投資が初めて、という人なら投資信託から考えるのが一番よいでしょう。投資信託について、やさしく学べる入門書です。
おすすめ
★★★★★★☆☆☆☆
対象読者層
投資の経験は定期預金くらいしかないけど、投資信託をこれから買ってみたい人。
投資にまわせる資産が少額な人。
投資信託の基本を勉強したい人。
難易度は、入門書程度から初級者まで。
要約と注目ポイント
投資信託とは
投資信託(投信)は、いろいろな株や債券などが詰め合わされた商品。投信ごとに、詰め合わされる材料が違う。材料の種類として、どこの国や地域か、株か債券か不動産かなどを選んでいる。
投信のメリットは、投資対象が分散されていること。少額から投資できること。専門家が運用を代行するので投資しやすいこと。金融商品として、透明性が高いこと。
投資信託で損をしないために
投信の注意点は、手数料がかかること。元本割れの可能性があること。複雑な仕組みの投信もあること。
投信には、販売会社・運用会社・信託銀行が関わる。いずれかが破綻しても、資産は守られる。
投信の価格は基準価額と呼ばれ、1万口当たりいくらで表示されることが多い。投信の規模は、純資産総額でわかる。分配金が払われると、基準価額は下がる。
基準価額が変動する要因には、価格変動・金利変動・為替変動がある。他に考慮するリスクは、信用リスク・カントリーリスク・流動性リスク・派生商品リスクがある。
投信の儲けのもとは、売却益と分配金。基準価額の変動、騰落率、トータルリターンをチェックしよう。
投信のコストのもとは、購入時手数料・運用管理費用・信託財産留保額。コストは低いものが良い。特に運用管理費用が低いことが大事。
投資信託の比較
投信には、市場全体の動きを反映するようなパッシブ運用(インデックス投信)と、市場平均以上の儲けをめざすアクティブ運用がある。
インデックス投信は、安い手数料、広い分散投資、わかりやすい値動きが特徴。投資対象も、日本・先進国・新興国・世界全体、株・債券・不動産・商品などがある。
アクティブ投信には、グロース(成長)・バリュー(割安)・大型株や中小型株・トップダウンとボトムアップアプローチ・債券の高格付や低格付などの種類がある。
投信がさらに大きな投信に投資して運用する、ファミリーファンド方式やファンドオブファンズ方式もある。
投資信託の選び方
投信の基本は、長期投資(10年以上)・分散投資(国内外の株式と債券)・低コスト(インデックス投信)で行うこと。
市場平均に勝てるアクティブ投信は少ない。売れている投信が良い投信とは限らない。毎月分配金型は資産づくりには向かない。
投信を選ぶとき、また運用経過を見るには、交付目論見書・マンスリーレポート・運用報告書をチェック。投信情報サイトなどでも比較しよう。
アクティブ投信では、投資哲学・コスト・投信の継続性・資産の推移・運用成績を見よう。
投資信託の売買
投信の買い方は、スポット買いか積み立て。積み立てでコツコツがおすすめ。
投信を売るときは、お金を使う時期(老後など)が来たとき、リバランスのとき、投信の内容が変わったとき。
書評
良くも悪くも内容に驚きはありません。とにかく投信が初めての人でもわかるように、基本から良識的に、投資家の立場に沿って解説しています。イラストや図も多くして、わかりやすくしていますが、ポイントも押さえています。投資信託の入門書として、良い本だと思います。
(書評2013/06/23)