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「株式投資 低成長時代のニューノーマル」 菊地正俊(著)

 

世界経済が低成長となった今、どのように投資をすればよいか考える本です。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

著者は証券会社の株式ストラテジストなので、日本経済や世界経済全般を勉強したい人に良いかと。入門書よりは上で、初級者以上を想定して書かれていると思います。

 

要約

・世界経済が低成長となり、株式投資はキャピタルゲインよりインカムゲイン重視となっている。

・政治や政策が市場に与える影響力が大きくなり、マクロからみたトップダウン運用が重要性を増している。

・金融危機後、世界経済の中心が欧米からアジアへシフトしてきており、アジアの成長を取り込んでいる会社の評価が高い。(東南アジア各国と主要新興国の個別分析がある。)日本株は外国人が買わないと上昇しないが、新興国市場で成長している日本企業は期待できる。(新興国で活躍している日本企業の紹介と分析がある。)

・主要先進国はすべて超低金利であり、高い利回りを得るためには、世界の多様な資産に投資するアセットアロケーションが重要となる。

 

書評

おすすめ度が低めなのは、次の理由によります。著者がストラテジストなので、投資手法や投資理論を直接的に論じた本ではないこと。著者も本文中に「市場の動きは激しい」と書いているが、2012年末より日本市場では円安と株高、世界的には債券から株へのグレートローテーションなど、トレンドが変化してきた可能性があること。そのため2012年12月発行と新しい本だが、状況が変わってきたかもしれない。もちろん中長期的な分析は有効で、細かい情報も盛りだくさんなので、勉強好きな人は読まれてもよいでしょう。私は修行中であり初めて知ることも多く、1,890円で購読してもまずまず満足しました。
(書評2013/02/22)