「知識ゼロでも大丈夫! 基礎から応用までを体系的に学べる!株式投資の学校 入門編」 ファイナンシャルアカデミー(編著)

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株式投資で利益を出そうという教本です。基本的なところを、すっと早く理解するのに適した1冊です。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

個別銘柄(日本株を想定)を選ぶ株式投資で利益をあげたい人。難易度は入門書~初級者向け。

 

要約

まず投資のスタンスを明確にする。
投資期間:デイトレード、スイングトレード、ポジショントレード、長期投資。
分析手法:ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析。
投資金額:資産のうち株式に投資する比率。少数銘柄への集中投資か分散投資か。
投資対象:大型株、小型株。

個人投資家におすすめなのは、中期投資。ファンダメンタルズ分析を基本とし、売買タイミングはテクニカル分析でみる。時価300億円以下の小型株を中心に、適度に複数の銘柄に分散投資する。

株価に影響を与える要素。
景気、為替、金利、政策、天候や災害、海外市場、企業業績、M&A、株式分割や増資、機関投資家などの需給要因。

・順張りと逆張りについて。ビジネスが好調で好業績であり、割安ならば上昇トレンドは継続しやすい。業績がよく、PERが低く、チャートの形がよい株を探す。

会社四季報の読み方。

会社を定性分析する。
独自の強みはあるか?参入障壁は高いか?市場は拡大するか?経営者は優秀か?外部環境はどうか?シクリカル(景気循環)株か、ディフェンシブ株か?

銘柄の探し方。
業績は好調か(直近予想期も含め、3期増収増益など)。
自己資本比率(40%以上だと望ましい)はどうか。有利子負債は多過ぎないか。
PERはどうか(特別損失や繰越損による異常値に注意)。
四季報は毎号見て、数字の変化を確認する。
決算発表が好調か見る。(特に上方修正がありそうか、業績修正にサプライズはあるか。決算スケジュールは確認しておく。)
探し出した銘柄をさらに詳細に調べ、投資対象銘柄として確保する。

PERで割安株を探す。
標準的にはPERは15倍程度だが、事業内容が良く、好業績でPERが低く、割安で放置されている株を見つけよう。ただしPERが低いことは、問題が隠れていることがあるので注意深く調べる。成長株ではすでにPERが高めであることが多いが、さらに成長が見込めれば買ってもよい。成長が織り込まれ高PERの株が下方修正などされた場合、暴落の危険もある。相場全体が暴落したときは、優良株の底値としてPBRの1倍を目安にすることもできる。

チャートではトレンドをつかむとともに、その動きの意味を考える。
買いのサインとしては、もみ合いからの上放れ、三角もち合いからの上放れ。上昇トレンドでの押し目。参考にする移動平均線は、スイングトレードで5日と25日移動平均線、中期投資で13週と26週移動平均線、長期投資で52週と120カ月移動平均線など。移動平均乖離率とRSIで短期的な上下動を確認する。

注目すべきチャートパターン。
下降トレンドからの急騰、セリングクライマックス、ダブルボトム、トリプルボトム、ソーサーボトム、なべ底、ダブルトップ、トリプルトップ、ティーカップなど。チャートでは主な節目を確認する。

配当と優待について。

相場全体の動きも確認する。
日経平均株価やTOPIXの動き。株価は景気に先行するので、景気動向。経済指標として、GDP、先行き判断DI(日本)、非農業部門雇用者数(米国)、ISM製造業景気指数(米国)、製造業購買担当者指数(中国)など。各国の金融政策と為替動向。

リスク管理を徹底する。
基本的に、値下がりのリスクが低く期待リターンが大きいと考えられる銘柄に投資する。いくつかの銘柄に分散投資する、買う時期を分散する。買った理由が失われたら売る(損切りする)。安易にナンピン買いしない。自分の投資スタンスを守る。

株式トレードのやり方。
ネット証券で口座開設するまで。売買の方法。信用取引とは。IPOとは。

 

書評

日本の個別銘柄を自分で選ぶことで、大きな利益をあげることを目的にした本です。市場平均に負けないパッシブ運用でコツコツやりたい人は、読む必要はないと思います。日本に限定せず、先進国や世界全体対象の低コストインデックスファンドやETFで資産運用することが、最終的にはまずまずの結果をもたらすと思いますので。

しかし数年ぐらいの期間で大きく勝ちたいという、欲深い人もいるでしょう。私も含めて。そういう人は自分がアクティブに動けば市場に勝てるだろうという、おめでたさもあるので慎重にいきましょう。

本書は、個人投資家が日本の個別銘柄を売買するときに注目すべき基本事項を、簡潔にまとめていると感じます。日本の個別銘柄の、数カ月から数年のレンジで株価を動かす要因はだいたいあげられているかと思います。ですので、あくまでも自分の判断で日本株式に投資したい人の入門書に良いでしょう。
(書評2014/07/21)

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