「経費で落ちるレシート・落ちないレシート」 梅田泰宏(著)

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独立したら、何が経費で何が経費とならないのか、気になりますよね?実例盛りだくさんで、経費についてよくわかる解説書です。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

個人事業主や小規模企業をやっていて、経費が気になる人。

 

要約と注目ポイント

経費とは?基本を解説

税務署に経費として認めてもらうには、領収書やレシートを保管しておくこと。そして、仕事のために使ったという根拠を、納税者側が立証すること。

領収書の要件は、
①宛名
②日付
③金額
④領収書の発行者の情報
少額なら宛名はなくても可。

領収書だけでなく、レシート、銀行の振込金受取書、クレジットカード支払い明細、ネット通販の取引確認メールや取引画面のプリントアウト、なども経費の根拠になる。

白紙の領収書に自分で書き込むのは絶対ダメ。誤記を自分で修正するのも、疑われるからやめよう。(減価償却を避けるため)1枚の領収書を2枚に分けるのも違法。

領収書は日付順に保管し、帳簿と対応できるようにしておく。口座も個人用と仕事用で分けるのが理想。細かい出費は自分が立て替えて、あとでまとめて清算してもいい。

領収書をもらえない支出の場合。(得意先の)祝儀不祝儀では、案内通知書や祝儀袋のコピーをとる。交通費は、利用明細と経路と金額を記載する。

個人事業主と会社について

会社のメリットは、
①信用が得られる
②個人とは取引しない相手とも取引できる
③家族の給与分が節税できる

会社のデメリットは、
①費用がかかる
②赤字でも法人住民税がかかる
③税務調査が入りやすくなる

最初は、会社より個人事業主で始めてみる方がよい。売上1000万円未満でも、クライアントに消費税は請求しよう。

確定申告や税務調査など

白色申告と青色申告について。収入が700~800万円を超えたフリーランスは、法人化を考えよう。

勘定科目について。

税務調査について。

税務調査でいちばん見られるのは、数字と生活実態の整合性。良い暮らしの割に年収が低すぎると、疑われる。節税はともかく、フリーランスの信用は収入や利益なのだから、しっかり稼ぐことを目標にしよう。

どこまで経費になる?その範囲

自宅兼事務所の家賃や光熱費、旅行、食事、スポーツクラブ、映画、観劇、ゴルフ、書籍、漫画、キャバクラは?

事業主と役員は、福利厚生費を使えない。仕事のための接待、打合せ、取材と言えるかどうか。按分比率をどう考えるか。

時間をかけずに読めて、すっと頭に入りやすい本です。もらった領収書やレシートの扱い方など、基本的な例を具体的に説明してくれます。個人事業主を始めた人には、わかりやすいのではないでしょうか。

 

書評

個人事業主や小規模企業向けの、経費に焦点を当てた易しい解説書です。対話形式で書かれた、サクサク読める本です。基本的な解説になりますが、実例を多く挙げていて参考になります。

まあ要点をひとことで言うと、根拠がはっきりしている仕事のために使った費用なら経費になる、ということです。自信を持って仕事のためと言える理由があり、かつ領収書や記録がしっかりしていればOKです。

ところで、税の解釈はある程度の幅があります。個々の税務署員や税理士によって考え方が少しずつ違う、と本書でも書かれています。

本書では、SOHOの場合、仕事で使う面積の比率分の家賃(50~60%程度まで)、電気代は60%程度まで、携帯や固定電話代は80%程度まで、水道とガス代は20~30%程度までは経費として認められるのでは、と述べています。

しかし、以前に読んだ「新版 フリーランス、個人事業、副業サラリーマンのための「個人か?会社か?」から申告・節税まで、「ソン・トク」の本音ぶっちゃけます。」では、SOHOの場合、仕事で使う面積比分の家賃の経費が例えば30%分なら、電話代や水道光熱費も30%が妥当ではないか、としています。さらに、20~30%ならほぼ問題ないが、40%以上なら合理的で常識的な理由を用意した方がよい、とも書かれています。

専門家でも多少のずれがあるので、節税の仕方やら経費の考え方といった本が、いつの時代も売られているのでしょう。ともあれ、自分で自分の仕事をよく見て、経費と言い切れる出費は何か考えるのがよさそうです。
(書評2014/12/23)

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