「Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール」 ランダル・ストロス(著)

 

Yコンビネーターとは、IT系スタートアップに投資をするアメリカのベンチャーファンドです。本書は、シリコンバレーの起業家たちを取材したノンフィクションです。IT系の起業では、大いに参考になります。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

シリコンバレーにおける起業の実像に興味がある人。

 

要約と注目ポイント

起業でやるべきこと

スタートアップに必要な5つの要素は、貧乏、スタミナ、移動(引越し)できる身軽さ、同僚、(起業の困難さへの)無知である。

スタートアップは、急速に成長する新しいビジネスでなければならない。

自分自身が使いたくて、自分以外が作るのが難しく、成長の可能性を他人が気付いていないようなサービスを探せ。

アイデアはとにかく早く形にして、プロトタイプでもよいのでユーザーに届けろ。ユーザーが求めるものか反応を見ろ。フィードバックを得て改良せよ。

毎週の成長目標を数値で設定し、達成させる方法を考え抜け。

営業相手からの拒絶に打たれ強くなれ。契約は必ず成立させろ。セールスアニマルになれ。

コードを書け、顧客と話せ。

必ず誰かと一緒に起業しろ(創業者は2~3人が最適)。

シリコンバレーの熱気が、はっきりと伝わってきます。さまざまなタイプの起業家が登場し、多くのアイデアを披露しているので、起業したい人にもおすすめです。

 

書評

シリコンバレーを舞台にしたノンフィクションとして読んでも、そこそこ楽しめます。もちろん、IT系で起業を考える人には参考になります。ただしあくまでも読み物のような形態であり、登場人物が多く構成も込み入っていて、内容が少しわかりにくいです。

例えば、あるスタートアップを参考にしたいと考えたとします。最初にアイデアを出した段階から、開発、アイデアの変更や改良、資金調達、プレゼン、本格的な市場への展開などと続きます。

このようなスタートアップの経過を自分の起業の参考にしようとしても、本書をかなり熱心に読まないと捉えることができません。場面ごとの記述がバラバラに切り離されているので、自分で探す必要があります。

というわけで、ちょっと起業の参考書としては使いにくいのですが、本書にはIT系の起業ビジネスモデルが大量にあるので、勉強になります。起業に強い意識を持ちながら本書を読めば、有益な情報を読み取れると思います。

漫然と読んでも読み物として楽しめますが、本書を起業に役立てられるかは、読者の読み方次第かと感じます。要旨は書きましたが、本書は分量も多く、何が重要かは読者ごとに異なりますので、気になる方はご自身でお読みください。
(書評2013/10/18)

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