「投資戦略の発想法2010」 木村剛(著)

 

シリーズ累計25万部の良質な投資本として、本書はときどき取り上げられています。現在は、街なかの本屋にはほとんど在庫はないようなので、通販での購入がおすすめです。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

投資の常識を身につけて、長期にわたる資産形成の計画を立てたい人。投資に取りかかる前に準備すべきことや、将来の資産を着実につくり、その価値を維持していくための考え方を学びたい人。難易度は入門書から初級者向け程度。

 

要約

・日本の社会は、資本主義を理解しておらず、資本主義の原則が通用しない。

・個人は、ゆっくりと確実に資産形成することを考えよ。派手に儲けることが投資ではない。

・保有資産と負債の現在の価値を、一覧表にして把握せよ。月に1回程度、定期的にモニタリングする。

・自分を制御し節約して、生活水準を収入以下に保つ。借金はまず返済する。マイホームへのこだわりは捨てる。

・最初に2年分の生活費を、生活防衛資金(失業などの非常時に備えるお金)として貯める。少なくとも1年分は貯めよう。とにかく節約し、給料の天引き預金などで、コツコツ貯金し複利で殖やすこと。このお金は、すぐに換金できる銀行預金や郵便貯金、MMFや短期国債などにしておく。

・まずは自分の仕事をがんばれ。自分の本業に全力で取り組み、自分の価値を向上させよ。あくまでも資産運用は副業である。

・金利、株価、物価、為替の基本原則を理解する。

・資本主義経済は、豊かになりたいという人間の欲望によって動かされ、拡大再生産されるシステムである。(長期的には市場は拡大し、投資すれば最終的に株式市場からリターンが得られる。)個人投資家は超長期の視点で、株式を中核に資産運用せよ。

・投資は、生活防衛資金を確保した上で、暴落しても動揺しない程度にとどめる。

・資産は分散して投資せよ。

・人間は合理的には判断できない。

・①銀行預金(生活防衛資金)、②日本株式、③外貨MMF、④外国ETF、⑤日本国債の5分割ポートフォリオをつくる。

・日本株式を運用の主力とし、自分が転職したいような、自分がオーナーになりたいような、優良企業20銘柄に投資する。(業種は分けて、銘柄ごとに投資額が偏らないよう均等に分散させる。難しければ、インデックスファンドやETFで良い。)タイミングを分散させて投資し、とにかく長期で保有する。デイトレードは厳禁。

・金融商品は、コストが低く、理解できる単純な仕組みで、流動性が高く換金しやすいものを選ぶ。

・金融詐欺に注意。異常に利回りが高いなど、うまい話はほとんどが詐欺。

 

書評

まともな内容なので、20~30年間かけて本書の教えを守り続ければ、それなりの資産が築けそうに思われます。読んで勉強にはなります。
著者はいろいろな体験をしたためか、本書では社会主義的な日本社会への不満・苛立ち・嫌悪感・怒りが爆発しています。もう少し冷静な記述の方が望ましいかとは思います。あと、500ページ以上あるので、読むのは結構大変です。
(書評2013/05/20)

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