「新・投資信託にだまされるな! 買うべき投信、買ってはいけない投信」 竹川美奈子(著)

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ベストセラーになった「投資信託にだまされるな!」の改訂版です。投資信託について、そして投資についても、わかりやすい入門書です。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

投資信託(投信)について勉強したい人。
難易度は入門書~初級者向け。

 

要約と注目ポイント

金融機関の窓口で勧められる投信は、ほとんどが投資家にとって損なもの(金融機関に利益があるもの)である。本書の目的は、投資に時間をかけられない普通の人が、長期的な資産形成ができるように、情報を提供することである。

買ってはいけない金融商品の例

①高金利預金と投信販売を組み合わせた商品。

②外国の高利回り債券の投信。

③毎月分配型の投信。

④通貨選択型投信。

などなど‥‥

なぜその投資信託を買ってはいけないのか、しっかりと解説付きです。投資信託としてどうして不利なのか、どうして危ないのか、自分で考えられるようになります。

 

投資信託の基礎知識

投資信託に関わる3つの会社。

販売会社:投信を販売する金融機関。
運用会社:投信をつくって運用する会社。
信託銀行:資産を保管し管理する会社。

投資信託のコスト。

購入時手数料:投信を買うときにかかる手数料。販売会社に払う。
運用管理費用(信託報酬):投信を保有している間はずっとかかる費用。3社に払う。
信託財産留保額:解約時にかかるコスト。
日本では販売会社の力が強く、費用がかかる投信が売られやすい。

購入時の注意点。おすすめ、ランキングは無視。

同じ投信でも販売する金融機関で手数料が違う。購入時手数料の高い投信は避ける。最も重視するのは運用管理費用。運用管理費用が低いほど良く、長期保有ほど効果がきいてくる。おすすめやランキングで投信を選ばない。

パッシブ運用とアクティブ運用。

パッシブ運用とは、市場全体の値動きに連動した収益をあげるような運用手法。アクティブ運用は、市場平均を上回る収益をめざす運用手法。長期的な運用成績では、大半のアクティブ運用投信はパッシブ運用投信に負ける。

投資信託を選ぶ前に、知っておきたいことが学べます。

 

買うべきおすすめの投資信託

長期でリスクを抑え、安定して収益をあげるには、国内外の複数の資産に分散投資する。基本は4つの資産を組み合わせる。日本株式、外国株式(先進国と新興国)、日本債券、外国債券(先進国)のそれぞれのインデックスファンドで、幅広く投資する。

手間をかけたくなければ、世界全体の株式と債券に投資するバランス型投信を選ぶ。国内外のオーソドックスな資産に投資しているか、資産配分比率は適当か、過去の運用成績と想定されるリスクはどうか、パッシブ運用か、手数料は安いか、確認する。バランス型投信の例(セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドなど)。

できるなら複数のインデックスファンドを自分で組み合わせる。日本株式ではTOPIX、先進国株式ではMSCIコクサイ・インデックス、新興国株式ではMSCIエマージング・マーケット・インデックス、先進国債券ではシティ世界国債インデックス、といった指数に連動するファンドを選ぶ。

手数料が安いか、純資産総額が安定的に増えているか、指数との乖離が小さいか、を確認する。日本債券は変動金利の個人向け国債や、MMF、預貯金でも可。低コストなインデックスファンドの例(SMTインデックスファンドシリーズなど)。

慣れていれば海外ETFを自分で買って構成する。ETFの例としてティッカーをあげると、VT、TOK、VWO、EFA、IVVなど。日本株式では銘柄コード1306。

今後も新しい投資信託が発売されたり、既存の投資信託でも手数料が変更されたりします。そんなときでも、選び方の基本がわかっていれば、自分の力で投資信託を選別できます。

 

世代別の運用方針

10年、20年という単位で分散投資を行えば、資産をふやせる可能性は高い。現役世代は自動積み立てを利用し、複利効果を活かして少しずつ運用額を増やそう。

リタイアが近くなれば、投信などのリスク資産の割合を下げ、債券や預貯金などの安全資産へ配分しよう。一部で運用を続けながら、一部を取り崩していく形となる。退職金など大きなお金が入っても、焦ってよくわからない投資話に乗らないこと。

・そのほか、投信の基本事項のQ&A。

投資信託で失敗しない基本知識は、この1冊で身につけられます。

 

書評

竹川氏の著作は過去に何冊か読みましたが、基本事項をわかりやすく丁寧に説明している印象を受けます。本書も、普通の人がコツコツ資産運用するときに気を付けるべきことが書かれています。前作がベストセラーであり、改訂版の本書も手堅い内容になっています。

何か目新しい、特別なことが書かれているわけではありません。投資を考え始めた人や、実際に始めた人が勉強するのに適当な1冊と思います。
(書評2014/07/14)

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