短期で儲ける、デイトレードとスイングトレード。勝てる短期トレード手法を論じた本です。
おすすめ
★★★★★☆☆☆☆☆
対象読者層
デイトレードで地味に儲けたい人。
要約
・デイトレードとスイングトレードには、リスク管理がしやすく短期間で大きく儲けられる利点がある。すぐに結果が出るので損切りも早くなり、自分に適した投資スタイルをつくりやすい。
・損切りを徹底しリスク管理をして、短期トレードで少しずつ利益を積み重ねることで、著者は6年間勝ち続けた(2005年からの7年で100万円を1億円にした)。
・トレードスタイルの分類。
スキャルピング:数秒単位の取引。
デイトレード:数分から数時間。
スイングトレード:数日から1~2週間まで。
ポジショントレード:数週間。
中期トレード:数カ月。
長期トレード:数年以上。
・市場で勝てる投資法は変化するし、アルゴリズムによる高速取引も普及した。そのため、損切りの幅が小さく危険性の低いデイトレードとスイングトレードをおすすめする。平日昼間に取引ができないなら、時間軸を長めにとったスイングトレードやポジショントレードがよい。
・デイトレードのデメリットには、手数料がかかる、ザラ場をずっと見ている必要がある、アルゴリズム取引の影響を受けやすいという点がある。手数料の安い証券会社を選ぶこと。
・自分の生活でどれだけ損失を出しても平気かあらかじめ想定し、許容範囲内で取引する。元手には最低100万円をつくること。
・空売りできる、レバレッジをかけられる、手数料が安くなるというメリットがあるので、信用口座を開こう。
・銘柄の癖や特徴をよく観察し、自分と相性のよい得意な銘柄をつくろう。流動性とボラティリティがあり、賃借銘柄であるとよい。大きなニュースや開示情報が出た銘柄、得意なチャートの銘柄、高値や安値をブレイクしそうな銘柄を探す。スクリーニング機能も使う。
・自分の得意な金融商品、業種、銘柄群、投資スタイルに集中すること。
・高値(安値)をブレイクしたのについていくのが基本である。25日移動平均線でトレンドをつかむ。過去数時間から数日の価格帯別の出来高を見れば、他の投資家のポジションを推測できるので、先に行動できる。価格帯別の出来高が集中している付近を抜けると、ブレイクしやすい。直近の高値・安値や、25日移動平均線付近でもブレイクしやすい。
・下にブレイクするのを狙うのがおすすめ。上より下に行く方が速い。また、売りが得意な投資家は少ない。ただし早めの損切りは必須であり、高額な逆日歩にも要注意。
・相場の動きが悪いときや迷ったときは、休んでもよい。
・仕手株には関わらない方がよい。
・両建ては基本的にはしない。売り禁になりそうな銘柄の売りポジションをつくる、50単元規制に抵触せずに売りポジションをつくる、優待を貰う、というときだけにする。
・銘柄の賃借状況も確認しておく。
・株価の動きが想定と異なったとき、持ち続けるか迷ったとき、需給が悪化したときは損切りする。
・気配値から情報を読み取りトレードする方法。
・ストップ高(安)について。比例配分があるので、実際の需給を見極めることが重要。
・失敗したトレードを書きとめて、定期的に投資手法の問題点を洗い出し改善する。収支をつけて成績を確認する。
書評
何か新しいことを始めるとき、私はまず教科書的な本で勉強したくなるのですが、本書はテキストには向きません。デイトレードをやりたい人が、たくさん読む本のうちの1冊かなという感想です。デイトレードがどんなものか少しはわかったので、勉強にはなりました。
要旨ではほとんど触れていませんが、気配値の解釈やそれを受けてのトレード方法についてけっこう記述があります。本当にモニターの前に張り付いていないとできないので、自分にはデイトレードは無理だなと思いました。
私とは投資スタイルが異なりますが、このようなやり方もあるのかとわかりました。偉そうだけど全く予想が当たらないエコノミストやストラテジストよりは、ある程度の期間勝ち続けている相場師の発言の方に価値があるかと思いますので、まあ読んでもよかったかなと感じます。すぐに読み終わりますし。リーマンショックや東日本大震災の暴落を受けても勝っているところは大したものです。
(書評2014/09/06)