い。また、売りが得意な投資家は少ない。ただし早めの損切りは必須であり、高額な逆日歩にも要注意。

相場の動きが悪いときや迷ったときは、休んでもよい。

仕手株には関わらない方がよい。

両建ては基本的にはしない。売り禁になりそうな銘柄の売りポジションをつくる、50単元規制に抵触せずに売りポジションをつくる、優待を貰う、というときだけにする。

銘柄の賃借状況も確認しておく。

株価の動きが想定と異なったとき、持ち続けるか迷ったとき、需給が悪化したときは損切りする。

気配値から情報を読み取りトレードする方法。

ストップ高(安)について。比例配分があるので、実際の需給を見極めることが重要。

失敗したトレードを書きとめて、定期的に投資手法の問題点を洗い出し改善する。収支をつけて成績を確認する。

 

書評

何か新しいことを始めるとき、私はまず教科書的な本で勉強したくなるのですが、本書はテキストには向きません。デイトレードをやりたい人が、たくさん読む本のうちの1冊かなという感想です。デイトレードがどんなものか少しはわかったので、勉強にはなりました。

要旨ではほとんど触れていませんが、気配値の解釈やそれを受けてのトレード方法についてけっこう記述があります。本当にモニターの前に張り付いていないとできないので、自分にはデイトレードは無理だなと思いました。

私とは投資スタイルが異なりますが、このようなやり方もあるのかとわかりました。偉そうだけど全く予想が当たらないエコノミストやストラテジストよりは、ある程度の期間勝ち続けている相場師の発言の方に価値があるかと思いますので、まあ読んでもよかったかなと感じます。すぐに読み終わりますし。リーマンショックや東日本大震災の暴落を受けても勝っているところは大したものです。
(書評2014/09/06)

「株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書」 足立武志(著)

 

ファンダメンタル重視の中期投資で、トレンドに乗る順張りが基本戦略です。売買の方法を具体的な数値で教えてくれる、実践的な株式投資の教科書です。

株価チャートについては、シリーズの「株を買うなら最低限知っておきたい 株価チャートの教科書」をお読みください。

 

おすすめ

★★★★★★★☆☆☆

 

対象読者層

株式投資を勉強したい人。
自分で銘柄を選んで中期(数カ月から2~3年?)投資したい人。
難易度は入門書~初級者レベル。

 

要約と注目ポイント

将来値上がりする株を探すのに、決算書は有効である。しかし、個人投資家が決算書を読むのは難しい。

本書では、決算書の重要なポイントだけを読み取って銘柄を選ぶ手法を解説する。それに加えて、選んだ銘柄の株をどのように買い、どのように売るかという一連の流れについても扱う。

値上がりが期待できる株は、大きく分けて2種類。

成長株:年々売上と利益が増えている企業の株。
割安株:企業価値に比べて実際の株価が低い企業の株。
(復活株:大赤字から復活した企業の株。大きな上昇率が期待できる。)

これらの株を探すには、「会社四季報」、「決算短信」、「有価証券報告書」を見る。

会社四季報:多くの企業の概況を手早く知る。
決算短信:最新の企業情報や業績がわかる。
有価証券報告書:企業をじっくり調べる。

 

どういった株が値上がりするのか、その種類がわかります。また、その値上がり株の効率的な探し方も学べます。

 

会社四季報の読み方

株価は将来の業績を織り込んで動くので、四季報から読み取る。ただし、あくまでも予想なので実際の業績と異なる場合もある。

成長株では、売上高と経常利益がともに過去3年以上増加しており、当期と来期も増加が予想される企業を探す。過去は売上と利益が増加していても、将来増加のスピードが鈍ったり減少に転じたりすると、株価は低迷する。

割安株では、PERが低い、PBRが低い、配当利回りが高い企業を探す。PERや配当利回りは変動するので、業績の安定性も確認する。

復活株では、赤字が減少してきている企業や、赤字から黒字へ転換が予想される企業を探す。ただし財務をチェックして、倒産の可能性が低い企業を選ぶ。また、株価が下降トレンドにある間は買わない。

四季報を号ごとに見て、業績予想の変化をチェックする。業績は加速しながら上方に修正されているか、下方修正されていないか。

倒産のリスクをチェックする7つのポイントを解説。この7項目を見れば、危険性がわかる。

株主からわかる、注意すべき3つのポイントを解説。この3つのポイントで、将来の株価下落を予測する。

 

会社四季報の読み方が、具体的にわかります。特に倒産リスクと株主の動向は、見るべきポイントが理解できます。

 

決算短信の読み方

決算短信と四半期決算短信は、合わせて年4回開示される。会社四季報より速報性があり、内容も詳しい。

サマリー情報で、当期の売上と利益の実績と、来期の売上と利益の予想を見る。これを四季報の予想数値と比べる。最新情報と四季報で、業績の変化を確認する。

四季報を読んで詳しく知りたくなったことや疑問点を調べる。決算短信の「経営成績・財務状態に関する分析」を読んでみる。

キャッシュフロー対有利子負債比率や、インタレスト・カバレッジ・レシオで、債務償還能力をチェックする。

賃借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の読み方を解説。

粉飾決算がないか、簡潔なチェックポイントを解説。

会社四季報に、「継続前提に重大事象」や「継続前提に疑義注記」とコメントされていることがある。これに関して、決算短信や有価証券報告書に詳しく記載されている。その読み方の解説。

 

著者は、株式投資を熱心に行われている現役の公認会計士なので、このあたりの解説は本当に勉強になります。

 

PER、PBR、ROE、配当利回り

PER = 株価 ÷ 1株当たり(予想)当期純利益

PERは、投資資金が何年分の当期純利益で回収できるかを表している。

PBR = 株価 ÷ 1株当たり純資産

PBR1倍割れなら、企業を解散した場合に残る財産より株価の方が低いことになる。利益を出せる企業がPBR1倍割れなら、割安と言える。優良株ならPBR1倍が下値のめどとなることも多い。割安株ならPBR1倍が上値のめどとなる場合もある。

ROE =(当期純利益 ÷ 自己資本)× 100

自己資本を元手に、どれだけの効率で利益をあげているかを示す。ROEが高ければ、収益力の高い優良企業と評価される。逆にROEの改善が見込める、現在ROEが低い企業に投資するのもあり。

配当利回り =(1株当たり(予想)配当金 ÷ 株価)× 100

配当利回りが高いと、株価は割安と言える。株価が下がると配当利回りが高くなるので、株価を下支えする効果がある。

PERを投資に使うときの注意点を解説。

PBRを投資に使うときの注意点を解説。

ROEを投資に使うときの注意点を解説。

配当利回りを投資に使うときの注意点を解説。

 

PER、PBR、ROE、配当利回りの数値からどう考えるか。実際に投資する際の注意点は、とても役立ちます。

 

売買の方法

個人投資家より早くプロの投資家が業績悪化を予測するため、業績がよいのに株価が下がることがある。株価は業績のピークより先に下がり始める。

日経平均株価などの株価指数でも、景気の底より半年ほど前に底打ちし、景気のピークより先に天井となることが多い。

業績とは別に、株価の動きにはトレンドがある。上昇、下降、横ばいと3つのトレンドがある。横ばいのときは、上昇か下降のトレンドがはっきりするまで待つ。

上昇トレンド、下降トレンドの見極め方。そして、そのときの売買の方法を解説。

株価は買いたい人の数量(需要)と売りたい人の数量(供給)にも影響される。好業績の銘柄でも、需給が悪化すれば売られる。

供給が多くなる(株価が下がる)原因はいくつかある。典型的な下落原因を、5つ解説する。

売買での大失敗を避けられるポイントを解説。

損切りはルールに従い、機械的に実行すること。

 

この本の特長は、ファンダメンタルをしっかり解説しながらも、そのほかの要素にも目配りしていることです。チャートや需給も考慮することで、マーケットの現実に近づいています。

 

決算書を読み込む

長期にわたり高成長を続ける企業を、早く見つけるポイントを解説。

倒産リスクを見極める、重要ポイントを解説。

粉飾決算を見抜くポイントを解説。

税効果会計の解説。

 

注意すべき複数の指標を、具体的な数値をあげて解説するので、非常に勉強になります。これらをすべて身につければ、投資のパフォーマンスは確実に上がるでしょう。

 

書評

著者は会計士なので、ファンダメンタルズの解説はとてもわかりやすいです。四季報や決算短信については、実際の企業の例が多く出されているので理解しやすいです。

決算短信では具体的な数値基準を示し判断材料としており、自分でも真似できます。また、粉飾決算や税効果会計の説明はさすがで、役立ちます。

しかも会計士だからファンダメンタル至上主義かというとそうでもなく、トレンドを見て売買するという実践派です。良いポイントを突いた解説書だと思います。

こういう感じで時間をかけて分析し、感情を制御して売買できれば、結構良い投資成績が残せるのではと思われます。

株式投資だと流儀が分かれることが多くて、成長株(グロース投資)だけやる、割安株(バリュー投資)だけやる、みたいになったりもします。

ただ著者は守備範囲が広くて、成長株も割安株もやるし、業績が悪化した企業も復活の目があれば投資する(10倍株狙い?)、ということで良い意味で欲張りです。ファンダメンタルズを正確に分析して、成長株も割安株も10倍株も臨機応変に投資できたら理想です。
(書評2014/08/14)

「知識ゼロでも大丈夫! 基礎から応用までを体系的に学べる!株式投資の学校 入門編」 ファイナンシャルアカデミー(編著)

 

株式投資で利益を出そうという教本です。基本的なところを、すっと早く理解するのに適した1冊です。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

個別銘柄(日本株を想定)を選ぶ株式投資で利益をあげたい人。難易度は入門書~初級者向け。

 

要約

まず投資のスタンスを明確にする。
投資期間:デイトレード、スイングトレード、ポジショントレード、長期投資。
分析手法:ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析。
投資金額:資産のうち株式に投資する比率。少数銘柄への集中投資か分散投資か。
投資対象:大型株、小型株。

個人投資家におすすめなのは、中期投資。ファンダメンタルズ分析を基本とし、売買タイミングはテクニカル分析でみる。時価300億円以下の小型株を中心に、適度に複数の銘柄に分散投資する。

株価に影響を与える要素。
景気、為替、金利、政策、天候や災害、海外市場、企業業績、M&A、株式分割や増資、機関投資家などの需給要因。

・順張りと逆張りについて。ビジネスが好調で好業績であり、割安ならば上昇トレンドは継続しやすい。業績がよく、PERが低く、チャートの形がよい株を探す。

会社四季報の読み方。

会社を定性分析する。
独自の強みはあるか?参入障壁は高いか?市場は拡大するか?経営者は優秀か?外部環境はどうか?シクリカル(景気循環)株か、ディフェンシブ株か?

銘柄の探し方。
業績は好調か(直近予想期も含め、3期増収増益など)。
自己資本比率(40%以上だと望ましい)はどうか。有利子負債は多過ぎないか。
PERはどうか(特別損失や繰越損による異常値に注意)。
四季報は毎号見て、数字の変化を確認する。
決算発表が好調か見る。(特に上方修正がありそうか、業績修正にサプライズはあるか。決算スケジュールは確認しておく。)
探し出した銘柄をさらに詳細に調べ、投資対象銘柄として確保する。

PERで割安株を探す。
標準的にはPERは15倍程度だが、事業内容が良く、好業績でPERが低く、割安で放置されている株を見つけよう。ただしPERが低いことは、問題が隠れていることがあるので注意深く調べる。成長株ではすでにPERが高めであることが多いが、さらに成長が見込めれば買ってもよい。成長が織り込まれ高PERの株が下方修正などされた場合、暴落の危険もある。相場全体が暴落したときは、優良株の底値としてPBRの1倍を目安にすることもできる。

チャートではトレンドをつかむとともに、その動きの意味を考える。
買いのサインとしては、もみ合いからの上放れ、三角もち合いからの上放れ。上昇トレンドでの押し目。参考にする移動平均線は、スイングトレードで5日と25日移動平均線、中期投資で13週と26週移動平均線、長期投資で52週と120カ月移動平均線など。移動平均乖離率とRSIで短期的な上下動を確認する。

注目すべきチャートパターン。
下降トレンドからの急騰、セリングクライマックス、ダブルボトム、トリプルボトム、ソーサーボトム、なべ底、ダブルトップ、トリプルトップ、ティーカップなど。チャートでは主な節目を確認する。

配当と優待について。

相場全体の動きも確認する。
日経平均株価やTOPIXの動き。株価は景気に先行するので、景気動向。経済指標として、GDP、先行き判断DI(日本)、非農業部門雇用者数(米国)、ISM製造業景気指数(米国)、製造業購買担当者指数(中国)など。各国の金融政策と為替動向。

リスク管理を徹底する。
基本的に、値下がりのリスクが低く期待リターンが大きいと考えられる銘柄に投資する。いくつかの銘柄に分散投資する、買う時期を分散する。買った理由が失われたら売る(損切りする)。安易にナンピン買いしない。自分の投資スタンスを守る。

株式トレードのやり方。
ネット証券で口座開設するまで。売買の方法。信用取引とは。IPOとは。

 

書評

日本の個別銘柄を自分で選ぶことで、大きな利益をあげることを目的にした本です。市場平均に負けないパッシブ運用でコツコツやりたい人は、読む必要はないと思います。日本に限定せず、先進国や世界全体対象の低コストインデックスファンドやETFで資産運用することが、最終的にはまずまずの結果をもたらすと思いますので。

しかし数年ぐらいの期間で大きく勝ちたいという、欲深い人もいるでしょう。私も含めて。そういう人は自分がアクティブに動けば市場に勝てるだろうという、おめでたさもあるので慎重にいきましょう。

本書は、個人投資家が日本の個別銘柄を売買するときに注目すべき基本事項を、簡潔にまとめていると感じます。日本の個別銘柄の、数カ月から数年のレンジで株価を動かす要因はだいたいあげられているかと思います。ですので、あくまでも自分の判断で日本株式に投資したい人の入門書に良いでしょう。
(書評2014/07/21)

「伝説のファンドマネージャーが実践する株の絶対法則」 林則行(著)

 

「伝説のファンドマネージャーが教える株の公式」を補足する続編となります。成長株投資にも似ていますが、より日本株に適応させた株式投資の解説本です。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

株式投資を勉強したい人。
想定投資期間が数か月から数年の、成長株投資を志向する人。
「伝説のファンドマネージャーが教える株の公式」を読んだ人。
難易度は初級者程度でしょうか。

 

要約と注目ポイント

個別銘柄の選択と買いのタイミングを解説する。

買うべき銘柄か?買いのタイミングか?

買いで注目すべき4つのポイント。
重要な項目から優先順位がついている。

①ビッグ・チェンジか?
時流に乗っているか、オンリーワン企業か、政策の後押しがあるか、の3つのうちいずれかに該当すること。

②直近2~3四半期の業績が良いか?
売上10%以上、利益20%以上伸びていることが条件。赤字から黒字転換のときは伸び率をみる。

などなど‥‥

相場全体を見る

銘柄選択後、株式市場が上昇局面か確認。

新高値銘柄数が増えたか?

日経平均や他国の市場が最近の高値を抜いたか?

などなど‥‥

「伝説のファンドマネージャーが教える株の公式」の買いの公式と合わせると、より理解が深まります。

買ってはいけない株

訳あり銘柄は買わない。

その会社の株価だけ上がっているが同業種の株価が上がっていないとき

出遅れ株のとき

リストラで利益が出ているとき

などなど‥‥

いつ売るのか?

売りでは完璧を狙わない。

ピークで売るのは無理なので、各種テクニカル指標を利用して売る。

テクニカルツールの説明。

儲けたいと欲深くなると、買うことばかり考えがちです。大きな損失を避けるため、何を買ってはいけないのか、いつ売るのか、これらは常に意識するべきです。

そのほかに株式投資で気をつけること

高値で飛び付き買いをしない。

銘柄数は5~10ぐらい保有して分散投資する。

 

書評

前著「伝説のファンドマネージャーが教える株の公式」を読んで勉強になるなあと思い、本書も続けて読みました。

投資のルールとして、前著より本書の方が読者の裁量に任せる部分が多いように思われます。どちらか読むとしたら、ルールの明確な前著がわかりやすいと思います。

勉強にはなったのですが、ビッグ・チェンジする銘柄を見抜いたり、チャートの解釈などで、やはり経験や知識が必要なのでは、と感じました。著者は、経験が浅くてもルールを守れば大丈夫と述べていますが。
(書評2013/8/17)

「伝説のファンドマネージャーが教える株の公式」 林則行(著)

 

著者は、アブダビ投資庁で日本株式運用部長を経験されています。オイルマネーを操ったファンドマネージャーが教える、日本株投資法です。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

株式投資を始めたばかり、あるいは今から始めるつもりの人。
別に経験者が読んでもよい。

 

要約と注目ポイント

相場に勝つには、最低限の必要な予備知識だけ持てばいい。

「業績のいい株は上がる」は、株式投資の公理だ。「業績がいい」とは何か、いつから市場が好業績を評価するかの2点が重要だ。これらを認識できるよう、数値化できるルールを用いる。

相場に勝つ!株の公式「買い」

相場に勝てる、買いの公式を9つ解説する。

買いの公式1
数年来高値(過去2年以上の期間のうち直近の高値)を更新した時点で買う。

買いの公式2
保ち合い期間が長く、値動きが緩やかであった後、新高値を更新した場合、下げ幅を6割以上戻した後に新高値を更新した場合などは、成功の確率が高い。

買いの公式3
経常利益が、過去5~10年に年平均7%以上成長し、減益がほとんどなく安定している銘柄を選ぶ。

買いの公式4
直近1~2年の経常利益の伸び率(前年同期比)が20%以上である。

買いの公式5
直近2~3四半期の売上の伸び率(前年同期比)が10%以上である。

などなど‥‥

非常に簡潔なわかりやすい基準で、株の公式が提示されます。買う株を選ぶ9つの公式は、方針が明確で勉強になります。

相場に勝つ!株の公式「売り」

相場に勝てる、売りの公式を4つ解説する。

買いと売りでは考え方が違う。売りたい株価は設定しない。下げのスピードは速い。売るときは飛び降りる。

売りの公式1
テクニカル分析の売りサインで売る。

売りの公式2
直近の利益(前年同月比)が20%未満のときは売り。

などなど‥‥

売って手じまいするまでが勝負です。いつ買い、そしていつ売るのか。アクティブに投資したい人は、売買タイミングが決定的に重要です。

 

書評

これらのルールに従って取引はしていないので、成功率はよくわかりません。(著者は成功したパフォーマンスを示しています。)ただ、テクニカルのようでいて、実質はかなりファンダメンタルズ重視なので、参考にできそうだと感じました。

私は過去10年程度の業績推移は確認してきました。四半期の決算発表で、株価が大きく動くのは確かなので、長期の業績に加え、直近の業績も売買の検討事項として、試してみようと思います。
(書評2013/07/13)

「日本株で成功するバフェット流投資術」 大原浩(著)

当代随一の投資家バフェットに学ぼうという本です。バフェット自身に著作はないので、他人が書いたバフェット本は、内容が妥当かは読者が判断しなければなりません。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

対象読者層

バフェット本は欠かさずチェックしたい人、投資本をとにかく読みまくりたい人、あたりかと。

要約と注目ポイント

買う株の選び方

過去10年程度、利益は安定しながら増加する傾向か。ROEは12~15%以上、PERは10~15倍以下、売上高純利益率10%以上の株式を買うのが望ましい。

自社株買いをしたり、経営者・役員・従業員が自社の株を買っていることが望ましい。ストックオプション制度はない方が良い。

他社より競争力で明らかに勝っているか。インフレ時にも価格を上げて、利益を確保できるか、考えてみる。

その会社の事業内容を理解できれば、投資しても良い。

設備投資や研究開発費は、少ない方が良い。

労働組合が、経営側と協調的であることが望ましい。

経営陣は誠実であること。

年間利回りは20~30%を目標にする。

過大な債務はないか、確認する。

最後に著者が、日本株の9銘柄をあげて、具体的に検討している。

バフェットのことを知っていれば、驚く内容ではないです。

書評

難易度は初級者向けレベル。バフェットの考え方を、日本株に応用しようというのが売りでしょうか。他のバフェット本と、内容は(当然ですが)それほど変わりません。

ただし、バフェットをネタとしながら、著者の投資哲学が、かなり前面に押し出されています。バフェット本を何冊か読んでいる人、投資の勉強を真面目にやっている人には、本書から新しく学ぶところは特に無いかと思われます。

あと、年間利回り目標を20~30%としていますが、普通の人がめざす利回りとしては異常と感じます。継続的にそのような利回りを得ることは、ほぼ不可能と思われるので、もう少し現実的な目標を設定すべきと考えます。
(書評2013/03/20)