金融機関の社員にすすめられるまま、金融商品を買うことの危険性を指摘する本です。
おすすめ
★★★★★★☆☆☆☆
対象読者層
入門書レベルと思います。すでに保険や投信を始めているが、よくわかっていない人。これから保険に加入したり投信を買いたい人。将来、保険や投信にお金を使うかなと思われる人。
要約
本書は、保険と投信の2編に分かれています。
保険編
・保険を勧めてくる営業担当者や販売員の給与は、販売手数料の利益から出ていることをまず考えよう。売り手側に都合が良い商品が、勧められている可能性がある。保険商品は不透明で、手数料や経費、支払い実績などが明らかではない。
・無料で情報がもらえて当然、と考える日本人が多いのも問題かも?専門家が良識的立場でアドバイスするときは、相談料が発生するのは当たり前と考えるべきでは?メディアにも誤った情報はあるので、自分でもよく考える。
・公的な保険制度や勤務先の福利厚生制度で、使えるものは多い。(高額療養費制度など)それらをまず調べて考えるべきで、重複する保険は無駄。
・保険はそもそも、確率的に低いが起こると重大なイベントに備えるもの。(若くて健康で小さな子どもがいる世帯主の急死など)一生涯の死亡保障や高齢での医療保険などは、低い掛け金で手厚く保障することが原理的に困難。
・確定拠出年金は良い。ほか、いくつか具体的な保険の紹介。
投信編
・売れる投信イコール良い投信ではない。売れている投信は、営業担当者が熱心に売る投信であり、手数料が高いなど問題がある。
・毎月分配型や通貨選択型のように、目先の利回りが優先されたり仕組みが分かりにくい投信は避ける。どういうリスクがあり、どのようにリターンを得るのか、自分で理解できる投信を選ぶべき。
・テレビ、新聞、雑誌などメディアの情報も正確でないことがある。運用成績やリターンも、着目する期間によって大きく変わるので、都合のよいデータを示されることがある。
・純資産が増え続けているような投信が良い。信託報酬はインデックスなら0.3~0.5%、アクティブなら1~1.5%が目安。販売手数料は2~3%以下で。そのほか、投信を選ぶ考え方を簡単に。
書評
初心者の私が偉そうに批評するのは、気が引けますが。一から勉強を始める人は、まず、やさしい標準的なマネー本を、複数読んだほうがいいと思います。大まかに分かってきて、金融商品である実際の保険や投信を買いたくなったら、本当にそれでいいのか!って自分につっこみを入れるのが、本書の役割かと。入門書を複数読む内の1冊に加えてみると、効果的だと思われます。
(書評2013/03/06)