「ウォール街のランダム・ウォーカー 原著第10版」 バートン・マルキール(著)

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投資を考える上で外せない古典の紹介です。インデックス運用派の世界では、以前取り上げた「敗者のゲーム」と双璧をなす名著とされます。

おすすめ

★★★★★★★☆☆☆

 

対象読者層

お金について長期の視点で考え、資産運用の堅実な計画を立てたい人。長期投資(特に株式投資)の基礎的な考え方を学びたい人。難易度は初級者以上が適当と思われます。

 

要約

・歴史的に、投資の考え方は2つあった。1つは「ファンダメンタル価値」学派で、将来予想される収益や配当から、投資対象の現在の価格が高いか安いかを評価するものである。もう1つは「砂上の楼閣」学派で、市場の心理的要素を重視し、これから価格が上昇するか下落するか、市場のコンセンサスをとらえて、利益を追求するものである。

・時代、国、地域、対象を問わず、バブル相場は繰り返されてきた。

・主要な株価分析法は、テクニカル分析とファンダメンタル分析である。

・基本的に、「砂上の楼閣」学派はテクニカル分析を、「ファンダメンタル価値」学派はファンダメンタル分析を論拠とする。

・テクニカル分析を用い、長期にわたり市場平均を上回り続けた例は過去に見つからない。過去の株価の推移から、有効な将来予測はできない。

・ファンダメンタル分析を試みても、将来の企業収益は正確に予測できない。そのため、現在の適正株価を想定しても正しいか判断できず、予測した将来の株価も的中しない。アナリストの業績予想は誤差が大きい。

・すべての投資信託のパフォーマンスを平均すると、インデックスファンドのそれを下回る。また、どの投資信託が高いパフォーマンスを示すか、購入前に知る方法はない。

・リスクについての考え方。リスクをとれば、リターンが期待できる。リスクは、適切なポートフォリオによって低減できる。

・行動ファイナンス理論について。

・個人のライフサイクルと投資戦略について。

 

書評

長年の株式市場研究の成果から、インデックス運用の有効性を強調しています。最近の効率的市場理論への批判を意識して、これに反論する記述の量が多いのですが、そのためやや要点がぼやける印象はあります。(まとまりを欠くと感じるのは、私の理解力が至らないせいでもありますが。)

結局のところ本書から、個人投資家は次のようなシンプルな主張を受け止めれば良いと思われます。
『自分の人生で必要なお金について考え、長期で計画を立てる。計画に従い、株式・債券・不動産・現金などのポートフォリオを組む。自国だけでなく世界に分散して投資する。
収益と分散の観点から、インデックス運用を行う。期待する収益率に近づけるため、できるだけ長期で継続的に投資する。』

なお、インデックス運用を主体としつつも、アクティブな運用を行う際のアドバイスも述べています。そのアドバイスは、
①今後5年以上、市場平均を上回る成長をすると予想される。
②まだあまり注目されておらず、それほどPERは高くなっていない。
③将来は市場の期待を集め、PERが高くなると考えられる。
④売買の頻度を減らし、コストを抑える。
という条件を満たす銘柄に投資せよ、です。

これは、言うのは易しいが行うのは極めて困難な内容です。自分の仕事や生活に時間をとられる個人投資家は、インデックス運用の利点を最大限に活かすべき、と考えることにしましょう。また、最後の『訳者あとがきに代えて』がとてもわかりやすいので、読まれることをおすすめします。
(書評2013/05/12)

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