「中国台頭の終焉」 津上俊哉(著)

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最近は新興国の不調、特に中国経済減速のニュースを耳にします。本書では、中国経済の厳しい先行きを予想しています。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

中国経済に興味のある人。

 

要約

・中国経済は今後も、7%以上の成長を続けると信じられているが、すでに潜在成長率5%程度の中成長期とみるべきだ。

・短期的に(2015年頃まで)、リーマンショック後に実行された4兆元投資という、過剰投資の後遺症が現れる。

・中期的に(2020年頃まで)、ルイスの転換点を過ぎた中国は、賃金と物価上昇にみまわれるため、生産性や付加価値の向上が求められる。これには、既存の社会構造を変える政策が必要となる。

・長期的に(2020年以降)、少子高齢化のため潜在成長率は5%を下回る。2010年の合計特殊出生率は全国で1.18、北京や上海等で0.7強と、従来の予測よりはるかに低く、少子高齢化は急速に進む。

・中国の潜在的成長率は5%と見込まれ、これをうまく達成できたとしても、米国も2%では成長しているだろう。中国の現在のGDPは米国の半分。3%の成長差では、2020年でも米国の三分の二にとどまり、その後中国の成長はさらに鈍化する。GDPで米国を上回る日は来ないだろう。
人民元がドルに対して上昇を続けるということは、共通認識となっている。しかし、中国が公式統計で成長率を嵩上げし続けた場合、為替レートが変動することになろう。

・中国経済の成長を過大に見積もることは、東アジアの安定に悪影響がある。
中国人は侵略を受けたことで、欧米列強や日本に屈辱を受けたと感じている。ただ現在の経済成長で、中国が欧米日に対し優勢にあると考え始めており、これは過去の屈辱を晴らし大国としてふるまうべしという、対外強硬路線の原因ともなっている。日本の対中強硬派は、中国が今後どこまで強大化するかわからないという恐怖感から、反中の感情的な言動を行っている面もあるだろう。
中国も諸外国も、このままでは中国の成長は続かないと認識し、中国が諸外国と協調しながら内政問題を解決するよう、行動するべきである。

 

書評

中国でビジネスをしている専門家の本なので、さすがに詳しく考察も深いです。要旨では書けませんでしたが、論拠として多くのデータを提示しています。興味があれば、本書を直接お読みください。悲観的な立場の見解ですが、これも勉強になります。

中国破綻論は、当初は北京オリンピック後に崩壊するとか、上海万博後に崩壊するなどでした。これらは、反中的思考の人が主張することが、多かったように思います。要するに、著者と読者がともに中国が嫌いで、中国が滅びる話をして快感を得るというものだったのでしょう。

最近の傾向として、中国で長くビジネスをしている日本人から、中国の将来を懸念する意見が出るようになった印象があります。こういう人たちは、わりと本心から、日中の友好関係や両国の健全な発展を願っている立場です。このあたりの人が心配を始めているのは、気になります。

投資にせよ、国際関係にせよ、感情にまかせて行動すれば、最終的に敗北します。マネーゲームでもパワーゲームでも、冷徹な分析で感情を克服する必要があると考えます。
(書評2013/07/14)

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