「リクルートのDNA 起業家精神とは何か」 江副浩正(著)

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リクルート創業者の江副氏の著作です。リクルートという会社は、すごく活動的でタフであるというイメージを持っていまして、何か学べるのではと思い読んでみました。

また本書内で江副氏自身が述べていますが、江副氏にはカリスマ性はなく、内気で話下手で体も弱く宴会なども苦手だったとのことです。江副氏に取材した記者が、江副氏はおとなしく暗い印象だったと書いた記事を読んだこともあります。

このようにカリスマ性や強烈な個性を持たない創業者が、どうやってあのような強力な会社組織をつくりあげたのか、という疑問が解ければと思いました。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

起業後に強い会社組織をつくりたいと考えている人。リクルートや江副浩正氏に興味のある人。

 

要約

創業者(経営者)と社員が、同じ理想のベクトルを持ち続けるようにする。

・経営者は仕事の現場の隅々まで、そして社員全員の特徴を知ろうと心掛ける。

社会に貢献すること、個人を尊重すること、商業的合理性を追求すること、を経営の原則とする。

誰もしていないことをやり、時代の要請に応え高収益を上げよう。

自分の意見を持ち、わからないことはお客様に聞いて改善を続ける。

・競争のない事業は産業ではない。後発企業のよいところは進んで真似する。競争は歓迎するが、同業者間競争で二位になることは死である。

・社内に小さな会社をつくり、収支計算を行う。高収益には高い報酬を与え、赤字事業からは早期に撤退する。失敗に寛容な企業文化が大切だ。

・社員持ち株を推進する。自らが働く会社の損益が、株主の損益と直結することが望ましい。

・健全な赤字事業をもつ。常に新しい事業を立ち上げ続ける。新規事業の立ち上げはボトムアップ、赤字事業からの撤退はトップの決断で行う。

・高い経営効率には、ハイパフォーマーが必要。ハイパフォーマーは、少数で高い成果を達成しようとする過程で育つ。

自分を成長させるのは自分。自己管理が大切。

よく働き、よく学び、よく遊ぶ。

・マナーとモラルは大切。

・良いネットワークを構築して仕事をする。周囲に自分を理解してもらう。

・数字に強くなる。

・脅威を感じるときにイノベーションは行われやすい。自らを変えれば、新しい道が開ける。

・業績以外に、適性テストや他者評価から自らの問題点を知り、自己変革する。人も会社組織もフィードバックから学ぶ

成功する起業家について。
人材を集め目標と理念を共有する。
誰よりも、優れた仕事を熱心に継続してやる。
社員をよく知り、誰にどの仕事をどのレベルまで要求するか設定できる。
創業者利益が得られる事業、社会に求められる事業をする。
少ない資本でできる仕事から始める。
時間を有効に使う。
失敗を恐れず、部下の失敗に寛容であること。
若くて就職をしないまま起業する。
常に学び人の意見や助言を聞く。
コミュニケーション能力を高める。
倫理観をもつ。
健康に留意する。
人の能力を最大まで引き出す。
常に顧客の声を聞く。

・江副氏が学んだ、起業家や経営者について。

・リクルート創業から現在までの事業について。

 

書評

起業や経営において大切なことを、淡々と江副氏が述べています。要旨にまとめてみましたが、いろいろと勉強になります。

江副氏は起業当初から、自身にリーダーとしての素質はないと自覚していました。どのような言動をすれば仲間・部下・社員のやる気が高まり、能力が向上し、事業を成功させられるか、ずっと考え続け、実行し続けました。

社訓通り、江副氏自身が自ら機会をつくり、機会によって自らを優秀な経営者へと変えていったのです。

己を知る理性、深い洞察、広く意見を求める謙虚な姿勢、自らの行動を制御し自己変革を続ける克己心、失敗を恐れない勇気。天賦の才はなくとも、意思によって自己を変革し、事業を成功させた人生には敬意を覚えました。

やや編集に難がありますが、何かを達成するために自分を変える必要を感じている人は、読まれるとよいかと思います。
(書評2013/10/25)

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