「1万円起業 片手間で始めてじゅうぶんな収入を稼ぐ方法」 クリス・ギレボー(著)本田直之(監訳)

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会社を辞めなくてもできる、主婦などが週に数時間かけるだけでもできる、それで年収500万円。というような書き出しだったので微妙な気持ちになりましたが、リスク低めでビジネスを始めるための本です。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

副業やマイクロビジネス(個人での事業)をやりたい人。

 

要約

・キャリア選択において、安全とリスクのポイントが変わってきた。マイクロビジネスにチャンスが生まれている。本書はその実例集だ。

 

起業まで

自分がやりたいように自由に生活しながら、お金を払ってもらえる価値あるものをつくりあげよう。

「1万円起業」の基本モデル。
①趣味や夢中になっていることが、ビジネスのもとになっている。
②超低コスト(100~1000ドル未満)で起業。
③利益が少なくとも年間5万ドル以上。
④特別なスキルは不要。
⑤自分ひとりで経営、もしくは従業員5人未満。

マイクロビジネスがうまくいく3つのルール。
①自分が好きなことや得意なことと、他人の興味が重なる部分を探す。その他人の興味は、喜んでお金を払うほど強いものであること。適切な情熱を適切な消費者に結びつける。
②自分の持つスキルを別の分野に転用する。自分の持つスキルを組み合わせて、他人の役に立てる。
③情熱やスキルに有用性が加わるとうまくいく。

マイクロビジネスで準備する3つのこと。
①あなたが売るもの(製品やサービス)。
②お金を払ってくれる顧客。
③支払いを受ける手段。

人々が本当に欲しがっているものを与えよ。
自分が不満を感じたことは?自分が買いたいものは他の人も欲しがるのでは?空きスペースを有効に使えるのでは?新しい技術の普及で意外な需要が生まれる?人々は何に幸せを感じる?

価値とは人々の役に立つこと。
消費者が感じる感情的な必要性と価値が結びついていなければならない。隠れた本音(望み)を掘り起こす、顧客をヒーローにする、人が買うものを売る。

・人々がより多く増やしたいことは、愛・お金・自由・時間・他人からの承認など。
人々がより少なく減らしたいことは、ストレス・不安・争い・悪い人間関係・長時間通勤など。
増やしたいことを提供するか、減らしたいことを取り除くことがビジネスの目標になっていればよい。

コンサルタントとしてビジネスを始めるには。
①特定の問題に的を絞れ。
②値段を低く設定しすぎない。1時間100ドルを目安に定額料金を請求する。料金の内訳は明確に。
③クライアントに提供するコア・ベネフィットと、それを提供できる自分の技能を示す。
④このサービスが役立った実例を示す。
⑤すぐに依頼できる方法を明示する。

「好きを仕事に」する時の注意。
趣味そのもので収入を得ることはできない。誰かがその趣味をする手助けか、趣味に間接的に結びつくものなら収入となる。
趣味を仕事にしたらストレスにならないか?にも注意。
(情熱 + スキル) × (顧客の問題 + 市場) = ビジネスの機会

・従来の属性ではない、新しい人口統計(興味・情熱・能力・価値観)で顧客を分類する。
顧客を探すには
①人気のある趣味や流行を探す。
多くの人が興味を持つが、日常生活で実行するのが難しいことがよい。(ダイエットなど。)
②お金を払ってくれそうな人に質問してみる。
○○についていちばん困っていること、いちばん知りたいこと、どんなことをしてほしいか?

・考案したビジネスプロジェクトは、影響の大きさ、必要な時間と労力、収益性、将来性を考えて評価する。

 

販売する

すばやく始めて、反応を見てから考えよう。
「売り出す」ときのルール。
①有用性のある(お金を払ってもらえる)アイデアを選ぶ。
②初期費用を抑える。
③まず売ってみる。
④つくる前に市場があるか確かめる。
⑤最初の結果から、変えるべきところを変える。

ビジネスプランをチェックする。
何を売るのか、誰が買うのか、このアイデアは誰の役に立つのか。
いくら請求するのか、どうやって支払いを受けるのか。
このプロジェクトで、稼ぐ方法はほかにあるか。
このプロジェクトを顧客はどうやって知るのか、広める方法は。
成功と考えられる指標(顧客数または総収入)は。
計画の障害となりそうな問題と、その解決策は。
いつまでに立ち上げるか。

ミッション(括弧内の部分)をまとめる。
私たちの[製品またはサービス]は、[顧客]が[コア・ベネフィット]を達成するのに役立ちます。

お客に欲しいと思わせるには。
①人が「実際に欲しいもの」と「欲しいと言うもの」は、必ずしも同じではないと知る。
②押し付けて買わせようとしない。
③今すぐ買いたいと思わせる要素をつける。

お客へのオファーは、適切な相手に適切な約束を適切なタイミングで。
FAQのページは、予想される反論に答えて買い手に安心感を与え、ベネフィットを伝えるために使う。
わかりやすい保証をつける、もしくは保証を一切つけない。
お客の期待以上のものを届ける。

製品やサービスの告知方法。
ステップ1:とにかくすごいことを伝える。
ステップ2:なぜこのプロジェクトが重要か伝える。
ステップ3:具体的な情報を流し始める。
ステップ4:発売日直前に情報を出し、買う気にさせる。
ステップ5:発売開始のメッセージ。購入手段へのリンクもつける。
ステップ6:リアルタイムで情報発信を続ける。発売時にトラブルが起きれば誠実に対応。
(ステップ7:終了期限を伝え駆け込み需要を促す。終了時に感謝のメッセージ。)

告知した約束は守ること。製品やサービスの弱点もうまく伝える。とにかく多くの知り合いに協力を頼んでみる。売り込みはギブアンドテイクで、まずギブから

プロジェクトがビジネスであることを忘れない。常に利益を重視し、初期投資は小さく。
収益性を高めるには
①コストではなく、ベネフィットに基づいて価格を決める。
②わかりやすい何通りかの価格帯を設定する。
③顧客が継続して買ってくれるプログラムをつくる。

 

増収のために

「ツイーク」(大きな変化につながる細かい修正)せよ。
アクセス量、コンバージョン率、平均販売価格、お得意様への販売量をそれぞれ少しずつ上昇させる。

複数のプロジェクトをやりたくなったら。
自分のメインのウェブサイトを本拠地、メイン以外の活動を前線基地と位置づける。
パートナーシップでは、お金の分配、責任の分担、情報共有、運営方法、期間などを確認。
アウトソーシングするかどうかは、ビジネスの性質と経営者の性格で決める。
アフィリエイトを採用する。

ビジネスの状態を確認する。
売上、訪問者数、平均注文金額、コンバージョン率、ネットプロモータースコアなどから重視する指標を決め、常に監視する。

・会社の売却が目的なら、オーナーに特殊な能力がなくても利益が出る組織にする。価値が高く、後継者をつくりやすいビジネスであること。

 

書評

本書は10万部ほど売れたようで、ヒット作です。アマゾンにも感想が結構集まっていますが、そんなに書かれているようにはうまくいかないよ、という意見も聞かれます。

私が気になったことは3つです。

ひとつめは、ビジネスが成功した場合はそれが専業になるということです。本書は会社を辞めずに起業できると書いていますが、ビジネスが動き出したら本気で専念しないと無理です。本書の例でも、年5万ドル以上稼ぐ人はほとんどがそれを本業としています。

ふたつめは、 本書は個人事業主のために書かれているということです。タイトルは起業ですが、副業レベルから最大でも個人事業主として少人数を雇うレベルまでです。会社の規模を大きくすることに関しては、本書の範囲を越えます。

みっつめは、意外と普通のことも書いてあることです。そんなにうまくいかないよという読後の感想が多かったのですが、一応は教訓も書いてあります。好きだけでは仕事にならないとか、お金を払ってもらえるほど誰かの役に立っているかとか、ビジネスの目的は利益を出すことだとか。

本書を読んだだけでうまくいくことはなかなかないでしょう。しかし本書では超低コストでの起業を勧めているので、リスクもほとんどありません。失敗してもダメージが少ないので、もしやりたいことがあるのなら、副業からでも始めてみればいいのでは。やってみれば、いろいろ「気づき」や「学び」もあるでしょう。
(書評2014/02/25)

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