「全面改訂 超簡単 お金の運用術」 山崎元(著)

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投資の初心者でも簡単にできる、おすすめの資産運用の解説本「超簡単 お金の運用術」が全面改訂されました。最新の情報にバージョンアップしています。

おすすめ

★★★★★★★☆☆☆

 

対象読者層

手間をかけず資産運用したい人。
合理的な運用方法を知りたい人。
難易度は入門書~初級者向けレベル。

 

要約と注目ポイント

本書の目的は、極めて簡単で現実的にベストに近く無難なお金の運用方法を、伝えることである。

合理的な資産運用を、手間をかけないという面から極限まで追求します。

「超簡単 お金の運用術」からの進化

本書(全面改訂版)では前回版以上に、お金の運用方法をシンプルなものとした。

超簡単 お金の運用術

①当座の生活に必要なお金(生活費3か月分程度)を、銀行の普通預金に確保する。

②残ったお金を、リスク運用マネーと無リスク運用マネーに分ける。
(リスク運用マネーは、無リスク運用マネーより5%利回りが高いが、最悪の場合1年で3分の1が失われる可能性があると想定。無リスク運用マネーは、元本割れはないとする。)

③リスク運用マネーは、「TOPIX連動型上場投資信託 コード番号1306」と「SMTグローバル株式インデックス・オープン」に半々に投資する。

④無リスク運用マネーは、「個人向け国債 10年満期タイプ」かまたは「MRF」に投資する。1行1000万円未満なら銀行預金でもよい。

⑤大きなお金が必要になったら、リスク運用マネーまたは無リスク運用マネーを、躊躇なく部分解約する。

⑥NISAと確定拠出年金を最大限に利用する。

非常用の貯金を確保します。そして、暴落に巻き込まれたら嫌なお金は預金しておいて、残りは全額インデックス投資をするということです。

お金で困らないために大切なこと(数字は重要な順)

①仕事の稼ぎ。

②節約と貯蓄の習慣。

③不動産で失敗しない。

④生命保険に入らない。必要なら掛け捨ての定期保険に入る。

⑤都市部で生活するなら、自動車を持たない。

⑥お金の運用(本書の内容)。

毎日資産運用のことを考えるよりは、しっかり働いて、高額の買い物に注意し節約することが大切です。

投資の基本

投資対象の各金融商品の解説。

自分で理解できない金融商品は買わない。他人から勧められた儲かる話にはのらない。

借金を避けること。

外貨預金、FX取引、外国債券、コモディティ(商品)は、長期投資には適当ではない。

資産運用では、自分の人的資本(将来の稼ぎ)と今後必要となるお金も考慮する。

そのほか、資産運用全般の解説。

基本の知識があれば、お金について冷静に考えられるようになります。

NISAの正しい利用法。

①NISA枠は最大限使う。

②リターンの高い資産の運用にあてる。

③長期間持ち続けられるよう、分散投資している商品を選ぶ。

④コストの低い商品を選ぶ。

具体的には、本書で推奨する株式の投資信託やETFを買うのがよいだろう。NISA枠はあくまでも運用の一部分として位置付け、資産全体の運用を最適化させる。

確定拠出年金の運用の考え方。

①運用益非課税のメリットを活かすため、期待収益率の高い商品を選ぶ(日本または海外の株式インデックスファンドが妥当であろう)。

②通常の運用商品より手数料が安い場合があるので利用する。

③一資産に投資する商品を選ぶ(株式と債券のバランスファンドなどは避ける)。

④同じリスク内容なら低コストの商品を選ぶ。

確定拠出年金は資産運用の一部であり、資産全体の運用計画を最適な形にする。

NISAと確定拠出年金は、資産全体の中の一部として考えます。全体でバランスのとれた形にします。

 

書評

運用の基本的な方針は、前著から変更はありません。ただ、さらにシンプルになっています。

また、前著はリーマンショックの嵐の時期だったので、金融危機について触れていました。本書ではそれに代わり、アベノミクスとNISAおよび確定拠出年金について解説が加えられています。

全面改訂されていますが、基本的な考え方は揺るがないので、前著と重なる部分も多くあります。コラム等も重複しているものがあります。前著を読まれた方は、日本と海外の株式配分比率が50%ずつになったところと、アベノミクスとNISAおよび確定拠出年金の該当部分を読めばよろしいかと思います。

前著を読まれていない方は、どちらか1冊読めばよいでしょう。まあ情報も新しい方がよいので、本書をおすすめします。
(書評2013/10/31)

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