税金の現実について、税理士がぶっちゃけます。フリーランスだけでなく、サラリーマンにも役立ちます。
おすすめ
★★★★★★☆☆☆☆
対象読者層
フリーランス、起業、副業に関係する人。また、増税時代のサラリーマン。
要約
・会社設立のメリット。
①節税になる。
②信用が得られる。
③見栄が張れる。
・会社設立のデメリット。
①書類の手間がかかる。
②設立時および維持に事務処理コストがかかる。
③設立・維持・清算に税金がかかる。
④社会保険料が高い。
・税の基本。
事業所得 = 総収入金額 - 必要経費
課税所得 = 事業所得 - 所得控除
所得税 = 課税所得 × 税率
住民税 = 所得割 + 均等割
(所得割は課税所得に一定率をかける。均等割は一定額。)
・給与所得控除について。
会社をつくると、給与所得控除の分だけ課税所得が減る。年収別での税額の例。年収400万円を超えたら、法人設立を考えてみる。
・経費について。
経費は事業に必要なものへの費用。理由が説明できるようにする。家賃、光熱費、ガソリン代、消耗品費、会議の飲食代などは、仕事の範囲内で経費になる。会社の有利な節税手段として、出張日当を払う、9年間赤字を繰り越す、など。
・法人化で信用を得る。
個人より法人の方が信用を得やすく、取引や融資、助成金の獲得などで有利。ただしあくまでも事業で利益を出すことが最優先、と考える。
・決算期について。
・法人住民税について。
・所得控除について。
小規模企業共済、国民年金基金、確定拠出年金、経営セーフティ共済などを利用する。
・減価償却について。
・消費税について。
・確定申告、白色申告、青色申告について。
・サラリーマンの副業について。
副業の所得は、給与と合算して納税額を計算する。
・税務調査について。
・税理士とのつきあい方。
書評
個人事業のやさしい解説ですが、主に税金の話です。質問と答えの対話形式なのでとっつきやすく、どんどん読み進められます。会社が税金の処理をしてくれるサラリーマンにとっても、税金を学ぶはじめの一歩になります。本書はぶっちゃける本なので、教科書的な本と合わせて読むと、知識として漏れがないかと思います。
個人事業や税金について勉強する最初の段階で、読むのに適した1冊と言えるかと思います。このあたりを出発点に、自分なりに勉強と試行錯誤を積み重ねていく必要がありそうです。考えそうなこと(社用車を自分で使う、自宅を事務所にする、家族に給与を払う、出張日当を払う、生命保険料で節税など)はたいてい解説されているので、参考になります。
著者もあとがきで書かれていますが、税金のことは実践しないと身につかないところがあります。私も2回ほど自分で確定申告をして、ようやく税金の仕組みが見えてきた感じです。著者も言われるように、まずはしっかり稼ぎ、そして税金のこともよく調べて専門家に相談し、納税の義務を果たしつつ節税するというのが望ましいと思います。
(書評2014/12/17)
