「模倣の経営学 偉大なる会社はマネから生まれる」 井上達彦(著)

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世界で誰も気付かないアイデアを自分だけが気付き、ビジネスの仕組みをつくる。あり得ない話です。優れた他社のビジネスを手本にすることは不可欠な行為でしょう。

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対象読者層

優れた知見を取り込み、勝てるビジネスモデルや競争力のある経営手法を構築したい人。

 

要約

・優れたものを模倣するのは、古来より学習の基本だった。何のために、何を、どこから、どのように模倣するか考えるには、高度なインテリジェンスが必要だ。

・模倣には遠く関係の薄いところ(異業種・海外・過去)から学ぶ場合がある。異業種から習う例にトヨタ生産システム、海外から習う例にセブン―イレブンがある。

・製品やサービスレベルでは模倣しやすいが、事業の仕組みは模倣しにくい。ビジネスモデルの業種を越えた本質的な共通性を見出し、抽象化されたレベルでの仕組みを模倣して独自の仕組みを築け

・模倣のためのビジネスモデル分析の枠組み P-VAR
Position:ポジションの取り方
Value:提供している顧客価値
Activity:業務活動
Resource:経営資源
P-VARを用いて自社の現状を分析し、参照モデルを通して理想像を描き、現状と理想のギャップを埋めるべく変革を実行する。(ヤマト運輸の例)

・徹底して研究し模倣しようと試行錯誤すると、自分が鍛えられる。こうして鍛えられることで模倣に独自性が加わる。

・模倣の対象は、見習うべき良い見本と反面教師となる悪い見本の2通り。さらに見本は社内と社外の2通りあるので、モデルは2×2で4通りとなる。
社外の成功:単純模倣
社外の失敗:反面教師
社内の成功:横展開
社内の失敗:自己否定

模倣の手順
①参照する事業モデルをP-VARの枠組みで分析する。
②分析モデルをそのまま、あるいは逆転させて提案する。
③理想の事業デザインを描く。
④理想と自社の現状の矛盾を明らかにする。
⑤矛盾を発展的に解消。

模倣の目的には、競争への対応とイノベーションを起こすための2つがある。
競争への対応では、同業他社の成功を迅速に追随する、経営資源に勝れば後発優位なポジションをとる、負けを避けるために横並びの類似行動をとる、がある。
イノベーション目的では、業界を高所大局から理解し大きな流れをつかみ、自分が参照モデルの中に没入するほど入れ込んで、深く理解している自分の事業の経験と化学反応を起こさせる。

 

書評

競争に勝てる優れたビジネスの仕組みをどうやって構築するか、本書では模倣に焦点を当てて解説しています。
独自性のあるビジネスモデルはどうすればつくれるのか。この疑問に著者は模倣という手段を回答として提示します。現在は業界で勝ち組となった強力なビジネスモデルでも、はじめは別のビジネスの模倣であった例を挙げています。

本書の内容は、勉強のためのガチガチのテキストよりは、ややビジネス書の読み物に近い印象を受けます。読んで勉強になりますが、ビジネスをどう模倣するかの具体的な手段はあまり書かれていません。

また、どこまで模倣と言えるかあいまいなところもあります。本書で登場する例ならば、セブン―イレブンやスターバックス、ドトールコーヒーなどは模倣と言えるでしょう。
しかしトヨタ生産方式やヤマト運輸の宅急便などは、模倣とも言えますが、参照モデルからはかなりの跳躍があります。これは模倣した側が独自に洗練し昇華させた例と考えられます。

本書内にもありますが、結局は模倣を有益なものとするためには、模倣先のモデルと自社および自分のいる業界の両方を深く研究していないとできないことだと思われます。
(書評2013/12/25)

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