「ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務」 石野雄一(著)

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実務家の書かれた、よくわかるファイナンスの入門書です。2007年の本なので、リーマン後の金融危機は反映されていません。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

対象読者層

ファイナンスの勉強をしようと、入門書を読み始めるあたりの人。
あるいは、少し勉強を始めたぐらいの人。

要約と注目ポイント

会計とファイナンスの違いは?

会計は利益を扱うが、ファイナンスはキャッシュフローを扱う。会計は過去を見るが、ファイナンスは現在と未来を見る。

ファイナンスの基礎知識

財務三表の説明。

ファイナンスは、投資の決定・資金の調達・配当政策の3つの意思決定に関わる。これらの意思決定の目的は、(投資家にとっての)企業価値の最大化である。

リスクとリターンの説明。

株主資本コストは、負債コストより大きい。(株主の方が債権者より大きなリスクを負っているので、期待するリターンも大きい。)

WACC(加重平均資本コスト)は、企業の資金調達コストである。企業が投資家からいくらで資金を調達できるかを表し、企業に対する投資家のリスク認識を示す。

WACCを下げることが、IR(企業広報)のミッションである。適切な企業情報を適切なタイミングで公開することにより、投資家のリスク認識を下げる。

複利や現在価値・将来価値、割引率の説明。

企業価値と事業価値の説明。

ファイナンスと経営

経営者の使命は、WACC以上のROIC(投下資本利益率)をあげることである。ROICとWACCの差をEVAスプレッドと呼ぶが、このEVAスプレッドをプラスにし、さらに拡大することが経営者の使命である。

投資判断決定の考え方。

最適な資本構成の考え方。

格付けは、企業の債務償還能力の分析判断(債権者の視点での評価)にすぎない。

ファイナンスと経営、財務について学ぶべきことが、ざっくりですが研ぎ澄まされて詰まっています。

書評

実務家の書いた本らしく、わかりやすく簡潔に要点を押さえてあります。確かに「ざっくりと」ファイナンスを理解する入門書としては、良い本と思います。ただ、薄い新書なので、これ一冊だけだと十分ではないかもしれません。数冊入門書を読む内の一冊とするのが良いのでは。
(書評2013/04/21)

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