「「ベンチャー起業」実戦教本」 大前研一/アタッカーズ・ビジネススクール(編著)

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大前研一氏は、ビジネス・ブレークスルー大学やアタッカーズ・ビジネススクールを設立しています。これら教育機関の講義などをもとにした本のようです。大前氏が序章を、各章をそれぞれの講師が書いています。

おすすめ

★★★★★★☆☆☆☆

 

対象読者層

起業希望者。新規事業の立ち上げを考える人。

 

要約

序章

・見えない未来の社会の姿を見よ。

・サイバー社会に適応せよ(ネットを利用し、3時間で仮想の事業計画書を書き上げるといった訓練を自分に課してみる)。

・業界の常識を疑え。

・旧来のケインズ経済に加え、ボーダーレス経済、サイバー経済、マルチプル経済(借金でレバレッジをかけるの意味)が現代経済の特徴だ。

 

第1部 アイデア・ビジネスモデル・事業計画作成

・事業を構想するときは、定義や輪郭や広がりが不明瞭で、解決手段もはっきりしない問題を考えるための思考法が必要である。仮説を立て、分析し検証し、また仮説に戻るような思考をしなくてはならない。

・事業アイデアの例として、大きな産業をサポートする事業、ある部分のノウハウを徹底的に合理化しエリアごとに複製して展開する事業、ニッチな事業、ビジネスの過程を省略しコストを抑えたモデルでの事業。

・3C(customer、competitor、company)を考える。

・70%の確信で事業を始めよ。100%では遅い。

・事業の形態やキャッシュフローを考える。(夢だが失敗の可能性がある事業、発展性は小さいが日銭を確保できる受託の事業など)それぞれの事業構成のバランスをとる。

・起業家が持つべき7S。
shared value(会社の経営理念、価値観)
strategy(競争優位を築くための戦略)
structure(会社組織の構造)
system(会社の運営の仕組み)
skills(会社組織や社員の持つ特徴的な能力)
staff(人材の特徴)
style(会社の文化)

・事業計画立案のチェックポイント
①顧客は誰か。ニーズは何か。
②競合と差別化できるか。提携も考慮。
③コアスキルをどうやって獲得し、維持するか。
④会社の存在意義は何か、それを組織に浸透できるか。
⑤グローバルな動向を見る。
⑥ビジネスが経済的に成立するか考える。
⑦キャッシュフローの見通しをつける。

・起業には困難が大きい。好きなことでなければ続かない。

・自分のコア(土地勘のある)な分野で事業をやること。

・スタートアップの準備
①ビジネスプランを考える。
②マネタイズを考える。(プロフィットセンターに売る、リッチな顧客に売る)
③市場でのポジションを考える。
④短期(最初の数か月)、中期(最初の1~2年)、長期(5~10年後)の事業目標を定める。
短期:プロトタイプをつくる。最低6か月の事業資金を用意する。日銭を稼ぐアルバイトプロジェクトも考える。
中期:プロトタイプを商品にする。損益分岐点に到達させることが目標となる。
長期:会社を成長させる。ミッションとビジョンが必要である。ビジョンに関係する高い目標を設定する。
⑤資金を調達する。
プロトタイプをつくり、企業価値を上げながら増資をする。創業者の持ち株比率をあまり落とさないように。取引先など、自分の事業を応援してくれるところに株を買ってもらう。ベンチャーキャピタルの投資には、商品とそれにお金を払っている顧客の存在が必要である。
⑥テイクオフ。
小さく始めてぼちぼち広げろ。

・事業計画書の作成。
①1~3年後の事業の目標を具体的にまとめる。
②事業目標達成に向け、マーケットニーズやポジショニングを再検討する。
③収支予測を立てる。
④支出予測額の販売管理費や広告費に合わせて、マーケティングプランをつくる。
⑤事業計画書を書く。
エグゼクティブサマリー、ミッションと事業ビジョン、事業概要と製品サービス、市場概要、競合情報、事業目標と戦略、マーケティング、マネジメントチームと会社組織、事業リスクとリスクマネジメント、財務計画、資本政策、投資計画。

 

第2部トップ起業家になるための必須スキル

・自分の思いや価値観を、繰り返し言葉にして伝える。

・起業プランニング
①起業の根本動機を見つめる。
②現場を素直に柔軟な目で見て、現場から発想する。
③顧客にとって価値があるのか、顧客はどれだけの対価を払うのかを考える。販売価格、コスト、販売量を検討する。
④顧客に提供する価値を決めたら、提供する事業全体の仕組み、ビジネスモデルを考える。事業開始後の展開も先読みしておく。
⑤とにかく顧客と自社の分析が先。次に競合と協業も分析する。
⑥収益性の検討をする。ここからビジネスモデルの設計に戻り、事業プランを完成させる。キャッシュの出入り、重要な変数をつかんでおく。

・経営者は俯瞰的に全体を見ながら、必要な細部を的確につかまなければならない。サンプルを3つとって速やかにポイントをつかめ。適切な中間目標を設定する。

・高いビジョンを示すこと。人の思考・性格のパターンを知り、異なるタイプの人の集団から力を引き出すこと。

・事業の成長期に、キャッシュが不足し破綻する場合がある。手元資金でどのくらいの期間もつのか計算する。

・資本政策や資本構成の決定は、それぞれの起業家の価値観や考え方に左右される。

・ベンチャーでは、どうやって優秀な人材を集め、ひきつけておくかが採用の大前提。ベンチャーの採用活動は、自社を売り込むマーケティングである。応募者の共感を得られるような、ビジョンや社内環境が大切だ。

・採用する最低限の基準を考え、それ未満の人材は絶対に採用しない。優秀な人材は機会を窺い、粘り強く長期に勧誘する。

・頭のよい、コミュニケーションで人に伝える力のある、問題意識を持つ、性格のよい人を採れ。

・ベンチャーはまず、チームとして成果をめざすような組織運営をする。よい社風を起業時からつくる。大企業の硬直的組織を回避し、顧客志向の組織にする。

 

第3部 事業成功へのファイナンス戦略

・ビジネス現場で必要な計数感覚を身につける。

・顧客に製品・サービスを売った本業での利益のみが、再投資に使える資金となる。将来の利益に貢献しない資産は損失となる。持たない経営を考える。

・売上総利益、加工高、限界利益を算出し、労働分配率が50%以下になるよう人件費を決める。

・販売管理費比率に売上高営業利益率を加えたものが、粗利益率として設定される。この粗利益率から価格が決まることを忘れない。

・投資を回収するまでの期間など、キャッシュフローを意識する。将来のフリーキャッシュフローは割り引いて計算する。

・企業の成長に応じた業績管理のステップ
ステップ1 財務会計のレベル
ステップ2 全社業績管理のレベル
ステップ3 部門別業績管理のレベル
ステップ4 次期経営計画の導入レベル
ステップ5 経営戦略に基づく中期経営計画の実施レベル

・ベンチャーはIPOをめざすことによりはじめて、株式公開前の増資を投資家に引き受けてもらうことができる。

・資本政策の目標は、資金調達と持ち株比率最適化の達成である。

・業務提携先に自社株を保有してもらうのも事業戦略である。

・事業計画の必要資金調達額と、実際の調達可能額は保守的にすりあわせる。

・資本政策は起業家自身の判断と決断で策定する。

・株式分割と新株予約権について。

・資本政策策定の3原則
①資本政策は一度実行したら元には戻せない。
②株価は一度上げたら下げられない。
③投資家がついてこない資本政策は実現不可能。

・役員や社員への株式の割り当てについて。

・ベンチャーキャピタルについて。

 

書評

本書は2000~2005年頃の教材や講義をもとにして、出版されたようです。そのため、解説や例示される事柄がやや古い印象はあります。

大前氏が序章を書き、起業に関係する領域を講師がそれぞれ担当して解説しています。多くの講師で分担しているため内容が重複するところもみられますが、重複する部分は特に重要と考えればよいでしょう。大前氏が考える、起業に必要なひとつの基本型が本書で学べると思います。

少し事例が古いですが、あるひとつの起業方法論の枠組みを学ぶため、読んでみるのもありかなと思います。
(書評2013/11/09)

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