「ビジネスをつくる仕事」 小林敬幸(著)

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お台場パレットタウンの大観覧車事業を成功させ、ライフネット生命保険の立ち上げに参加した著者が、ビジネスのつくり方を教えます。

おすすめ

★★★★★☆☆☆☆☆

 

対象読者層

若手社会人。新規事業を立ち上げる人。起業をめざす人。

 

要約

現代は、ひとつのビジネスで安定的に競争優位を保てる時代ではない。ひとつのビジネスの寿命がサラリーマン人生の寿命より短いので、どんなサラリーマンでも新しいビジネス(価値)をつくることを考える必要がある。

新しいビジネスをつくるには、先入観を持たずどこでもよく現実を見て、たくさんやってみることだ。

・社会全体の動きを理解し、合理的で真っ当なやり方で真ん中を普通にやれ。

・現場の細部をよく見て本質を見抜き、過去の失敗に学んで大きくやれ。

・縦割りの発想や既存の分類を超え斜めに見て、成功確率の高いまっすぐのやり方でやれ。

・顧客や同僚、周囲への想像力・共感力を持て。

ビジネスの育て方は柔軟に。
ビジネスをつくるプロセスは
①見つける。(新しいビジネスを見つける。見つける準備をする。ビジネスのタネには、社会のひずみ、人脈ネットワーク、パブリックな情報がある。)
②始める。(新しいビジネスのコンセプトはシンプルに。企画書はポルノ調で。)
③実行する。(状況を多面的に理解し、シンプルに行動する。)

偶然性を排除しない。
確率論的な発想を持つ。予測できない将来の多様な状況に対応する準備をする。

お金の流れをよく見る。
お客を集めるところとお金を集めるところが異なるビジネスがある。集客と収益化に強固な基盤をつくると変化にも強い。
規模が一桁違えば異なるビジネスとなる。
成熟社会では継続して利益が出るビジネスが大切。

お客に提供する価値は何か、お客の側から(マーケットイン)よく考える。
サービス的価値を付加する。お客に自身の成長を実感させるサービスを提供する。お客に驚きを与える。2つの価値体系の差異を利用する。
お客は誰か、利害関係者それぞれに提供している価値は何か、に注意する。

ビジネスでは組織をよく知ること。
社内起業では、自社の組織をよく理解しておく。
自社でも提携を狙う他社でも、IRから経営課題を知り、それを解決する方向のビジネスだと始めやすい。社員の非公式な愚痴から様子をつかむ。意思決定がトップダウンかボトムアップか考える。

・組織をつくるときの注意点について。

・今後の成熟社会では、社会からのメッセージを聞き取ることが要求され、社会との対話能力が必須となる。

 

書評

著者自身のパレットタウンの大観覧車事業とライフネット生命保険創業の体験を中心に、新しいビジネスをつくることを解説しています。理論的な解説よりは、新書ということもあり読み物に近い形態です。体験談を解説に使っていますが、やや自身の成功譚を語っているという印象があります。

著者は起業志望者も読者に想定していますが、会社内で新規事業を立ち上げる内容が大半となります。社内で新しいビジネスを考えているサラリーマンに向く本かと思われます。
(書評2013/12/29)

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