「金(ゴールド)はこれから2倍になる」 林則行(著)

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株式市場の暴落は近い。暴落から身を守るため、そして儲けるために金(ゴールド)を買おうという本です。

 

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

金投資に興味がある人。株式市場の暴落が気になる人。

 

要約と注目ポイント

5年後に金(ゴールド)価格は、2倍以上になると予想する。金を買おう。

 

金価格が上がる理由

超金融緩和の最後には、株価暴落と経済停滞、通貨価値の毀損が起こる。

マネーの総量の方が、ゴールドの総量より伸びている。

金価格は歴史的な上昇期にある。

金の生産コストは現在の金価格より高い。金価格が低くなれば生産量は減少する。

新興国の国民は金が好き。新興国の中央銀行は、金の保有量を増やしている。

 

世界はデフレ傾向ですが、中央銀行がマネーをばら撒いているのは事実です。そして、アメリカは金融緩和を終わらせようとしています。

 

投資の原則

投資の原則は、誰にも止められない時代の大きな流れに乗ることである。

現在の大きな流れは、政府の借金が増え続けること。政府は、借金をインフレで解決しようとしている。歴史では、インフレ政策は繰り返されてきた。

 

超金融緩和の後で起きること

株価は下落し、米ドルの信用が低下して、金利が上昇する。金利の上昇幅は、経済の混乱や通貨の信用低下の程度による。金利が上がるほど、金価格も上がる。

世界的に需要が不足している。供給過剰を政府が引き受けるので、政府の債務は増える。政府債務の増大により、インフレとなる。

米国の不動産バブルの清算は終わっていない。不良債権の処理がまだ残っている。対処として量的緩和を続け、マネーが増えた。経済成長を支える主力産業がないのに、マネーの力だけで株価が上がっている。

金融緩和が終われば、株価は維持できない。実物経済より、金融資産の規模が膨張しているので、下がるときは暴落となる。

 

2009年から上げ続けたアメリカの株式市場に、利上げが迫っています。

 

金相場の情報収集

金相場に関連する情報(サイト)の解説。鉱山会社の売りポジション比率に注目する。

株式市場がピークを過ぎると、金価格は上がりやすくなる。ピークを見極める。
相場を代表する銘柄や銀行株が、市場指数に先行して下がり始める。シティバンク、バンカメ、JPモルガン・チェース、ウニクレデイト、RBS、ロイズ、三菱UFJ、三井住友、みずほ等の株価を監視する。

 

株式市場の動揺は、必ず金相場にも影響します。

 

金に投資する

情報を検討して、金を買う時期を戦略的に大まかに決める。買いの時期に、時間をずらして買っていく。相場は2段階で上昇すると考え、高値の目安をつける。

実際に金を買う手段の解説。
地金、金貨、純金積み立て、ETF、先物取引のそれぞれの長所・短所について。税金について。

そのほかの商品の解説。
銀、プラチナ、金鉱株、南アフリカ通貨ランド、原油、食糧。

 

金へ投資する方法を比較し、解説しています。金以外のコモディティについても、適切な投資か検討します。

 

書評

以前に「伝説のファンドマネージャーが教える株の公式」「伝説のファンドマネージャーが実践する株の絶対法則」といった林氏の著作を読み、投資法に影響を受けました。成長株投資に近い方法で、読んでから四半期の業績推移をチェックするようになりました。

今回は、ゴールドを買えという話です。なぜ金を買うのかということで、はじめに現在の世界経済の状況を解説しています。金融緩和による人為的な株高なので、暴落は不可避と指摘しています。

2009年3月からの米国株の上がり方を見れば、それなりの規模の暴落がそろそろ来るだろうと、私も思います。それでは株式市場の暴落にどう対処するか。著者の解決策はゴールドです。

この本を読んだ直後は、すごくゴールドのETFを買いたくなりました。現在の金価格は1130ドルまで下がってきたので、そろそろ買い下がっていってもいいような気になります。

ただ私は、全面的に金に賭けるのも危険かなと思います。

大きな資産を持っているなら、5%とか10%を金にするのもありだとは思います。しかしバフェットが金を買わないように、金自体は利益を生みません。

あくまでも値上がり益を狙うか、インフレヘッジという役割に限定されるでしょう。

それにしても、シティバンクやバンカメがこれほどひどいとは思いませんでした。銀行株は興味がないので見ていなかったのですが、リーマンショックからの回復がとても鈍いです。

それから、イタリア株やヨーロッパの銀行株もまるで回復していません。ギリシャの問題もあり、やはり南欧はダメなのかと思いました。これらの株価に注視せよという指摘は、勉強になりました。

今後の日本は、物価上昇率より金利が低い、金融抑圧の環境になりそうです。ですので、資産を守るという観点で、ゴールドとかビットコインのようなものを買うのは有効と感じます。

売買で値上がり幅を取り、投機的に利益が出せるかは、私には自信がありません。
(書評2015/07/19)

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