「私の財産告白」 本多静六(著)

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明治から昭和にかけて活躍した人のお話で、古典的な本です。ただお金を貯める方法としては、現代でも通じます。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

節約と勤勉により、財産を築きたい人。

 

要約

・著者略歴
若いころ苦学するが、25才の時に月給4分の1天引き貯金と、毎日1ページ以上の文章執筆を自らに課した。東京帝大の助教授として教職に励みつつ、公的機関の顧問や民間事業の支援を務めた。40才で貯金の利息が本俸以上になった。万巻の書を読み、万里の道を往くという宿願を果たし、洋行は19回、著作は370冊余りに達した。60才で財産は身のため子孫のために有害無益と悟り、そのほとんどを社会事業に寄付した。

・世の中には虚偽と欺瞞が充ち満ちており、私もそのような世界で生きてきた。しかし85才ともなったので遠慮せず真実を話そうと思う。お金の話をすると品性が下劣とみなされるが、私の金銭生活について伝えよう。

金はあくまでも自力で、筋の通った正しいやり方で貯める。金は雪だるまの芯のように、中心となる玉ができると、あとはどんどんと大きくなる。

貧乏脱出のため、容赦なく収入の4分の1を天引きして貯金する。
臨時収入は全て貯金する。貯金利子は通常収入とみなして4分の1を貯金にまわす。家計簿をつけて管理する。貯金をするのに邪魔となるのは虚栄心だ。

天引き貯金がまとまれば、投資を行う。
株式投資、不動産投資、山林買収(著者は林学が専門で、秩父の山林を買っていた)。

投資成功には「時節を待つ」ことを心得よ。
好景気時代には勤勉貯蓄を、不景気の時代には思い切った投資を、時機を逸せず巧みに繰り返す。将来性のある株を買い、2割値上がりしたら利食い、2倍に値上がりしたら手持ちの半分を売って、お金を増やしてきた。

勤労生活者は節約だけでなく、本職にも役立つようなアルバイトをする。
私は1日1ページ(のちに1日3ページ)以上、著述原稿として印刷価値のあるものを毎日必ず書いた。また本務は精励しつつも、他大学の講師や官庁の嘱託なども引き受けた。

世俗的な成功の第一義は、経済生活の独立にある。出すべきものは出し義理人情も尽くすが、自分に対しては抑制した生活をせよ。
お互いのために金の貸し借りはするな。ウマイ儲け話に釣られるな。借金の保証人になるな。偏狭にならないよう他人の意見をよく聞け。

幸福は、自身の努力と修養によって得られ感じられるものである。子孫を幸福にするには、財産を与えるのではなく、子孫を教育し努力の習慣を与えるべきだ。

・昔からの日本人の悪い癖で、正直に稼いで貯めた金に対しても、けしからんと非難を浴びせる。金をつくることは難しいが、金を使うことはそれ以上に難しい。

・自分が財産的成功を収めたら、社会への奉仕をおすすめする。そのときは先の支払いの約束をしない一時金として寄付するのがよい。

やれるだけのことをやったなら、結果について悔やむな。失敗は必ずあり、良い経験として次の仕事に生かすこと。

自分が儲けたければ、他人にも儲けさせよ。合理主義と人情はともに大切だ。渋沢栄一の「論語と算盤」が理想となる。仕事には謙虚さと自信が必要である。

・部下を使うときは、その人の性格をよく見て仕事は任せ、責任は自分が負う覚悟を持て。与える仕事はその人の力量より少し上のものにする。人事評価は公正に努める。部下の意見も真剣に聴く。長所は褒めて伸ばし、叱り方には注意する。大事なところだけ自説を通し、あとは他説に花をもたせろ。

仕事は道楽化せよ。仕事に面白味が生まれるまでとことん努力すること。職業を道楽化するまで打ち込むことが、平凡人が大成する唯一の道である。天才が怠けたり眠っている間も努力することが凡人の戦い方だ。

 

書評

明治から戦後直後までのお話なので、かなり昔の話ではあります。しかし読んでみると、現代にも十分通じる内容です。普遍的な教訓があるということでしょうか。

要旨だけを読むと真面目な堅物のようでもありますが、著者は明治生まれ(正確には1866年生まれ)の男児らしい熱い人です。苦労して入学した山林学校で、1学期に落第したため古井戸に投身自殺を図って生き残ったり、2学期は決死的勉強で最優等の銀時計を賞与されたり。助教授時代に自分が学内で出した寄付金が多額すぎて、やましいことをやっているのだろうと辞職勧告を受けたり。人生が熱いうえにさっぱりした性格なので、楽しく読める本です。

努力し勉強し一生懸命働き、誠実に人と付き合い、倹約し貯金し欲に流されず、時流を見極め分散させて投資をする。財産を築いたら感謝の気持ちを持ち社会にお返しする。100年前でも現在でも大切なことは同じでした。
著者自身が本文で「そもそも金についての義理と人情とは、いまも昔もそう大した違いはなく、洋の東西にも変わりはない」と書いています。人間の本質はなかなか変わらず、日本人の特徴もなかなか変わらないのだと思われます。

また、著者は社会的地位も高かったので仕事論の記述も多くあり、こちらも読み応えがあります。
なお途中で、福沢諭吉の狂詩「道楽の発端を有志と称す」が引用されていますが、戒めとなる言葉なので書き留めておきます。
(書評2014/02/16)

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